84歳のおばあ様の介護問題：拘束力のある施設と家族ができること

この記事では、84歳になるおばあ様の介護について、ご家族が抱える悩みと、その解決策を探求します。具体的には、認知症や失語症を患い、施設への入居を拒否するおばあ様に対して、拘束力のある介護施設に関する情報提供と、ご家族ができるサポートについて掘り下げていきます。介護施設の選択肢、ご本人の意思への配慮、そしてご家族の心労軽減という、多角的な視点から問題解決を目指します。

拘束力のある介護施設はありますか？84才の伯母の事で相談します。独身で一人で住んでいます。先日、階段から落ちました。約２ヶ月入院し、ふらつきながらも歩ける様になりましたが・・・・・失語症と軽度の痴呆があり、この先一人暮らしは出来ないと精神科の医師から言われました。老人ﾎｰﾑに行くように進めましたが、家に帰ると言うことを聞きません。昔から、全て自分が正しく、人の意見など聞かず、両親とも何十年と交流がありません。二階と一階に住んでいるにもかかわらず。本人が帰りたいと言っても帰らせない、鍵を掛けるなど拘束力のある介護施設など有るのでしょうか？母が心労で倒れてしまいます。何卒、ご助言お願いいたします。

はじめに：状況の整理と問題点の明確化

ご相談ありがとうございます。84歳のおばあ様の介護に関する問題は、非常に複雑で、ご家族の精神的な負担も大きいことと思います。今回のケースでは、以下のような問題点が浮き彫りになっています。

• 身体機能の低下: 階段からの転倒により、身体機能が低下し、一人暮らしが困難になっている。
• 認知機能の低下: 失語症と軽度の認知症により、判断能力や意思疎通が難しくなっている。
• 施設入居の拒否: 本人が自宅への帰宅を強く希望し、施設への入居を拒否している。
• 家族関係の複雑さ: 伯母様とご両親との関係性が悪く、コミュニケーションが難しい。
• 介護者の心労: 母親である相談者の心労が大きく、心身ともに疲弊している。

これらの問題に対して、一つ一つ丁寧に解決策を検討していく必要があります。まずは、拘束力のある介護施設に関する情報提供から始め、次に、ご家族ができるサポートについて具体的に解説していきます。

1. 拘束力のある介護施設について

「拘束力のある介護施設」という言葉には、いくつかの解釈があります。ここでは、本人の安全確保のために、行動を制限する可能性がある施設について説明します。

1-1. 身体拘束の定義と注意点

身体拘束とは、介護保険法において「利用者の身体的自由を一時的に制限する行為」と定義されています。具体的には、以下のような行為が該当します。

• ベッドからの転落防止のための、ミトンや拘束帯の使用
• 徘徊防止のための、居室からの退出制限
• 行動を抑制するための、薬剤の投与

身体拘束は、利用者の尊厳を傷つける可能性があり、原則として行われるべきではありません。しかし、本人の安全を守るために、やむを得ず行われる場合もあります。その際には、以下の点に注意が必要です。

• 緊急性: 身体拘束は、緊急性があり、他の方法では安全を確保できない場合に限られます。
• 説明と同意: 本人または家族に対して、身体拘束の必要性や方法について十分に説明し、同意を得る必要があります。
• 記録: 身体拘束を行った時間、理由、経過などを詳細に記録する必要があります。
• 見直し: 身体拘束は、常に必要性を評価し、早期に解除できるように努める必要があります。

1-2. 身体拘束を行う可能性のある施設の種類

身体拘束を行う可能性がある施設としては、以下のようなものが挙げられます。

• 特別養護老人ホーム（特養）: 認知症の進行や、身体機能の低下により、安全確保のために身体拘束が行われる場合があります。
• 介護老人保健施設（老健）: 医療的なケアが必要な入居者が多く、身体拘束が行われる可能性があります。
• 精神科病院: 認知症の症状が悪化し、興奮状態になった場合など、一時的に身体拘束が行われることがあります。

これらの施設に入居を検討する際には、事前に身体拘束に関する方針を確認し、ご家族の意向を伝えることが重要です。

1-3. 身体拘束をしないための取り組み

近年では、身体拘束をしないための取り組みが積極的に行われています。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

• 環境整備: 転倒防止のための手すりの設置、徘徊防止のためのセンサーの設置など、安全な環境を整える。
• ケアの工夫: 認知症の症状に合わせたコミュニケーションや、レクリエーションの提供など、本人の不安を軽減する。
• 多職種連携: 医師、看護師、介護士、理学療法士など、多職種が連携し、本人の状態に合わせたケアを提供する。

これらの取り組みは、身体拘束を減らし、利用者の尊厳を守るために重要です。施設を選ぶ際には、これらの取り組みがどの程度行われているかを確認することも大切です。

2. 施設選びのポイント

おばあ様の状況に合った施設を選ぶためには、以下の点を考慮する必要があります。

2-1. 医療体制の充実度

おばあ様の健康状態によっては、医療的なケアが必要になる場合があります。施設を選ぶ際には、以下の点を確認しましょう。

• 協力医療機関: 緊急時の対応や、定期的な健康管理のために、協力医療機関があるか。
• 看護師の配置: 常勤の看護師が配置されているか、夜間の対応は可能か。
• 医療処置: 胃瘻や吸引など、必要な医療処置に対応できるか。

2-2. 認知症ケアの質

おばあ様は、認知症の症状があるため、認知症ケアの質も重要なポイントです。以下の点を確認しましょう。

• 認知症ケアの専門性: 認知症ケアの専門知識を持ったスタッフが配置されているか。
• プログラム: 回想法や音楽療法など、認知症の症状を緩和するためのプログラムがあるか。
• 環境: 落ち着いて過ごせるような、安全で快適な環境が整っているか。

2-3. 本人の意向への配慮

おばあ様の意向を尊重することも重要です。施設を選ぶ際には、以下の点に配慮しましょう。

• 見学: 本人と一緒に施設を見学し、本人の意見を聞く。
• 体験入居: 短期間の体験入居を行い、実際の生活を体験してもらう。
• コミュニケーション: 本人の不安や希望を丁寧に聞き、施設との間で情報共有を行う。

3. ご家族ができるサポート

ご家族は、おばあ様の介護において、様々な形でサポートすることができます。

3-1. 情報収集と準備

介護に関する情報を収集し、事前に準備をすることが重要です。具体的には、以下のことを行いましょう。

• 介護保険制度の理解: 介護保険制度の仕組みや、利用できるサービスについて理解する。
• 地域包括支援センターへの相談: 地域の包括支援センターに相談し、必要な情報やサービスを紹介してもらう。
• ケアマネジャーとの連携: ケアマネジャーと連携し、ケアプランを作成し、適切なサービスを利用する。

3-2. コミュニケーションと関係性の構築

おばあ様とのコミュニケーションを密にし、良好な関係を築くことが大切です。以下のことを心がけましょう。

• 傾聴: おばあ様の言葉に耳を傾け、気持ちを理解しようと努める。
• 共感: おばあ様の気持ちに共感し、寄り添う。
• 情報共有: 施設の状況や、今後の見通しについて、丁寧に説明する。

3-3. 家族間の協力

家族だけで抱え込まず、協力して介護に取り組むことが重要です。以下のことを行いましょう。

• 役割分担: 家族間で役割分担を行い、負担を分散する。
• 情報共有: 介護に関する情報を共有し、連携を密にする。
• 休息: 介護者の心身の健康を保つために、定期的に休息を取る。

4. 専門家への相談

介護に関する問題は、専門家のサポートを受けることで、よりスムーズに解決できる場合があります。

4-1. ケアマネジャー

ケアマネジャーは、介護保険に関する専門家であり、ケアプランの作成や、サービス事業者との連携をサポートしてくれます。積極的に相談し、アドバイスを受けましょう。

4-2. 医師

精神科医は、認知症の診断や治療、精神的なサポートを提供してくれます。また、介護に関する相談にも応じてくれます。

4-3. 弁護士

成年後見制度や、財産管理に関する問題について、弁護士に相談することができます。

5. まとめ：寄り添い、共に歩む介護

84歳のおばあ様の介護は、ご本人、ご家族にとって、大変な道のりです。しかし、適切な情報収集と準備、そして専門家のサポートを受けることで、より良い方向へ進むことができます。

今回のケースでは、以下の点を踏まえて、対応していくことが重要です。

• 本人の意思を尊重する: 施設入居を拒否するおばあ様の気持ちに寄り添い、丁寧にコミュニケーションを図る。
• 安全確保を最優先する: 転倒のリスクや、認知症による問題行動を考慮し、安全な環境を整える。
• 家族の負担を軽減する: 家族だけで抱え込まず、専門家や地域のリソースを活用する。

介護は、一人で抱え込まず、周囲の協力を得ながら、共に歩むものです。おばあ様の心に寄り添い、ご家族が笑顔で過ごせるように、一歩ずつ進んでいきましょう。

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