療養型病院での褥瘡処置…施設の対応は適切?介護士が知っておくべきこと
療養型病院での褥瘡処置…施設の対応は適切?介護士が知っておくべきこと
この記事では、療養型病院に入院中のご家族の褥瘡(床ずれ)処置に関する疑問を抱える介護職の方々に向けて、具体的なアドバイスと、施設とのコミュニケーションのヒントを提供します。特に、褥瘡のケアにおける疑問、施設の対応への不安、そして今後の対応について、チェックリスト形式で分かりやすく解説します。
義母を療養型病院に入院させています。要介護5、寝たきりで胃ろう、左完全麻痺、意思疎通はできるときとできないときがある、という感じです。発症から1年。両下肢の(特に膝)拘縮が進み、最初に購入依頼された枕2つと別に、昨日もう1つ枕を用意しました。先日、踵の一部に褥瘡になりそうな部分を見つけていたので、職員に伝えると、その職員も知っているような感じでした。なのでクッション(枕)は、踵用と膝用、そして体位変換用として3つあればよいと思っていました。
昨日、たまたま踵を見ようと思って見てみたところ、左(患側)足関節外顆部(足の部分の外側に出た部分)に褥瘡ができかけていて(真っ赤になっていた)、ドレッシングテープ(保護フィルムのようなもの)で保護されていました。そのテープには2/26と書いてあり、気付いたのは3/4です。火曜、金曜に入浴となっているのですが、入浴の際に剥がさず清潔にしていなかったと思われます。
私自身介護の仕事をしている者ですが、身内に介護従事者がおり、その施設の対応も聞いてみましたがやはり入浴の際にはテープをはがして清潔にした後、改めて処置をするはずと聞きました。私の勤めていた施設もそうでした。どちらも老健です。療養型病院は、より医療依存度が高い人が多いものだと思っていたので、そのような対応は、施設の方針なのか、怠慢なのか、わかりません。みなさんの施設の対応、方法など教えていただければ幸いです。それをもとに、病院へ相談するか否かを決めさせていただきたいと思っています。
褥瘡(床ずれ)ケアの基本:なぜ重要なのか?
褥瘡は、長期間にわたる圧迫によって皮膚や組織が損傷する状態です。特に、寝たきりの方や、長時間同じ姿勢を保つ必要がある方は、褥瘡のリスクが高まります。褥瘡は、痛みや不快感を引き起こすだけでなく、感染症のリスクを高め、重症化すると命に関わることもあります。介護の現場では、褥瘡の予防と早期発見、適切な処置が非常に重要です。
褥瘡発生のリスク因子を理解する
褥瘡の発生には、様々なリスク因子が関与しています。これらの因子を理解し、適切に対処することが、褥瘡予防の第一歩です。
- 圧迫:長時間同じ体勢でいることによる持続的な圧迫は、血流を阻害し、組織を壊死させる原因となります。
- 摩擦:皮膚と寝具や衣服との摩擦も、皮膚の損傷を引き起こす可能性があります。
- ずれ:体がずれることによって皮膚が引っ張られ、組織が傷つくことがあります。
- 栄養状態:栄養不足は、皮膚の再生能力を低下させ、褥瘡のリスクを高めます。
- 水分:脱水状態は、皮膚の弾力性を失わせ、褥瘡のリスクを高めます。
- 排泄:尿や便による皮膚の刺激は、皮膚を脆弱にし、褥瘡を悪化させる可能性があります。
- 認知機能:認知症などにより、体位変換などの協力を得られない場合、褥瘡のリスクが高まります。
褥瘡のステージと症状
褥瘡は、その進行度合いによってステージが分類されます。各ステージの症状を理解し、早期発見に努めることが重要です。
- ステージ1:皮膚の赤み、熱感、硬さ、むくみなどが見られますが、皮膚はまだ破れていません。
- ステージ2:皮膚が部分的に失われ、水疱やびらんがみられます。
- ステージ3:皮膚が完全に失われ、皮下組織まで損傷が及んでいます。
- ステージ4:筋肉や骨まで損傷が及んでいます。
- 疑われる深部組織損傷:皮膚は破れていないものの、内部組織に損傷が疑われる状態です。
- 治癒不能な褥瘡:深さに関わらず、治癒しない褥瘡です。
療養型病院の褥瘡ケア:チェックリストで確認
療養型病院での褥瘡ケアについて、以下のチェックリストを用いて、施設の対応を確認してみましょう。
褥瘡ケアチェックリスト
-
体位変換の頻度:
2時間ごとに行われていますか? -
体圧分散寝具の使用:
適切な体圧分散寝具(エアマットレスなど)が使用されていますか? -
皮膚の観察:
毎日、皮膚の状態が観察されていますか? -
皮膚の清潔:
入浴時や清拭時に、皮膚を清潔に保つ処置が行われていますか? -
栄養管理:
栄養状態を評価し、適切な栄養補助が行われていますか? -
ドレッシング材の選択:
褥瘡のステージに合わせた適切なドレッシング材が選択されていますか? -
記録:
褥瘡の状態や処置内容が記録されていますか? -
専門職との連携:
医師や看護師、皮膚・排泄ケア認定看護師など、専門職との連携はありますか?
このチェックリストは、あくまでも目安です。すべての項目が完璧に満たされている必要はありませんが、多くの項目で問題が見られる場合は、施設とのコミュニケーションや、必要に応じて専門家への相談を検討しましょう。
入浴時の褥瘡ケア:正しい手順
入浴時の褥瘡ケアは、清潔を保ち、感染を予防するために非常に重要です。以下の手順を参考に、正しいケアを行いましょう。
- 準備:入浴前に、必要な物品(石鹸、シャンプー、タオル、ガーゼ、消毒液、ドレッシング材など)を準備します。
- テープの除去:ドレッシングテープを剥がす際は、皮膚を傷つけないように注意し、優しく剥がします。
- 洗浄:褥瘡部分を石鹸とぬるま湯で優しく洗浄します。
- 観察:褥瘡の状態を観察し、出血や浸出液の量、周囲の皮膚の状態などを確認します。
- 消毒:必要に応じて、消毒液で褥瘡部分を消毒します。
- 保護:褥瘡のステージに合わせた適切なドレッシング材を貼付します。
- 記録:処置内容や褥瘡の状態を記録します。
施設とのコミュニケーション:効果的な方法
施設とのコミュニケーションは、褥瘡ケアの質を向上させるために不可欠です。以下のポイントを参考に、効果的なコミュニケーションを図りましょう。
- 定期的な面会:定期的に施設を訪問し、ご家族の様子を観察し、職員との情報交換を行いましょう。
- 記録の確認:褥瘡の状態や処置内容が記録されているか確認し、疑問点があれば質問しましょう。
- 質問の準備:事前に質問事項を整理しておき、効率的に情報収集を行いましょう。
- 感謝の気持ち:職員への感謝の気持ちを伝え、良好な関係を築きましょう。
- 具体的な提案:改善点があれば、具体的に提案し、協力して問題解決に取り組みましょう。
- 記録を残す:施設とのやり取りは記録に残し、後で確認できるようにしましょう。
施設への相談:何を伝えるべきか
施設に相談する際は、以下の点を明確に伝えましょう。
- 現状の懸念:褥瘡の状態や、施設の対応に対する懸念を具体的に伝えます。
- 疑問点の質問:疑問に思っている点について、具体的に質問します。
- 改善の提案:より良いケアのために、具体的な改善策を提案します。
- 協力の意思:施設と協力して、より良いケアを提供したいという意思を伝えます。
- 要望:必要な場合は、具体的な要望を伝えます。
専門家への相談:どんな時に必要?
以下の場合は、専門家への相談を検討しましょう。
- 褥瘡が悪化している場合:褥瘡のステージが進んでいる場合や、感染の兆候が見られる場合は、専門家の意見を求めましょう。
- 施設の対応に不満がある場合:施設の対応に疑問や不満がある場合は、第三者の意見を聞き、適切なアドバイスを受けましょう。
- 情報収集が難しい場合:褥瘡に関する情報収集が難しい場合は、専門家から正しい情報を得ましょう。
- 治療方針について迷う場合:治療方針について迷う場合は、専門家と相談し、最適な方法を検討しましょう。
もっとパーソナルなアドバイスが必要なあなたへ
この記事では一般的な解決策を提示しましたが、あなたの悩みは唯一無二です。
AIキャリアパートナー「あかりちゃん」が、LINEであなたの悩みをリアルタイムに聞き、具体的な求人探しまでサポートします。
無理な勧誘は一切ありません。まずは話を聞いてもらうだけでも、心が軽くなるはずです。
介護士が知っておくべき褥瘡予防のポイント
介護士として、褥瘡予防のために日々の業務で意識すべきポイントをまとめます。
- 体位変換:2時間ごとの体位変換を徹底し、圧迫を避ける。
- 体圧分散:体圧分散寝具(エアマットレス、体位変換クッションなど)を適切に使用する。
- 皮膚の観察:毎日、皮膚の状態を観察し、異常の早期発見に努める。
- 皮膚の清潔:入浴や清拭時に、皮膚を清潔に保つ。
- 栄養管理:栄養状態を評価し、適切な栄養補助を行う。
- 水分補給:脱水を防ぐために、十分な水分補給を促す。
- 排泄ケア:排泄後の皮膚を清潔に保ち、刺激から保護する。
- 記録:褥瘡の状態や処置内容を記録し、情報共有を行う。
- 知識の習得:褥瘡に関する知識を深め、最新の情報を取り入れる。
- チームワーク:医師、看護師、他の介護士と連携し、チームで褥瘡予防に取り組む。
褥瘡ケアに関するよくある質問(Q&A)
褥瘡ケアに関するよくある質問とその回答をまとめました。
-
Q: 褥瘡の予防で最も重要なことは何ですか?
A: 体位変換と体圧分散です。2時間ごとの体位変換を行い、体圧分散寝具を適切に使用することで、褥瘡のリスクを大幅に減らすことができます。
-
Q: 褥瘡ができたら、どのような処置をすれば良いですか?
A: 褥瘡のステージに合わせた適切なドレッシング材を使用し、医師や看護師の指示に従って処置を行います。感染予防のため、清潔を保つことも重要です。
-
Q: 褥瘡の治療期間はどのくらいですか?
A: 褥瘡のステージや患者さんの状態によって異なります。早期発見・早期治療が重要であり、適切なケアを行えば、数週間で治癒することもありますが、重症の場合は、数ヶ月以上かかることもあります。
-
Q: 褥瘡の予防に役立つ食事はありますか?
A: タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取することが重要です。特に、タンパク質は皮膚の再生に不可欠であり、ビタミンCはコラーゲンの生成を促進します。栄養補助食品も有効な場合があります。
-
Q: 家族として、どのようなサポートができますか?
A: 定期的に施設を訪問し、ご家族の様子を観察し、職員との情報交換を行いましょう。褥瘡の状態や処置内容について質問し、疑問点があれば解決するように努めましょう。また、ご家族の精神的なサポートも大切です。
まとめ:より良い褥瘡ケアのために
療養型病院での褥瘡ケアは、患者さんのQOL(生活の質)を左右する重要な要素です。この記事で紹介したチェックリストやアドバイスを参考に、施設の対応を確認し、必要に応じて相談や改善を促しましょう。介護士の皆様は、褥瘡予防の知識を深め、日々のケアに活かすことで、患者さんの健康と幸せに貢献できます。
“`