介護職の移乗介助：40kg以上の体重差でも安全な移乗方法と身体への負担軽減

介護職や介護の経験のある方にお伺いしたいです。 介護の移乗の問題なんですが、どうしてもあがらない人がいます。 前傾にして足を引いてもらってから移乗なんですが、身体を密着ではなく、脇の下に手の平を入れて、少しずつ動かして斜めに持ちあげるようにして欲しいと言われています。 アキレス腱が切れそうになったり、ふんばりが効かずに転倒するというか、利用者さんの身体はビクともせず、こちらの身体が浮いてしまいます。 ジムで筋トレなどもしていて筋肉はあるのですが、力の入れ方が悪いのか？原因が分かりませんが、ビクともしません。 利用者さんは麻痺があり、からだにつかまったり、足で踏ん張ったりもできない人なのでこちらで支えなければいけないのですが、あがらないし耐えれません。 40kg以上の差があっても上がる方法はありますか？ このままだと足を痛めそうで怖いです。

この記事では、介護職の皆様が日々直面する「利用者の移乗介助」における困難、特に40kg以上の体重差がある場合の安全な移乗方法と、介護者の身体への負担軽減について解説します。 多くの介護職員が抱える、腰痛や腱鞘炎などのリスクを減らし、より安全で効率的な介助を実現するための具体的な方法、そしてメンタルヘルスの維持についても触れていきます。 経験豊富な介護士の事例や専門家のアドバイスを交えながら、具体的な解決策を提案します。

1. 移乗困難の原因分析：なぜ40kg以上の体重差で持ち上げられないのか？

まず、質問者様の状況を整理してみましょう。40kg以上の体重差がある利用者様の移乗介助において、身体がビクともせず、介護者側に大きな負担がかかっているとのことです。 これは、単に筋力不足ではなく、以下の要因が考えられます。

• 力の入れ方の問題： 脇の下に手を入れ、斜めに持ち上げる方法は、力のベクトルが適切でない可能性があります。 身体の重心がうまく捉えられていないと、効率的に持ち上げることができません。 正しい身体の使い方、特に体幹の安定と、脚の力を効果的に使う技術が重要です。
• 移乗補助具の活用不足： スライドシート、移乗ボード、リフトなどの移乗補助具を活用することで、大幅に身体への負担を軽減できます。 これらの補助具は、介護者の筋力に頼らず、安全に利用者を移動させるための重要なツールです。
• 利用者様の体位調整の不足： 利用者様の体位が適切でない場合も、移乗が困難になります。 前傾姿勢が適切に保たれていない、あるいは関節が固まっているなど、様々な要因が考えられます。 利用者様の状態に合わせて、体位を調整する必要があります。
• 連携の不足： 複数人で介助を行う場合、連携がスムーズでないと、かえって危険な状況を招く可能性があります。 役割分担を明確にし、声掛けをしながら、連携して作業を行うことが重要です。
• 心理的負担： 40kg以上の体重差は、介護者にとって大きな心理的負担となります。 不安や恐怖心が、身体の緊張につながり、力の入れ方を悪くする可能性があります。 メンタルヘルスのケアも重要です。

2. 安全な移乗方法：具体的なテクニックと補助具の活用

40kg以上の体重差がある場合でも、安全な移乗を実現するための具体的なテクニックと補助具の活用方法をご紹介します。

• 体幹の安定： 移乗介助を行う際は、まず自分の体幹を安定させることが重要です。 腹筋と背筋を意識し、腰を曲げずに、膝を曲げて低い姿勢を保ちます。 これにより、腰への負担を軽減し、安定した姿勢を維持できます。
• 脚の力を使う： 利用者を持ち上げる際は、腕の力だけでなく、脚の力も積極的に使います。 膝を曲げ、脚の筋肉を使って、身体を押し上げるようにします。 これにより、腕への負担を軽減し、スムーズな移乗を実現できます。
• 正しい持ち方： 利用者の身体を密着させるのではなく、脇の下に手のひらを入れ、身体を支えるように持ち上げます。 この時、利用者の重心を意識し、身体全体を支えるようにします。 片側だけに負担がかからないように注意しましょう。
• 移乗補助具の活用： スライドシート、移乗ボード、リフトなどの移乗補助具は、介護者の身体への負担を大幅に軽減します。 それぞれの補助具の特徴を理解し、利用者様の状態に合わせて適切なものを選択することが重要です。 特に、リフトは40kg以上の体重差がある場合でも、安全に利用者を移動させることができます。
• チームワーク： 複数人で介助を行う場合は、役割分担を明確にし、声掛けをしながら、連携して作業を行います。 事前に手順を確認し、スムーズな連携を心がけましょう。

3. 身体への負担軽減：腰痛予防とメンタルヘルスの維持

長時間の介護業務は、腰痛や腱鞘炎などの身体への負担が大きいです。 これらのリスクを軽減するためには、以下の点に注意しましょう。

• 正しい姿勢と動作： 常に正しい姿勢を意識し、無理な体勢を避けることが重要です。 腰を曲げずに、膝を曲げて低い姿勢を保ち、脚の力を利用して作業を行います。
• 休憩の確保： こまめな休憩を取り、身体を休ませることが重要です。 作業中に疲労を感じたら、すぐに休憩を取りましょう。
• ストレッチや筋トレ： 日頃からストレッチや筋トレを行い、身体の柔軟性と筋力を維持しましょう。 特に、体幹を鍛えることが重要です。 職場によっては、健康増進のためのプログラムが用意されている場合もあります。
• メンタルヘルスのケア： 40kg以上の体重差がある利用者の移乗介助は、介護者にとって大きな心理的負担となります。 不安や恐怖心を抱えている場合は、同僚や上司に相談したり、専門機関に相談したりしましょう。 一人で抱え込まず、周囲のサポートを受けることが重要です。

4. 成功事例と専門家のアドバイス

ある介護施設では、移乗補助具の導入と、職員への適切な研修を実施した結果、腰痛による休職者が大幅に減少しました。 研修では、正しい移乗方法の指導だけでなく、メンタルヘルスのケアについても重点的に行われました。 この事例は、適切な対策を行うことで、介護者の身体と心の健康を守ることができることを示しています。

専門家（理学療法士など）のアドバイスを受けることも有効です。 専門家は、利用者様の状態に合わせて、最適な移乗方法を提案し、介護者の身体への負担を軽減するための具体的な指導を行うことができます。

5. まとめ

40kg以上の体重差がある利用者の移乗介助は、介護者にとって大きな負担となりますが、適切な技術と補助具の活用、そしてメンタルヘルスのケアによって、安全かつ効率的に行うことが可能です。 この記事で紹介した具体的な方法を実践し、身体への負担を軽減しながら、利用者様の尊厳を守り、安心して介護業務に取り組んでください。 それでも困難な場合は、一人で抱え込まず、周囲の協力を得たり、専門家のアドバイスを求めることをお勧めします。