介護職のマスク着用義務に悩むあなたへ：N95マスク着用問題と労働者の権利

介護職の方に質問。 マスクは基本的に個人の判断になりました。しかし、医療や介護などの福祉業界では事業所の指示でマスクの装着を指示することが許容されると厚労省が通知しています。（2023/3/13） ここからが質問ですが、当事業所では利用者が単なる風邪気味時から不織布ではなくN95をつけることを標準化にしようとしています。あんなに息しづらいものをコロナかどうかわからない状態時に装着するのは本当に嫌です。また、第5類にもなり、インフルエンザと同じ扱いになったのにまだこの厳戒体制を継続するのにすごく違和感を感じます。これが重度の医療的ケアや高齢者分野なら幾分理解はできますが、障害者・児の利用者で、尚且つ、コロナになってもピンピンしているような方々の支援でN95をする意味が全然わかりません。完全なる自己犠牲の団体ですが、そこまで犠牲になりたくないです。 何かこの厚労省の通達を武器にしている会社に対して、こちらが対抗する手段や法律等はありますか？労働基準法や労働安全衛生法などはなかなかいい案が検索してもヒットしません。 ご教授お願いします。

この記事では、介護職の皆さん、特にN95マスク着用義務に疑問を感じている方を対象に、厚生労働省の通達と労働者の権利のバランス、そして具体的な対処法について解説します。 「息苦しいN95マスクの着用を強いられている」「コロナ第5類移行後も厳しい感染対策が続くことに疑問を感じている」といった悩みを抱える介護職の皆様に、少しでも力になれるよう、法律面、倫理面、そして具体的な行動指針まで、詳しくご説明していきます。

1. 厚生労働省の通達と現状の解釈

2023年3月13日の厚生労働省の通知は、医療・介護現場におけるマスク着用について、事業所の判断を容認するものでした。しかし、この通知は「事業所の判断」を絶対的なものとしておりません。 重要なのは、その判断が「労働者の安全と健康」を最優先事項として行われているかどうかです。 利用者の状態や業務内容、そして労働者の意見を十分に考慮した上で、適切な感染対策が講じられている必要があります。 単に「N95マスク着用」を標準化することが、必ずしも「安全と健康」を確保することに繋がるわけではない点に注意が必要です。

専門家の視点： 労働安全衛生法は、事業者に対し、労働者の安全と健康を確保する義務を課しています。N95マスクの着用が労働者の健康に悪影響を及ぼす可能性がある場合、事業者はそのリスクを軽減するための措置を講じなければなりません。単なる感染対策だけでなく、労働者の負担軽減も考慮すべきです。

2. N95マスク着用による健康への影響

N95マスクは高い防護性能を誇りますが、長時間着用すると息苦しさや頭痛、めまいなどを引き起こす可能性があります。特に、介護現場では身体的な負担が大きい業務が多く、N95マスクの着用は労働者の健康に深刻な影響を与える可能性があります。 この点について、事業者は十分な配慮が必要です。

3. 労働基準法・労働安全衛生法との関連性

貴方の疑問は、労働基準法や労働安全衛生法に抵触する可能性があります。具体的には、以下の点が問題視されます。

* **労働者の健康への配慮義務違反：** 事業者は、労働者の健康を確保する義務を負っています。N95マスクの着用が労働者の健康に悪影響を与える可能性があるにも関わらず、それを強いることは、この義務に違反する可能性があります。
* **過剰な労働負担：** N95マスクの着用は、労働者の身体的・精神的な負担を増大させます。それが過剰な負担となる場合、労働基準法違反となる可能性があります。
* **労働条件の変更に関する協議義務違反：** マスク着用に関するルール変更は、労働条件の変更に該当する可能性があります。事業者は、労働者と十分に協議し、合意を得る必要があります。

4. 対抗手段と具体的な行動

では、どのように対処すれば良いのでしょうか？ 以下のステップを踏んで対応することをお勧めします。

1. 事実の記録： N95マスク着用による身体的不調や精神的な負担を詳細に記録しましょう。日付、時間、症状などを具体的に記載することが重要です。写真や動画の証拠も有効です。
2. 事業所への申し入れ： 記録を基に、事業所に対し、N95マスク着用に関する問題点を伝え、改善を求める申し入れを行いましょう。具体的な改善策（不織布マスクへの変更、休憩時間の延長など）を提案することも効果的です。
3. 労働組合への相談： 労働組合に加入している場合は、労働組合に相談し、支援を求めましょう。労働組合は、労働者の権利を守るための強力な武器となります。
4. 労働基準監督署への相談：** 事業所との話し合いがうまくいかない場合は、労働基準監督署に相談しましょう。労働基準監督署は、労働基準法や労働安全衛生法の違反を調査し、是正勧告を行う権限を持っています。
5. 弁護士への相談：** 労働基準監督署への相談でも解決しない場合は、弁護士に相談することを検討しましょう。弁護士は、法律的な観点から適切なアドバイスを行い、必要であれば訴訟などの法的措置を支援します。

5. 成功事例と専門家のアドバイス

過去には、過剰な残業やパワハラを理由に、労働者が事業主を訴え、勝訴した事例があります。これらの事例は、労働者の権利を守るための重要な判例となっています。 専門家のアドバイスとしては、まず記録をしっかり残し、証拠を固めることが重要です。 そして、冷静に、しかし毅然とした態度で事業所と交渉することが求められます。

6. まとめ

介護職の皆さんは、利用者のケアに尽力しながら、自身の健康も守る必要があります。N95マスク着用に関する問題は、労働者の権利と事業者の責任が複雑に絡み合った問題です。 まずは、自身の状況を正確に把握し、記録を残すことが重要です。 そして、事業所との対話、労働組合や労働基準監督署への相談、弁護士への相談など、適切な手段を選択し、自身の権利を守りましょう。 一人で抱え込まず、周囲のサポートを活用することが大切です。 あなたの健康と権利を守るため、適切な行動を起こしてください。