個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱの併用は可能？デイサービス運営者が抱える疑問を徹底解説

この記事では、介護報酬改定の波を受け、加算体制の強化を目指す小規模デイサービス施設の運営者様に向けて、個別機能訓練加算ⅠとⅡの併用に関する疑問を解決します。長年、介護業界で培ってきた私の経験と知識をもとに、具体的なアドバイスと成功事例を交えながら、あなたの施設が抱える課題を乗り越えるためのお手伝いをさせていただきます。

当施設は、今年オープンした10名以下の半日のリハビリ型デイサービスです。介護報酬が下がるなか、加算体制の基盤をしっかりと整えたいと考えております。

人員配置は、施設長兼機能訓練指導員(常勤) 生活相談員(常勤) 介護職員(パート)1～2名 で構成されております。

機能訓練指導員が常勤配置の為、個別機能訓練加算Ⅰ Ⅱの要件を満たしている様に思うのですが、これまで数年働いてきたなかで、個別機能訓練加算のⅠ と Ⅱを併用しているデイサービスを見た記憶が殆どありません。

機能訓練指導員が常勤配置ではない通所介護が多いのか、それともⅡを算定することで5人以下の少数人での指導が困難なのか、今年の法律改正で3ヶ月に1度自宅までの訪問義務が負担なのか..色々と考えを巡らせてみましたが、私個人では答えが見つかりませんでした。

こちらとしては、ⅠとⅡを併用した書類作成や3月に1度の訪問義務、少数人指導も10人以下の施設なので、正直大きな負担だとは考えてない為、併用して加算を算定したいと思っております。

上記について、ご意見を頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。

個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱの基礎知識

まずは、個別機能訓練加算ⅠとⅡの基本的な知識をおさらいしましょう。これらの加算は、利用者の心身機能の維持・向上を目的として、専門的な機能訓練を提供する際に算定できるものです。それぞれの加算には、算定するための具体的な要件が定められています。これらの要件を正確に理解し、自施設の状況と照らし合わせることが、加算算定の第一歩となります。

• 個別機能訓練加算Ⅰ:

  利用者の状態に応じた機能訓練計画を作成し、計画に基づいた訓練を実施することで算定できます。計画作成には、医師や理学療法士、作業療法士などの専門職が関与することが求められます。また、訓練の実施状況を記録し、定期的に評価を行う必要があります。

• 個別機能訓練加算Ⅱ:

  個別機能訓練加算Ⅰの要件を満たした上で、さらに専門性の高い機能訓練を提供する場合に算定できます。具体的には、専門的な知識や技術を持つ機能訓練指導員が、利用者の状態に合わせて個別プログラムを作成し、実施することが求められます。また、訓練の効果を詳細に評価し、計画に反映させる必要があります。

これらの加算を算定することで、介護報酬を増やすことができ、施設の経営安定化に貢献できます。しかし、加算算定には、人員配置や書類作成、訓練内容など、様々な要件を満たす必要があります。これらの要件をクリアするために、具体的な対策を講じる必要があります。

個別機能訓練加算ⅠとⅡの併用は可能か？

結論から申し上げますと、個別機能訓練加算ⅠとⅡの併用は可能です。しかし、併用するためには、それぞれの加算の要件をすべて満たす必要があります。つまり、個別機能訓練加算Ⅰの要件を満たした上で、さらに個別機能訓練加算Ⅱの要件も満たす必要があります。

ご相談者様の施設は、機能訓練指導員が常勤で配置されているとのことですので、加算算定の基本的な要件は満たしていると考えられます。しかし、具体的な算定可否は、施設の運営状況や、機能訓練の内容、記録の整備状況などによって異なります。以下に、併用を検討する際の具体的なポイントを解説します。

• 人員配置:

  機能訓練指導員が常勤で配置されていることは、加算算定の大きなメリットです。しかし、人員配置だけでなく、機能訓練指導員の専門性や経験も重要です。質の高い機能訓練を提供するためには、適切な研修や教育を受けている人材を配置することが望ましいでしょう。

• 機能訓練計画の作成:

  個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱを算定するためには、利用者の状態に応じた機能訓練計画を作成する必要があります。計画には、目標設定、訓練内容、評価方法などが含まれます。計画は、医師や理学療法士、作業療法士などの専門職が関与して作成することが望ましいでしょう。

• 機能訓練の実施:

  計画に基づいた機能訓練を、利用者の状態に合わせて実施する必要があります。訓練内容は、利用者の心身機能の維持・向上を目的としたものでなければなりません。また、訓練の実施状況を記録し、定期的に評価を行う必要があります。

• 記録の整備:

  加算算定には、記録の整備が不可欠です。訓練の実施記録、評価記録、計画変更の記録など、様々な記録を正確に作成し、保管する必要があります。記録が不十分な場合、加算が認められない可能性があります。

• 3ヶ月に1度の訪問指導:

  令和6年度の介護報酬改定により、個別機能訓練加算Ⅱを算定している場合は、3ヶ月に1回、利用者の居宅を訪問し、生活状況や訓練の効果を確認することが義務付けられました。訪問指導の際には、利用者の状態を評価し、今後の訓練計画に反映させる必要があります。これは、加算算定の大きな負担となる可能性があります。

加算算定のための具体的なステップ

個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱの併用を目指す場合、以下のステップで準備を進めることをお勧めします。

1. 現状分析:

   まずは、自施設の現状を正確に把握することから始めましょう。人員配置、機能訓練の内容、記録の整備状況などを詳細に分析し、加算算定に必要な要件がどの程度満たされているのかを確認します。

2. 計画策定:

   現状分析の結果を踏まえ、加算算定に向けた具体的な計画を策定します。計画には、人員配置の見直し、機能訓練の内容改善、記録の整備方法などが含まれます。計画は、施設の規模や状況に合わせて、現実的な内容にすることが重要です。

3. 書類作成:

   加算算定に必要な書類を作成します。機能訓練計画書、実施記録、評価記録など、様々な書類を正確に作成し、保管します。書類作成には、専門家のサポートを受けることも有効です。

4. 研修の実施:

   機能訓練指導員や介護職員に対して、加算算定に関する研修を実施します。研修では、加算の要件、機能訓練の具体的な方法、記録の作成方法などを学びます。研修を通して、職員のスキルアップを図り、質の高い機能訓練を提供できる体制を整えます。

5. 3ヶ月に1度の訪問指導の準備:

   個別機能訓練加算Ⅱを算定する場合は、3ヶ月に1度の訪問指導の準備も必要です。訪問指導の際には、利用者の居宅を訪問し、生活状況や訓練の効果を確認します。訪問指導の記録を作成し、今後の訓練計画に反映させます。

6. 申請手続き:

   必要な書類を揃え、管轄の自治体に加算算定の申請を行います。申請手続きには、専門家のサポートを受けることも有効です。

成功事例から学ぶ

実際に、個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱを併用し、成功を収めているデイサービス施設の事例をご紹介します。

事例1: A施設の取り組み

A施設は、定員20名の小規模デイサービスです。機能訓練指導員、生活相談員、介護職員を配置し、個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱを併用しています。A施設では、利用者の状態に合わせて、理学療法士が作成した個別プログラムを実施しています。プログラムは、運動器機能の改善、認知機能の維持・向上、日常生活動作の改善などを目的としています。A施設では、3ヶ月に1度の訪問指導も実施し、利用者の生活状況を確認し、訓練の効果を評価しています。その結果、利用者の心身機能の維持・向上に大きく貢献し、高い評価を得ています。

事例2: B施設の取り組み

B施設は、15名の小規模デイサービスです。B施設では、機能訓練指導員が中心となり、利用者の状態に合わせた個別プログラムを作成しています。プログラムには、レッドコードや平行棒などを用いた運動療法、認知リハビリテーション、日常生活動作訓練などが含まれます。B施設では、記録の整備にも力を入れており、訓練の実施記録、評価記録、計画変更の記録などを正確に作成し、保管しています。また、3ヶ月に1度の訪問指導も実施し、利用者の生活状況や訓練の効果を確認しています。その結果、利用者の心身機能の改善だけでなく、QOL（生活の質）の向上にも貢献しています。

加算算定における注意点

加算算定には、いくつかの注意点があります。これらの注意点を理解しておくことで、加算算定をスムーズに進めることができます。

• 法令遵守:

  加算算定は、介護保険法などの法令に基づいて行われます。法令を遵守し、不正な請求を行わないように注意しましょう。法令違反があった場合、加算の取り消しや、返還を求められる可能性があります。

• 記録の正確性:

  記録は、加算算定の根拠となる重要なものです。記録は、正確かつ詳細に作成し、保管する必要があります。記録に不備があった場合、加算が認められない可能性があります。

• 情報公開:

  加算算定に関する情報は、利用者や関係者に適切に開示する必要があります。情報公開を通して、施設の透明性を高め、信頼関係を築くことが重要です。

• 定期的な見直し:

  加算算定に関する制度は、定期的に変更される可能性があります。常に最新の情報を収集し、加算算定の内容を見直す必要があります。また、自施設の状況に合わせて、加算算定の方法を改善することも重要です。

• 専門家との連携:

  加算算定には、専門的な知識や経験が必要です。必要に応じて、専門家（介護コンサルタント、社会保険労務士など）に相談し、アドバイスを受けることも有効です。

まとめ

個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱの併用は、小規模デイサービス施設の経営を安定させ、質の高いサービスを提供するために有効な手段です。しかし、併用するためには、それぞれの加算の要件をすべて満たす必要があります。現状分析、計画策定、書類作成、研修の実施、3ヶ月に1度の訪問指導の準備、申請手続きなど、様々なステップを踏む必要がありますが、これらのステップを一つずつクリアしていくことで、必ず成功に繋がります。この記事で解説した内容を参考に、ぜひ個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱの併用にチャレンジしてみてください。そして、あなたのデイサービスが、地域社会に貢献できる、より良い施設となることを心から願っています。

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