「親の認知症、どうすれば？」介護と仕事の両立、プロが教える解決策

今回は、ご家族の介護と仕事の両立に悩む方々へ、具体的な解決策と心構えをお伝えします。認知症の親御さんの介護は、心身ともに大きな負担となり、仕事との両立は困難を極めることも少なくありません。しかし、適切な知識と対策を講じることで、状況を改善し、より良い生活を送ることが可能です。

86歳、日に日に痴呆がひどくなっていくのがわかります。プライドばかり高くて、現実を見つめようとしませんので、医療機関にもかかってくれません。人間ドックと言って脳ドックを受けさせようとしても、自分の体のことはわかっていると取り合いません。

具体的な症状

• 旅行に行くと、ホテルの部屋に自力で帰れない。
• 施設等で自分の靴を覚えられず、他人の靴を履いて帰ろうとする。
• 帰って来られないのがわかっているので、一人で外出ができない。
• 食器用洗剤を清涼飲料水と間違え、飲む。キッチンに置いてあるのを勝手に飲んだにもかかわらず「間違えた俺が悪いんか」と逆切れし怒鳴る。
• 昼前から始め、1日中昼寝数回をはさんで夜寝るまで酒を飲む。寝ていない間は常に飲んでいる。
• 靴ひもを結べない。こちらがきれいに結んでも、勝手にほどいてやり直し、結局めちゃくちゃにする。
• 大便をしかぶり、下着を汚す。本人は「小」だと言って認めない。
• 室内洗濯物干しをたためば済むものをなぜか分解する。その場では「組み立てる」と言い、督促すると「俺が壊したんじゃないのになしか」

1日中酒ばかり飲み、気に要らないことがあると怒鳴りまくる。ほぼ自業自得の自分の失敗についてです。

私は近所に住んでいますが、母から毎日事の次第を聞かされています。

こんな本人が痴呆を認めない身内を持った方、どうやって診察を受けさせましたか。診察を受ければ、痴呆の進行を遅らせることができるとも聞きました。どなたかお知恵をお貸しください。

ご相談ありがとうございます。ご家族の介護と仕事の両立は、本当に大変な問題です。特に、ご本人が認知症を認めず、医療機関への受診を拒否する場合、どのように対応すれば良いのか悩むのは当然のことです。この記事では、認知症の初期症状、受診を促すための具体的なアプローチ、そして介護と仕事を両立させるためのヒントを、具体的な事例を交えながら解説していきます。

1. 認知症の初期症状と進行について理解する

認知症は、様々な原因で脳の機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態を指します。初期症状は、物忘れや判断力の低下など、気づきにくいものも多く、本人も周囲も「年のせい」と片付けてしまいがちです。しかし、早期に適切な対応をすることで、進行を遅らせたり、症状を緩和したりすることが可能です。

1-1. 認知症の初期症状のサイン

認知症の初期症状には、以下のようなものがあります。

• 物忘れ：直前に話した内容を忘れる、同じことを何度も言う、物の置き場所を忘れるなど。
• 判断力の低下：金銭管理が苦手になる、道に迷う、今までできていた料理ができなくなるなど。
• 見当識障害：時間や場所、人がわからなくなる。
• 感情の変化：些細なことで怒りやすくなる、不安感が強くなる、意欲がなくなるなど。
• 性格の変化：以前は穏やかだった人が攻撃的になる、疑い深くなるなど。
• 身体的な変化：着替えができなくなる、入浴を嫌がる、排泄の失敗など。

これらの症状は、加齢によるものと区別がつきにくい場合もありますが、日常生活に支障をきたすようであれば、専門医への相談を検討しましょう。

1-2. 認知症の進行と対応の重要性

認知症は、進行性の病気であり、放置すると症状は悪化していきます。しかし、早期に診断を受け、適切な治療やケアを行うことで、進行を遅らせることが可能です。また、本人の尊厳を守りながら、より良い生活を送るためのサポートも重要です。

認知症の進行を遅らせるためには、以下の3つの柱が重要です。

1. 早期診断と治療：専門医による診断を受け、適切な薬物療法やリハビリテーションを行います。
2. 生活環境の整備：安全で安心できる環境を整え、本人ができることを維持できるようにサポートします。
3. 家族や周囲のサポート：認知症に関する正しい知識を持ち、本人の気持ちに寄り添いながら、適切な対応をします。

2. 認知症の親御さんに受診を促すための具体的なアプローチ

認知症の疑いがある親御さんに、どのように受診を促すかは、多くの介護者が抱える悩みです。本人が病気を認めず、受診を拒否する場合、無理強いするのではなく、本人の気持ちに寄り添いながら、段階的にアプローチすることが重要です。

2-1. 信頼関係を築く

まずは、親御さんとの信頼関係を築くことが大切です。日頃からコミュニケーションを取り、親御さんの話に耳を傾け、共感する姿勢を示しましょう。一方的に話すのではなく、親御さんの気持ちを理解しようと努めることで、関係性が深まり、相談しやすくなります。

2-2. 専門家への相談

一人で抱え込まず、専門家に相談することも有効です。かかりつけ医や地域包括支援センター、認知症疾患医療センターなどに相談し、アドバイスを受けましょう。専門家は、認知症に関する知識や経験が豊富であり、具体的な対応策を提案してくれます。

2-3. 受診を促すための具体的な方法

受診を促す際には、以下の点を意識しましょう。

• 本人の不安を取り除く：受診に対する不安や抵抗感を和らげるために、事前に検査内容や目的を説明し、安心感を与えましょう。
• 家族の協力を得る：兄弟姉妹や親しい親戚など、家族の協力を得て、一緒に受診を促すようにしましょう。
• 専門家の意見を活用する：かかりつけ医や地域包括支援センターの職員など、専門家から受診を勧めてもらうことで、本人の抵抗感を減らすことができます。
• 「人間ドック」という口実を使う：脳ドックという言葉を使わずに、「健康診断」や「体のチェック」という言葉で受診を促すのも有効です。
• 本人の興味を引く：趣味や好きなことに関連付けて、受診のメリットを説明するのも良いでしょう。例えば、「旅行に行くために、健康状態をチェックしよう」など。

【成功事例】

80代の父親が認知症を認めず、受診を拒否していたケース。娘さんが、父親の好きな旅行を口実に、「旅行に行く前に、健康状態をチェックしておこう」と受診を勧めました。かかりつけ医にも事前に相談し、協力してもらったことで、父親は比較的スムーズに受診を受け入れ、早期に診断を受けることができました。

3. 介護と仕事を両立させるためのヒント

介護と仕事の両立は、時間的にも精神的にも大きな負担となります。しかし、適切な対策を講じることで、両立を可能にし、より良い生活を送ることができます。

3-1. 制度の活用

介護と仕事を両立させるためには、様々な制度を活用することが重要です。

• 介護休業：介護が必要な家族を介護するために、最長93日まで取得できる休業制度です。
• 介護休暇：介護が必要な家族を介護するために、年間5日まで取得できる休暇制度です。
• 勤務時間の短縮：勤務時間を短縮したり、時差出勤をしたりすることで、介護と仕事を両立しやすくなります。
• テレワーク：在宅勤務をすることで、介護をしながら仕事を進めることができます。
• 介護保険サービス：訪問介護やデイサービスなど、様々な介護保険サービスを利用することで、介護の負担を軽減することができます。

これらの制度は、会社によって利用できる条件や内容が異なりますので、事前に人事担当者や上司に相談し、確認しておきましょう。

3-2. 家族や周囲の協力を得る

介護は、一人で抱え込まず、家族や周囲の協力を得ることが重要です。兄弟姉妹や親戚、友人など、頼れる人に相談し、役割分担をすることで、負担を軽減することができます。

【成功事例】

共働きの夫婦が、認知症の母親の介護と仕事の両立に悩んでいたケース。夫婦で話し合い、週末は夫が、平日は妻が介護を担当することにしました。また、近所に住む親戚にも協力を依頼し、定期的に母親の様子を見てもらうようにしました。さらに、デイサービスなどの介護保険サービスも利用することで、介護の負担を軽減し、仕事との両立を実現しました。

3-3. 地域のサポートを活用する

地域には、介護に関する様々なサポートがあります。地域包括支援センターやNPO法人などが、介護に関する相談や情報提供、サービスの紹介などを行っています。積極的に活用し、情報収集を行いましょう。

• 地域包括支援センター：高齢者の総合相談窓口として、介護に関する相談や情報提供、サービス調整などを行います。
• 認知症カフェ：認知症の人やその家族、地域住民が気軽に集い、交流できる場です。
• NPO法人：介護に関する様々なサービスを提供し、情報交換や交流の場を提供しています。

3-4. 介護サービスの活用

介護保険サービスを積極的に活用することで、介護の負担を軽減することができます。訪問介護やデイサービス、ショートステイなど、様々なサービスを組み合わせて利用することで、本人の自立を支援し、家族の負担を軽減することができます。

• 訪問介護：ヘルパーが自宅を訪問し、食事や入浴、排泄などの介助を行います。
• デイサービス：日中に施設に通い、食事や入浴、レクリエーションなどを行います。
• ショートステイ：短期間、施設に入所し、介護サービスを受けます。
• グループホーム：認知症の人が少人数で共同生活を送る施設です。

3-5. 自分の心と体のケア

介護は、心身ともに大きな負担がかかります。自分の心と体のケアも忘れずに行いましょう。

• 休息：十分な睡眠を取り、休息時間を確保しましょう。
• 気分転換：趣味や好きなことをしたり、気分転換になるような活動を取り入れましょう。
• 相談：家族や友人、専門家などに相談し、悩みを打ち明けましょう。
• ストレス解消：適度な運動をしたり、リラックスできる時間を作ったりして、ストレスを解消しましょう。

【専門家の視点】

「介護と仕事の両立は、一人で抱え込まず、周囲の協力を得ることが重要です。また、介護保険サービスや地域のサポートを積極的に活用し、自分の心と体のケアも忘れずに行いましょう。」（介護福祉士）

介護と仕事の両立は、決して簡単なことではありません。しかし、適切な知識と対策を講じることで、状況を改善し、より良い生活を送ることが可能です。まずは、ご自身の状況を整理し、利用できる制度やサービスを調べ、周囲の人々と協力しながら、一つずつ課題を解決していくことが大切です。

4. まとめ：介護と仕事の両立を成功させるために

認知症の親御さんの介護と仕事の両立は、多くの困難を伴いますが、諦めることなく、様々な対策を講じることで、より良い状況を作り出すことが可能です。以下に、成功のためのポイントをまとめます。

• 早期発見と対応：認知症の初期症状に気づき、早期に専門医に相談することが重要です。
• 受診を促す工夫：本人の気持ちに寄り添い、信頼関係を築きながら、受診を促す工夫をしましょう。
• 制度の活用：介護休業や介護休暇など、利用できる制度を積極的に活用しましょう。
• 周囲の協力：家族や友人、地域の人々の協力を得て、介護の負担を軽減しましょう。
• 介護サービスの活用：訪問介護やデイサービスなど、介護保険サービスを積極的に利用しましょう。
• 自己ケア：自分の心と体のケアを忘れず、休息や気分転換を心がけましょう。

これらのポイントを参考に、ご自身の状況に合わせて、最適な方法を見つけてください。そして、決して一人で抱え込まず、周囲の人々と協力しながら、前向きに進んでいきましょう。介護と仕事の両立は、大変な道のりですが、必ず乗り越えることができます。応援しています。

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