介護職がケアプランを作成する施設の現状と法令遵守について

特養勤務の介護士です。うちは入居者様のケアプランを介護職員が作成しています（同法人の老健も介護職が作成しています）。相談員がケアマネを兼務していますが、カンファレンスでプランの最終確認するのみで、普段は介護職員が打ち込んだモニタリングや評価を見て印鑑を押すだけで、プラン作成に関わることもありません。プラン自体には、介護支援専門員の欄には兼務している相談員の名前があり、その横に作成した介護職員の名前が担当介護職員として載っています。プランの一部には担当介護職員を「作成協力者」という記載もありますが、実際は協力者どころか作成の99%を介護職がしています。入社当時からこれでやってきたので介護職員が作成するのが当たり前の感覚ですが、他の施設から来られる中途採用者に聞くと、介護職員が作成しているケースは少ないと聞きます。職員の中には「都合よく使われている」と不満を漏らす人もいますが、資格の差であったり、法人のやり方なので嫌ならプラン作成の無いところへ転職するしかないと思っています。長くなりましたが、聞きたい事は２つです。①このプランを見た家族からしたら、やはり介護支援専門員が作成したと思いますかね？②うちのやり方（介護職が作る）が違法ではないと思っていますが、仮に介護支援専門員が作成しなければいけないとか、介護職が作成する義務はないとかあれば教えて下さい。補足「モニタリングや評価」って重複した意味になってました。

この記事では、介護施設におけるケアプラン作成の実態、特に介護職員が中心となってケアプランを作成している現状について、法律の観点から解説します。そして、介護職員のキャリアアップや働きがい、転職に関するアドバイスも合わせてご紹介します。 多くの介護士の方々が抱える、やりがいと負担のバランス、そして将来への不安といった問題に焦点を当て、具体的な解決策を提示していきます。

1. ケアプラン作成における介護職員と介護支援専門員の役割

まず、ご質問の①「このプランを見た家族からしたら、やはり介護支援専門員が作成したと思いますかね？」についてお答えします。ケアプランには介護支援専門員の名前が記載されているため、家族は介護支援専門員が作成したと考えるのが自然です。しかし、実際には介護職員が作成しているとのこと。この状況は、家族にとって、そして介護職員にとっても、いくつかの問題点を孕んでいます。

家族は、介護支援専門員という専門家の知識と経験に基づいたケアプランが提供されていると信じています。しかし、実際は介護職員が作成している場合、その専門性の担保が曖昧になり、家族の不信感につながる可能性があります。また、介護職員が作成したプランに問題があった場合、責任の所在が不明確になるリスクも存在します。

介護職員の立場から見ると、専門性の高い業務を担っているにも関わらず、その功績が適切に評価されていない、あるいは、本来の業務範囲を超えた負担を強いられていると感じている方もいるでしょう。これは、モチベーションの低下や離職につながる可能性があります。

2. ケアプラン作成における法令上の問題点

次に、ご質問の②「うちのやり方（介護職が作る）が違法ではないと思っていますが、仮に介護支援専門員が作成しなければいけないとか、介護職が作成する義務はないとかあれば教えて下さい。」について解説します。介護保険法では、ケアプランの作成は介護支援専門員が行うことが義務付けられています。介護職員が作成することは、法令違反ではありませんが、介護支援専門員が作成したプランを介護職員が修正・協力する形をとるべきです。 貴施設の現状は、介護支援専門員が形式的に関与しているだけで、実質的な作成は介護職員が行っている状態です。これは、介護支援専門員の責任を果たせていないだけでなく、介護職員に過剰な負担を強いている可能性があります。

介護支援専門員は、利用者の状況を的確に把握し、医療・介護サービスの専門家と連携しながら、個々の利用者に最適なケアプランを作成する責任を負っています。介護職員は、ケアプランに基づいて、利用者のケアを行う役割です。この役割分担が明確でないことは、ケアの質の低下や、介護職員のモチベーション低下につながる可能性があります。 ケアプラン作成に介護職員が関わることは問題ありませんが、それは介護支援専門員の指示・監督の下で行われるべきです。 現状では、介護職員が作成したプランを介護支援専門員が確認するだけの形になっているため、介護支援専門員の責任を果たせているとは言えません。

重要なのは、ケアプラン作成のプロセスにおいて、介護支援専門員が責任者として関わっているかどうかです。 単に最終確認をするだけでなく、プラン作成の過程において、介護職員と綿密に連携し、専門的な知識と判断に基づいてプランを決定する必要があります。 貴施設の現状では、この点が不足している可能性が高いと言えます。

3. 改善策と転職の選択肢

現状の改善策としては、以下の点が考えられます。

• 介護支援専門員の役割強化： ケアプラン作成における介護支援専門員の関与を深める。介護職員からの情報収集を徹底し、専門的な知識・経験に基づいたプラン作成を行う。
• 介護職員への教育・研修： ケアプラン作成に関わる介護職員への教育・研修を実施し、ケアプラン作成の知識・スキルを向上させる。
• 業務分担の明確化： 介護支援専門員と介護職員それぞれの役割を明確化し、責任と権限を明確にする。
• 記録の整備： ケアプラン作成のプロセスを記録し、介護支援専門員と介護職員間の連携状況を明確にする。

しかし、これらの改善が難しい場合、転職も一つの選択肢です。転職活動においては、以下の点を意識しましょう。

• 求める条件の明確化： 自分のキャリアプランを明確にし、どのような職場で働きたいかを具体的に考える。
• 情報収集： 複数の求人サイトや転職エージェントを利用し、自分に合った求人を探す。
• 面接対策： 面接では、自分の経験やスキル、キャリアプランを明確に伝える。
• 職場環境の確認： 面接や職場見学を通して、職場の雰囲気や働き方をしっかり確認する。

特に、ケアプラン作成に携わる機会が少ない、またはケアプラン作成以外の業務に集中できる職場を選ぶことで、業務負担を軽減し、より働きやすい環境を見つけることができるでしょう。 転職活動は大変ですが、より充実したキャリアを築くための重要なステップです。 自分のスキルや経験を活かせる、そしてやりがいを感じられる職場を見つけるために、積極的に行動しましょう。

4. まとめ

介護施設におけるケアプラン作成は、介護支援専門員の責任と役割が非常に重要です。介護職員が作成に関わることは問題ありませんが、介護支援専門員の指導・監督の下で行われなければなりません。 現状に不満を感じているのであれば、改善を働きかけるか、あるいは転職という選択肢も検討しましょう。 転職活動においては、自分のキャリアプランを明確にし、自分に合った職場を選ぶことが大切です。 多くの情報収集を行い、納得のいく転職活動を進めてください。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律相談ではありません。具体的な法的アドバイスが必要な場合は、専門家にご相談ください。