介護職の夜勤における吸引業務と法令遵守：新人の安全と法令順守のための対応策

介護施設での吸引（喀痰吸引等研修）についてお聞きします。働く施設（特養）は登録喀痰吸引等事業者に登録されており、すでに喀痰吸引等を行っている介護職員は多数います。夜勤帯は２人の職員でしていますが、どちらか１人は吸引が行える職員を配置しています。ただ夜勤に引き継ぐまでの時間帯で、看護師も退勤後の３時間のみ、遅番が２人体制になります。夜勤はどちらか１人が吸引できるように配慮しているようですが、この遅番に関しては勤務作成の関係で２人ともが吸引が行えない組み合わせがあります。今月から新人がこの遅番勤務に入る事になりましたが、実地研修が終了していません。相方の遅番を確認したところ、吸引が行えない職員もいました。これについて勤務作成している上司に相談。「やはり吸引が行えないとなると待機看護師に連絡でしょうか？」と話すと、横にいた新人に「○○さん（新人）吸引できない？」と聞いてました。新人は一瞬フリーズして「あぁ、、いやぁ、、」みたいな返事です。自分は制度が出来る前からの人間なので、吸引は暗黙の了解でやっていました（今は研修受けて資格あり）。吸引以外にも、他部署では点滴の針を介護職員が抜くといった行為もしていた法人ですが、数年前からこういったNGなことは絶対にやらないという方針に切り替えています。この上司も自分の少し上の世代なので、暗黙の了解でやることにあまり罪の意識はありません。制度の理解が乏しければ申し訳ないですが、この状況で新人が吸引を行うとアウトですよね？何か抜け穴のような特別な措置があったりしますか？新人を守りたいので、知恵をお貸しください。

この質問は、介護施設における夜勤体制、特に喀痰吸引に関する業務分担と、新人の配置、そして法令遵守について深刻な懸念を抱いている介護職員の方からの相談です。経験豊富なベテラン職員の方でも、法改正や施設の方針変更に戸惑う場面があることを理解した上で、具体的な解決策と、今後のリスク管理についてご説明します。

１．現状分析：潜在的なリスクと法令違反の可能性

現状の勤務体制では、遅番勤務において吸引可能な職員が不在となる可能性があり、これは大きなリスクです。仮に、吸引が必要な事態が発生した場合、適切な処置が遅れることで、利用者の生命や健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。さらに、研修を受けていない新人が吸引を行うことは、法令違反に該当する可能性が高く、施設側にも責任が問われる可能性があります。

上司の「暗黙の了解」という発言からも、施設内の法令遵守意識に課題があることが伺えます。過去の慣習に囚われず、現在の法令に基づいた適切な対応が求められています。 特に、医療行為である喀痰吸引を、資格や研修を受けていない職員が行うことは、重大な医療ミスにつながる可能性があり、絶対に避けなければなりません。

２．具体的な解決策：安全確保と法令遵守のためのステップ

まず、緊急時の対応マニュアルを作成し、全職員に周知徹底することが重要です。マニュアルには、吸引が必要な状況が発生した場合の連絡体制、手順、そして責任者の役割などを明確に記載する必要があります。

• ステップ１：緊急時の連絡体制の確立：夜勤帯だけでなく、遅番勤務においても、吸引が必要な場合は、速やかに看護師または医師に連絡する体制を確立しましょう。連絡先一覧を作成し、常に携帯可能な場所に保管しておくことが重要です。連絡先には、担当医、夜間対応の医療機関、そして緊急連絡先などを記載します。
• ステップ２：吸引可能な職員の確保：遅番勤務においても、常に少なくとも１名は吸引可能な職員を配置する必要があります。人員配置の変更や、パート職員の追加雇用などを検討する必要があるかもしれません。シフト作成においても、吸引可能な職員の配置を優先事項として考慮する必要があります。人員不足が深刻な場合は、外部の派遣会社に相談するのも有効です。
• ステップ３：新人の教育と研修：新人が吸引業務を行うためには、適切な研修を受けることが不可欠です。研修内容には、吸引の技術だけでなく、法令遵守、リスク管理、そして緊急時の対応なども含まれるべきです。研修後には、十分な実習を行い、スキルを習得していることを確認する必要があります。研修記録はきちんと残し、必要に応じて提出できるようにしましょう。
• ステップ４：上司への指導：上司には、法令遵守の重要性と、過去の慣習に囚われないよう指導する必要があります。施設全体で法令遵守を徹底し、安全な職場環境を作るためには、上司の理解と協力が不可欠です。
• ステップ５：定期的な研修と見直し：吸引に関する法令やガイドラインは、変更される可能性があります。定期的に研修を行い、最新の情報に基づいた対応ができるようにする必要があります。また、勤務体制やマニュアルなども定期的に見直し、改善していくことが重要です。

３．成功事例：法令遵守と安全管理のベストプラクティス

ある特養では、夜勤体制の見直しを行い、常に吸引可能な職員を配置することで、安全性を確保しました。また、定期的な研修を実施し、職員のスキルアップを図ることで、医療ミスを防止することに成功しています。さらに、緊急時の対応マニュアルを作成し、全職員に周知徹底することで、迅速かつ適切な対応が可能になりました。これらの取り組みによって、利用者と職員の双方にとって安全で安心な職場環境が実現しています。

他の施設の事例を参考に、自施設の状況に合った最適な解決策を見つけ出すことが重要です。専門機関やコンサルタントに相談することも有効な手段です。

４．専門家からのアドバイス：法令遵守とリスク管理の重要性

介護施設における医療行為は、常に法令と倫理に基づいて行われる必要があります。特に、喀痰吸引は医療行為に該当するため、資格や研修を受けていない職員が行うことは、重大な法令違反となります。医療事故が発生した場合、施設側にも責任が問われる可能性があります。そのため、法令遵守を徹底し、リスク管理を強化することが不可欠です。専門家のアドバイスを受けることで、より安全で安心な職場環境を構築することができます。

５．まとめ：新人の安全と法令遵守を最優先事項に

今回のケースでは、新人の安全と法令遵守を最優先事項として、迅速かつ適切な対応が必要です。緊急時の連絡体制の確立、吸引可能な職員の確保、新人の研修、そして上司への指導など、複数の対策を講じる必要があります。これらの対策を講じることで、利用者と職員の双方にとって安全で安心な職場環境を構築することができます。そして、常に法令遵守を意識し、リスク管理を強化することで、医療事故を未然に防ぐことが重要です。

もし、これらの対策を講じても解決しない場合、または、さらに詳しい情報が必要な場合は、専門機関やコンサルタントに相談することをお勧めします。 あなたの職場環境の改善、そして新人の安全な就労を心から願っています。