要介護5の父との生活、仕事との両立…自宅介護と施設入所の選択肢を徹底解説

この記事では、要介護5の高齢者の介護と仕事の両立に悩むあなたへ、具体的な問題解決策と、より良い選択をするための情報を提供します。ご自身の状況に合った方法を見つけ、少しでも負担を軽減できるよう、一緒に考えていきましょう。

要介護5ってどのくらい大変ですか？

主人の父が入院して、そろそろ３ヶ月たつので退院の話がでてきました。

胃ガンで胃全摘、脳梗塞で左半身麻痺。

一人では体を起こすことも立つこともできません。

意識はとてもしっかりしていて、会話もそれほど無理なくできていますが、食事はほとんどできず、鼻からチューブを入れたりしています。

数年前に膀胱ガンで膀胱をとってストマーをしているので、尿の心配はありませんが、大便はオムツです。

我が家には３人の子供がいます。（３，６，９歳）

父が経営していたお店は入院してから私が店番しています。（主人は別の仕事を自営でやっています。）

朝、１０時に店を開ける前に１時間ほど病院へ行くのがここ３ヶ月の日課になっています。

病院は近いので、毎日病院へ行くことはそれほど苦ではありませんが、一人で店を開けてないといけないので、買い物にも思うようにも行けず、この生活も結構疲れてきました。

病院では看護婦さんが全てお世話してくださるので、私は、話をしたり、マッサージをしたり、果物などをすりおろしたりして食べさせてあげるぐらいのことしかしていませんが、自宅で介護するとなると、すべてのことを私ができるのかとても不安です。

食事を食べてくれない場合、どうなるんだろう、とか、オムツを換える時、あんな重い体を私一人で動かせるのだろうか、とか。

ストレスで子供にあたることになるのではないか、とか。主人ともけんかになりそうだし。

本人は自宅に帰りたいと望んでいるので自宅で介護するべきでしょうか？

施設入所を考えた方がいいのでしょうか。補足胃を４分の3摘出後、やはり全摘の必要があるということで、手術時間が倍かかり、脳梗塞になったようです。

もうすぐ８０歳で、入院給付金がもらえるのも今回が最後です。（すべて個室代に消えますが）

以前は子育てに関してなど意見の食い違いがあり仲がよいとは言えませんでしたが、今は、喧嘩の原因がないし、毎日すまないと言ってくれるので入院前よりやさしくなれます。

はじめに：介護と仕事の両立という課題

ご相談ありがとうございます。ご主人の看病とお店の仕事、そして3人のお子さんの育児と、本当に大変な状況ですね。要介護5のお父様の介護は、心身ともに大きな負担を伴います。さらに、仕事との両立となると、時間的制約、体力的な負担、精神的なストレスなど、様々な課題に直面することになります。

この記事では、まず要介護5の状態について詳しく解説し、自宅介護と施設入所のそれぞれのメリット・デメリットを比較検討します。そして、具体的な介護の方法、利用できる制度、仕事との両立を支援するサービスなど、実践的な情報を提供します。あなたの状況に最適な選択ができるよう、一緒に考えていきましょう。

1. 要介護5とは？ 状態と介護の現状

要介護5とは、介護保険制度における要介護度のうち、最も重い状態を指します。具体的には、日常生活においてほぼ全面的に介護が必要な状態です。ご相談者様のお父様のように、食事、排泄、入浴、着替えなど、すべての行為において、他者の介助が不可欠となります。

1-1. 要介護5の状態の具体的な特徴

• 身体機能の低下: 寝たきり、または座位を保つのが困難な状態。自力での移動はほぼ不可能。
• 食事: 経口摂取が困難な場合が多く、胃瘻や経鼻栄養などの栄養補給が必要になることがあります。
• 排泄: オムツの使用が必須。排泄のコントロールが難しく、頻繁な交換が必要。
• 認知機能: 認知症を併発している場合、意思疎通が難しくなることもあります。
• 医療的ケア: 褥瘡（床ずれ）の予防、吸引、服薬管理など、専門的なケアが必要になる場合があります。

1-2. 介護の現状と課題

要介護5の介護は、24時間体制に近い状態になることも珍しくありません。介護者の心身への負担は非常に大きく、精神的なストレス、睡眠不足、体力的な疲労など、様々な問題が生じやすくなります。また、介護者の負担が増大すると、介護サービスの利用が不可欠となり、経済的な負担も大きくなる可能性があります。

2. 自宅介護 vs 施設入所：それぞれのメリット・デメリット

要介護5の介護において、自宅介護と施設入所のどちらを選択するかは、非常に重要な決断です。それぞれの選択肢には、メリットとデメリットがあり、ご自身の状況やご家族の意向、経済的な事情などを総合的に考慮して決定する必要があります。

2-1. 自宅介護のメリット

• 慣れ親しんだ環境: 本人にとって、住み慣れた自宅で生活できることは、精神的な安定につながります。
• 家族との絆: 家族との時間を共有し、親密な関係を維持できます。
• 個別ケア: 本人の状態に合わせた、きめ細やかなケアを提供できます。
• 費用: 介護保険サービスを適切に利用すれば、施設入所よりも費用を抑えられる場合があります。

2-2. 自宅介護のデメリット

• 介護者の負担: 24時間体制での介護が必要になる場合があり、介護者の心身への負担が非常に大きくなります。
• 専門的な知識・技術: 医療的なケアが必要な場合、専門的な知識や技術が求められます。
• プライベートの喪失: 介護に時間を取られ、自分の時間や自由な時間が制限されます。
• 孤独感: 介護者は孤立しやすく、精神的なサポートが必要になることがあります。

2-3. 施設入所のメリット

• 専門的なケア: 24時間体制で、専門的な知識と技術を持ったスタッフによるケアを受けられます。
• 介護者の負担軽減: 介護者の負担が大幅に軽減され、心身ともに余裕が生まれます。
• 社会的な交流: 他の入居者との交流や、レクリエーションなどの機会があります。
• 緊急時の対応: 医療機関との連携がスムーズで、緊急時にも迅速に対応できます。

2-4. 施設入所のデメリット

• 環境の変化: 慣れない環境での生活は、本人に精神的な負担を与える可能性があります。
• 費用: 入所費用が高額になる場合があります。
• 個別のケアの制限: 個別のニーズに対応しきれない場合があります。
• 面会: 面会時間に制限がある場合や、頻繁に面会できない場合があります。

3. 自宅介護を検討する場合：具体的な準備と対策

自宅介護を選択する場合、事前の準備と対策が不可欠です。介護保険サービスの活用、住環境の整備、家族間の協力体制の構築など、様々な側面から準備を進める必要があります。

3-1. 介護保険サービスの活用

介護保険サービスは、自宅介護を支えるための重要な柱となります。適切なサービスを利用することで、介護者の負担を軽減し、質の高い介護を提供することができます。

• 訪問介護（ホームヘルプサービス）: 身体介護（食事、入浴、排泄の介助など）や生活援助（掃除、洗濯、買い物など）を行います。
• 訪問看護: 医療的なケア（褥瘡の処置、服薬管理、点滴など）を行います。
• 訪問リハビリテーション: 理学療法士や作業療法士が自宅を訪問し、リハビリを行います。
• デイサービス（通所介護）: 日帰りで施設に通い、入浴、食事、レクリエーション、機能訓練などを受けます。
• ショートステイ（短期入所生活介護）: 短期間、施設に入所し、介護を受けます。介護者のレスパイトケア（休息）に役立ちます。
• 福祉用具のレンタル・購入: 車椅子、介護ベッド、歩行器などの福祉用具をレンタルまたは購入できます。

これらのサービスを利用するためには、まず、お住まいの地域の地域包括支援センターに相談し、ケアマネジャー（介護支援専門員）にケアプランを作成してもらう必要があります。ケアマネジャーは、あなたの状況に合わせて、最適なサービスを提案し、利用手続きをサポートしてくれます。

3-2. 住環境の整備

安全で快適な介護環境を整えることも重要です。段差の解消、手すりの設置、移動スペースの確保など、バリアフリー化を進めましょう。

• 段差の解消: つまずきやすい段差をなくし、移動をスムーズにします。
• 手すりの設置: トイレ、浴室、廊下などに手すりを設置し、転倒を予防します。
• 照明の明るさ: 十分な明るさを確保し、視覚的な安全性を高めます。
• 床材の変更: 滑りにくい床材に変更し、転倒のリスクを軽減します。
• 介護ベッドの導入: 体位変換や起き上がりの補助に役立ちます。

3-3. 家族間の協力体制の構築

自宅介護を成功させるためには、家族間の協力が不可欠です。役割分担を明確にし、互いにサポートし合う体制を構築しましょう。

• 情報共有: 介護に関する情報を共有し、共通認識を持つことが大切です。
• 役割分担: 介護の内容や時間帯を分担し、特定の介護者に負担が集中しないようにします。
• 定期的な話し合い: 介護の状況や課題について、定期的に話し合い、改善策を検討します。
• 休息時間の確保: 介護者も休息時間を確保し、心身の健康を維持することが重要です。
• 外部サービスの活用: 介護保険サービスだけでなく、民間の介護サービスや家事代行サービスなどを活用し、負担を軽減します。

3-4. ストレスへの対処法

自宅介護は、精神的なストレスを伴うものです。ストレスをため込まないように、自分なりの対処法を見つけましょう。

• 休息時間の確保: 睡眠時間を確保し、心身を休ませましょう。
• 趣味の時間: 自分の好きなこと（読書、音楽鑑賞、運動など）に時間を使い、気分転換しましょう。
• 相談相手を持つ: 家族、友人、ケアマネジャー、専門家などに悩みや不安を相談しましょう。
• 気分転換: 外出したり、旅行に行ったりして、日常から離れる時間を作りましょう。
• 専門家のサポート: 精神科医やカウンセラーに相談し、専門的なサポートを受けることも有効です。

4. 施設入所を検討する場合：施設の選び方と注意点

施設入所を選択する場合、ご自身の状況や希望に合った施設を選ぶことが重要です。様々な種類の施設があり、それぞれ特徴が異なります。事前に情報を収集し、比較検討しましょう。

4-1. 施設の種類

• 特別養護老人ホーム（特養）: 介護保険施設であり、原則として要介護3以上の人が入所できます。終身利用が可能で、手厚い介護を受けられますが、入所待ちの期間が長い場合があります。
• 介護老人保健施設（老健）: 病院と自宅の中間に位置する施設で、リハビリテーションに重点を置いています。在宅復帰を目指す人が利用します。
• 介護療養型医療施設（療養病床）: 医療的なケアが必要な人が利用する施設です。
• 住宅型有料老人ホーム: 介護が必要な高齢者が生活する住居型の施設です。食事や生活支援サービスが提供されます。
• サービス付き高齢者向け住宅（サ高住）: 安否確認や生活相談などのサービスが提供される住居です。介護が必要な場合は、外部の介護サービスを利用します。

4-2. 施設の選び方のポイント

• 施設の雰囲気: 施設内の雰囲気や、スタッフの対応などを確認しましょう。
• 介護体制: 介護職員の配置人数や、夜間の対応体制などを確認しましょう。
• 医療体制: 協力医療機関や、看護師の配置などを確認しましょう。
• 食事: 食事の内容や、食事形態（刻み食、ミキサー食など）を確認しましょう。
• レクリエーション: レクリエーションの内容や、イベントなどを確認しましょう。
• 費用: 入所費用や、月額費用などを確認しましょう。
• 見学: 複数の施設を見学し、比較検討しましょう。
• 体験入所: 可能であれば、体験入所をして、実際の生活を体験してみましょう。

4-3. 入所までの流れ

1. 情報収集: 地域の施設情報を収集し、候補となる施設をリストアップします。
2. 見学・相談: 候補となる施設を見学し、相談を行います。
3. 申し込み: 入所を希望する施設に申し込みます。
4. 入所判定: 施設の入所基準に基づき、入所の可否が判定されます。
5. 契約: 入所が決定した場合、契約を行います。
6. 入所準備: 入所に必要な持ち物などを準備します。
7. 入所: 施設に入所し、生活を開始します。

5. 仕事との両立を支援する制度とサービス

介護と仕事の両立は、様々な困難を伴います。しかし、国や自治体、企業などが、両立を支援するための制度やサービスを提供しています。これらの制度やサービスを積極的に活用し、負担を軽減しましょう。

5-1. 介護休業・介護休暇

• 介護休業: 介護を必要とする家族を介護するために、最長93日間、休業することができます。
• 介護休暇: 1年度あたり5日（対象家族が2人以上の場合は10日）まで、休暇を取得できます。

これらの制度を利用するには、会社に申請する必要があります。事前に会社の就業規則を確認し、手続きを行いましょう。

5-2. 介護保険制度の利用

介護保険サービスを利用することで、介護者の負担を軽減することができます。ケアマネジャーに相談し、適切なサービスを組み合わせましょう。

5-3. 企業の取り組み

近年、企業は、従業員の介護と仕事の両立を支援するための取り組みを強化しています。育児・介護休業法の改正により、企業は、介護に関する相談窓口の設置や、短時間勤務制度の導入など、様々な措置を講じる必要があります。

5-4. その他の支援サービス

• ベビーシッター・家事代行サービス: 子供の世話や家事をサポートしてもらうことで、介護に集中できる時間を確保できます。
• 配食サービス: 食事の準備が難しい場合に、栄養バランスの取れた食事を届けてもらえます。
• タクシー・移動支援サービス: 通院や買い物などの移動をサポートしてもらえます。
• 地域の相談窓口: 地域包括支援センターや、介護保険課などで、介護に関する相談や情報提供を受けられます。

6. 成功事例から学ぶ：介護と仕事の両立

実際に介護と仕事を両立している人たちの事例から、ヒントを得ることができます。彼らの経験談は、あなたの問題解決のヒントになるはずです。

6-1. 事例1：介護休業と在宅勤務を組み合わせたAさんの場合

Aさんは、要介護4のお母様の介護をしながら、会社員として働いています。会社に介護休業を申請し、その後、在宅勤務に切り替えることで、仕事と介護の両立を実現しました。在宅勤務になったことで、移動時間がなくなり、介護に費やす時間を確保できるようになりました。また、会社の上司や同僚の理解を得て、柔軟な働き方を実現しています。

6-2. 事例2：デイサービスとショートステイを組み合わせたBさんの場合

Bさんは、要介護3のお父様の介護をしながら、自営業を営んでいます。平日は、デイサービスを利用し、週末はショートステイを利用することで、介護者の負担を軽減しています。デイサービスでは、お父様は、他の利用者との交流を楽しんでおり、Bさんは、自分の時間を確保し、仕事に集中できるようになりました。

6-3. 事例3：家族の協力と外部サービスの活用によるCさんの場合

Cさんは、要介護5のお母様の介護を、兄弟姉妹と協力して行っています。役割分担を明確にし、情報共有を密に行うことで、介護の負担を分散しています。また、訪問介護サービスや、配食サービスなどを活用し、介護者の負担を軽減しています。家族の協力と、外部サービスの活用により、Cさんは、仕事と介護の両立を実現しています。

7. まとめ：あなたにとって最善の選択をするために

要介護5の介護と仕事の両立は、非常に困難な課題です。しかし、適切な情報とサポートがあれば、必ず解決策は見つかります。この記事でご紹介した情報や、成功事例を参考に、ご自身の状況に合った選択をしてください。

1. 現状の把握: まずは、ご自身の状況を客観的に把握し、課題を明確にしましょう。
2. 情報収集: 介護保険サービス、企業の制度、地域の支援サービスなど、利用できる情報を収集しましょう。
3. 選択肢の検討: 自宅介護と施設入所のそれぞれのメリット・デメリットを比較検討し、最適な選択肢を考えましょう。
4. 準備と対策: 自宅介護を選択する場合は、介護保険サービスの活用、住環境の整備、家族間の協力体制の構築など、必要な準備を行いましょう。施設入所を選択する場合は、施設の選び方や入所までの流れを確認しましょう。
5. 周囲への相談: 家族、友人、ケアマネジャー、専門家などに相談し、アドバイスを求めましょう。
6. 柔軟な対応: 状況は常に変化します。柔軟な対応を心がけ、必要に応じて、選択肢を見直しましょう。

あなたの状況が少しでも改善されることを心から願っています。頑張ってください。

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