介護職の喀痰吸引等研修と経管栄養：措置制度の範囲と安全な業務遂行

介護職員の喀痰吸引等研修について教えてください。この資格ができる前かできた後かわかりませんが、十数時間の講習を受ければ、この資格を持っていなくても吸引が行える措置制度なるものがあったと聞いています。聞きたいのは喀痰吸引等研修では経管栄養の講習も受けますが、措置制度の対象者は経管栄養の業務をどこからどこまでしていいのかということです。調べると「胃ろう終了後に外す行為のみ」とありました。うちの施設では白湯を流してから栄養剤の順で入れていますが、パックに入った栄養剤をイリゲーターに入れる工程を、この措置制度の介護職員がしています。外す行為のみとあるので、これはNGと思うのですが、どうでしょうか？※措置制度自体が廃止されているのであれば、教えてください。

この記事では、介護職の皆様、特に喀痰吸引等研修を受講された方に向けて、経管栄養に関する業務範囲、特に「措置制度」における許容範囲について、明確に解説します。 近年、高齢化社会の進展に伴い、介護現場では高度な医療的ケアのニーズが高まっています。喀痰吸引等研修は、介護職員のスキルアップと安全な医療行為の提供に不可欠な制度ですが、その範囲を正しく理解し、実践することが重要です。 特に、経管栄養に関する業務は、医療ミスにつながるリスクも高く、細心の注意が必要です。本記事では、具体的な事例を交えながら、安全で適切な業務遂行のための指針を示します。

措置制度の現状と経管栄養業務の範囲

まず、結論から申し上げますと、質問者様の懸念は正しいです。 かつて存在した「措置制度」は、既に廃止されています。 そのため、十数時間の講習を受けた介護職員が、看護師などの資格を持たずに経管栄養の全工程を行うことは、法律上認められていません。

「胃ろう終了後に外す行為のみ」という記述は、措置制度が存続していた時代の解釈に基づくものであり、現在の状況とは合致しません。 現在の法律では、経管栄養などの医療行為は、医師または看護師などの有資格者が行うことが義務付けられています。

質問者様の施設で、パックに入った栄養剤をイリゲーターに入れる工程を措置制度研修を受けた介護職員が行っているとのことですが、これは明確な違反です。 この行為は、医療行為の一部であり、無資格者が行うことは医療法違反に該当する可能性があります。

経管栄養に関する介護職員の役割

では、介護職員は経管栄養に関わってはいけないのでしょうか？ そうではありません。 介護職員は、経管栄養に関する業務の一部を、医師や看護師の指示の下で行うことができます。 具体的には、以下の業務が考えられます。

• 経管栄養剤の補充（医師・看護師の指示に基づき、準備された栄養剤を供給する）
• チューブの固定、管理（チューブの位置確認、テープの交換など）
• 患者の状態観察（嘔吐、腹痛などの異常の有無を確認し、速やかに医師・看護師に報告する）
• 記録の記入（経管栄養の実施状況、患者の状態などを記録する）

しかし、これらの業務を行う際にも、医師や看護師からの明確な指示が必要であり、自己判断で行うことは絶対に避けるべきです。 また、常に患者の状態を注意深く観察し、異常を発見した場合は速やかに報告することが重要です。

事例：安全な業務遂行のための具体的な手順

例えば、白湯を流してから栄養剤を注入する手順において、介護職員が関与できる範囲は、医師や看護師が準備した栄養剤を、指示された量だけ注入することに限定されます。 栄養剤をパックからイリゲーターに移す作業は、医療行為の一部であり、介護職員が行うべきではありません。

安全な業務遂行のためには、以下の手順を徹底することが重要です。

1. 医師または看護師から、経管栄養に関する具体的な指示を受ける
2. 指示内容を正確に理解し、疑問点があれば確認する
3. 指示された手順に従って、業務を行う
4. 患者の状態を注意深く観察し、異常があれば速やかに報告する
5. 業務内容を記録する

法律と倫理の観点からの考察

医療法では、医療行為を行うには資格が必要とされています。 経管栄養は、医療行為に該当するため、無資格者が行うことは法律違反となります。 また、倫理的な観点からも、患者さんの安全を第一に考え、適切な業務遂行を行うことが求められます。 介護職員は、自分の業務範囲を正しく理解し、安全な医療提供に貢献する責任があります。

専門家への相談と今後の対策

現状の業務体制を見直す必要があります。 まず、施設の管理者や看護師に、現在の経管栄養に関する業務手順について相談し、法律に則った適切な体制を構築する必要があります。 もし、施設内で解決できない場合は、外部の専門機関に相談することも検討しましょう。

まとめ

介護職員の喀痰吸引等研修と経管栄養に関する業務範囲は、法律および倫理的な観点から厳格に定められています。 措置制度は廃止されており、無資格者が経管栄養の全工程を行うことは許されません。 介護職員は、医師や看護師の指示の下、適切な業務を行う必要があります。 安全な医療提供のためには、施設内の体制整備と、必要に応じて専門家への相談が不可欠です。 常に患者さんの安全を最優先に考え、適切な行動を心がけましょう。 もし、この記事を読んで疑問点が残ったり、より具体的なアドバイスが必要な場合は、専門家への相談を検討しましょう。