介護職員必見！鼻からの吸引はヘルパーもできる？業務の疑問を徹底解説

この記事では、介護の現場で働く皆さんが抱える「鼻からの吸引」に関する疑問について、専門的な視点から分かりやすく解説します。特に、介護職員（ヘルパー）が鼻からの吸引を行えるのか、その法的根拠や具体的な手順、注意点などを詳しく説明します。あなたのキャリアアップやスキルアップ、そして日々の業務改善に役立つ情報を提供します。

今、介護の仕事をしてます。仕事で、吸引をしているんですけど、鼻からの吸引は、ヘルパーがしては、いけないんでしょうか？調べてみたんですけど、よくわからなくて。

家族以外は、口鼻腔内吸引と気管カニューレ内部までの気管内吸引を限定するって書いてあったんですけど、これは鼻からOK？ってことなんですかね？

介護福祉士を持ってる人に「前、口からやろうとしたんですけど、噛んだりしてしまって。でも、利用者が苦しそうだったので、鼻からやった」事を言ったら、「それは、医療行為だからダメだよ」って言われました。それに、看護士の方から習う際、鼻からの吸引を見せてもらったんです。

もし、ダメだったら見せることはしないと思うし。

どっちが正しいのか教えてください。

勤務は、病院ではなく、特養です。 看護士が少なくて、行ってるのは、主に利用者が食事中に痰がらみを起こしてです。

結論：介護職員（ヘルパー）による鼻腔内吸引は、一定の条件下で可能です

ご質問にあるように、介護の現場では吸引に関する様々な疑問が生じやすいものです。結論から申し上げますと、介護職員（ヘルパー）による鼻腔内吸引は、一定の条件を満たせば可能です。ただし、その範囲や方法には厳格なルールがあり、誤った解釈や対応は、利用者の方の安全を脅かすだけでなく、法的責任を問われる可能性もあります。

この記事では、介護職員が鼻腔内吸引を行う際の法的根拠、具体的な手順、注意点、そしてよくある疑問について、詳しく解説していきます。あなたの疑問を解消し、安心して業務に取り組めるよう、具体的な情報を提供します。

1. 介護職員が行える吸引の範囲：法的根拠と解釈

介護職員が業務として行える吸引の範囲は、法律によって明確に定められています。この点を理解することが、適切な対応の第一歩です。

1.1 介護保険制度と医療行為の線引き

介護保険制度においては、介護職員が行える行為と、医師や看護師などの医療従事者でなければ行えない医療行為が明確に区別されています。吸引行為もその一つであり、その線引きが重要になります。

具体的には、2011年の通知により、一定の研修を受けた介護職員は、喀痰吸引（口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部）および経管栄養（胃ろうまたは腸ろう）を行うことが可能になりました。これは、介護職員の専門性を高め、利用者のQOL（Quality of Life：生活の質）向上を目指すための制度改正です。

1.2 喀痰吸引等研修とは

介護職員が喀痰吸引を行うためには、「喀痰吸引等研修」を修了する必要があります。この研修は、基本研修、実地研修、そして特定の医療行為（喀痰吸引、経管栄養など）に関する知識と技術を習得するためのものです。

• 基本研修: 喀痰吸引に関する基本的な知識（感染予防、解剖生理など）を学びます。
• 実地研修: 医療機関や介護施設で、指導者のもとで実践的な技術を習得します。
• 特定行為研修: 喀痰吸引などの特定の医療行為について、より専門的な知識と技術を習得します。

研修を修了することで、介護職員は、医師の指示のもと、喀痰吸引を行うことが法的に認められます。この研修修了が、介護職員が鼻腔内吸引を行うための重要な条件となります。

1.3 鼻腔内吸引の法的解釈

鼻腔内吸引は、喀痰吸引に含まれる行為です。したがって、喀痰吸引等研修を修了した介護職員は、医師の指示のもと、鼻腔内吸引を行うことができます。ただし、その際には、以下の点を遵守する必要があります。

• 医師の指示: 吸引を行う前に、医師の指示（指示書）があることが必要です。指示書には、吸引の頻度、吸引する痰の種類、吸引の手順などが記載されています。
• 記録: 吸引を行った日時、吸引した痰の状態、利用者の反応などを記録します。この記録は、医療機関との連携や、利用者の状態を把握するために重要です。
• 安全管理: 感染予防（手洗い、マスク、手袋の着用など）を徹底し、清潔な器具を使用します。また、利用者の状態を観察し、異常があれば直ちに医師に報告します。

2. 鼻腔内吸引の手順：安全に行うためのステップ

鼻腔内吸引は、利用者の呼吸状態を改善し、快適な生活を支援するために重要なケアの一つです。しかし、誤った方法で行うと、利用者に苦痛を与えたり、合併症を引き起こす可能性があります。ここでは、安全かつ効果的に鼻腔内吸引を行うための具体的な手順を解説します。

2.1 準備：必要な物品の確認と準備

吸引を行う前に、必要な物品を準備します。準備を怠ると、吸引中に必要なものが足りなくなり、スムーズなケアを妨げるだけでなく、感染のリスクを高めることにもつながります。

• 吸引器: 正常に作動することを確認します。吸引圧は、利用者の状態に合わせて調整します（一般的には、成人で-300mmHg程度）。
• 吸引カテーテル: 適切なサイズを選びます。利用者の鼻腔の太さに合わせて、適切なサイズを選びましょう。
• 滅菌生理食塩水: カテーテルを洗浄するために使用します。
• 手袋、マスク、エプロン: 感染予防のために着用します。
• ガーゼ: 吸引後の鼻腔を拭くために使用します。
• 水: 手洗いや、吸引前にカテーテルを濡らすために使用します。
• 指示書: 医師の指示内容を確認します。
• 記録用紙: 吸引日時、吸引した痰の状態、利用者の反応などを記録します。

2.2 手順：安全で効果的な吸引方法

準備が整ったら、以下の手順で吸引を行います。各ステップを丁寧に行うことで、利用者の安全を守り、効果的なケアを提供できます。

1. 説明と同意: 利用者に吸引を行うことを説明し、同意を得ます。意識がない場合は、家族に説明し、同意を得ます。
2. 手洗いと準備: 手洗いを行い、手袋、マスク、エプロンを着用します。
3. 体位の調整: 利用者を楽な体位にします。一般的には、座位または半座位が適しています。
4. 吸引器の準備: 吸引器の電源を入れ、吸引圧を調整します。
5. カテーテルの準備: カテーテルを滅菌生理食塩水で濡らします。
6. カテーテルの挿入: 利用者の鼻腔にカテーテルをゆっくりと挿入します。抵抗を感じたら無理に挿入せず、少し引き抜いて角度を変えるなどして慎重に行います。
7. 吸引: カテーテルを挿入したら、吸引を開始します。カテーテルを回転させながら、ゆっくりと引き抜きます。吸引時間は、1回の吸引で10～15秒程度にします。
8. 観察: 利用者の呼吸状態、顔色、表情などを観察します。
9. カテーテルの洗浄: 吸引が終わったら、カテーテルを滅菌生理食塩水で洗浄します。
10. 記録: 吸引日時、吸引した痰の状態、利用者の反応などを記録します。
11. 後片付け: 使用した物品を適切に処理し、手洗いをします。

2.3 注意点：安全な吸引のために

吸引を行う際には、以下の点に注意し、安全を確保しましょう。

• 吸引圧の調整: 吸引圧は、利用者の状態に合わせて適切に調整します。吸引圧が高すぎると、粘膜を傷つける可能性があります。
• カテーテルの挿入: カテーテルを深く挿入しすぎると、気管を刺激し、咳き込みや呼吸困難を引き起こす可能性があります。
• 吸引時間: 吸引時間は、1回の吸引で10～15秒程度にします。長時間吸引すると、低酸素血症を引き起こす可能性があります。
• 観察: 吸引中は、利用者の呼吸状態、顔色、表情などを観察し、異常があれば直ちに吸引を中止し、医師に報告します。
• 感染予防: 手洗い、マスク、手袋の着用を徹底し、清潔な器具を使用します。

3. 鼻腔内吸引に関するよくある疑問と回答

介護の現場では、鼻腔内吸引に関して様々な疑問が生じることがあります。ここでは、よくある疑問とその回答をまとめ、あなたの疑問を解消します。

3.1 鼻腔内吸引は、なぜ必要なのですか？

鼻腔内吸引は、主に以下の目的で行われます。

• 呼吸の確保: 痰が気道を塞いでいる場合、吸引によって痰を取り除き、呼吸を楽にします。
• 誤嚥性肺炎の予防: 痰が気管に入り、誤嚥性肺炎を引き起こすのを防ぎます。
• 快適性の向上: 痰が絡むことによる不快感を軽減し、利用者のQOLを向上させます。

鼻腔内吸引は、利用者の呼吸状態を改善し、快適な生活を支援するために重要なケアです。

3.2 鼻腔内吸引の頻度は、どのくらいですか？

鼻腔内吸引の頻度は、利用者の状態によって異なります。一般的には、以下の点を考慮して決定されます。

• 痰の量: 痰の量が多い場合は、吸引の頻度を増やします。
• 呼吸状態: 呼吸が苦しそうな場合は、吸引の頻度を増やします。
• 医師の指示: 医師の指示に従い、吸引の頻度を決定します。

吸引の頻度を決定する際には、利用者の状態をよく観察し、医師の指示に従うことが重要です。

3.3 吸引中に、利用者が苦しそうにしています。どうすれば良いですか？

吸引中に利用者が苦しそうにしている場合は、以下の対応を行います。

• 吸引を中止する: 直ちに吸引を中止し、利用者の状態を観察します。
• 体位の調整: 利用者を楽な体位にします。
• 呼吸状態の観察: 呼吸状態を確認し、必要に応じて酸素投与を行います。
• 医師への報告: 医師に報告し、指示を仰ぎます。

利用者の状態を最優先に考え、適切な対応を行うことが重要です。

3.4 吸引後に、鼻血が出ました。どうすれば良いですか？

吸引後に鼻血が出た場合は、以下の対応を行います。

• 止血: 鼻孔を圧迫し、止血を試みます。
• 観察: 鼻血の量や、止血の状態を観察します。
• 医師への報告: 鼻血が止まらない場合や、量が多い場合は、医師に報告します。

鼻血の原因を特定し、適切な処置を行うことが重要です。

3.5 吸引の際に、何か特別な注意点はありますか？

吸引を行う際には、以下の点に注意してください。

• 清潔操作: 手洗い、手袋の着用を徹底し、清潔な器具を使用します。
• カテーテルの選択: 利用者の鼻腔の太さに合わせて、適切なサイズのカテーテルを選択します。
• 挿入方法: カテーテルをゆっくりと挿入し、抵抗を感じたら無理に挿入しないようにします。
• 吸引時間: 吸引時間は、1回の吸引で10～15秒程度にします。
• 観察: 吸引中は、利用者の呼吸状態、顔色、表情などを観察します。

これらの注意点を守り、安全な吸引を行いましょう。

4. 介護職員のキャリアアップとスキルアップ：吸引スキルを活かす

喀痰吸引等のスキルを習得することは、介護職員としてのキャリアアップに大きく貢献します。ここでは、吸引スキルを活かしたキャリアアップの方法と、さらなるスキルアップについて解説します。

4.1 喀痰吸引等研修修了後のキャリアパス

喀痰吸引等研修を修了することで、介護職員は、より専門的なケアを提供できるようになり、キャリアの幅が広がります。具体的には、以下のようなキャリアパスが考えられます。

• リーダー職への昇進: 喀痰吸引等のスキルを持つ介護職員は、他の職員を指導するリーダーや、チームリーダーに昇進する可能性があります。
• 特定施設での活躍: 喀痰吸引等のスキルを持つ介護職員は、医療的ケアが必要な入居者がいる施設（特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など）で、より活躍できます。
• 訪問介護での活躍: 訪問介護においても、喀痰吸引等のスキルは高く評価され、需要があります。
• スキルアップ: さらに、喀痰吸引等研修修了後、より高度な専門知識や技術を習得するための研修（認知症ケア、褥瘡ケアなど）を受講することも可能です。

喀痰吸引等のスキルを習得することは、介護職員としてのキャリアアップの大きな一歩となります。

4.2 スキルアップのための情報収集と学習方法

スキルアップのためには、常に最新の情報を収集し、学習を続けることが重要です。以下に、具体的な情報収集と学習方法を紹介します。

• 研修への参加: 定期的に開催される喀痰吸引等に関する研修や、その他の介護に関する研修に参加し、知識と技術を習得します。
• 書籍や雑誌の購読: 介護に関する書籍や雑誌を購読し、最新の情報を収集します。
• インターネットの活用: インターネットで、介護に関する情報（医療情報、ケア方法など）を検索し、学習します。
• 同僚との情報交換: 同僚と情報交換を行い、経験や知識を共有します。
• 専門家への相談: 疑問点や悩みがある場合は、医師や看護師などの専門家に相談します。

積極的に情報収集し、学習を続けることで、常に最新の知識と技術を身につけ、スキルアップを図ることができます。

4.3 資格取得：さらなる専門性向上

介護に関する資格を取得することも、スキルアップに繋がります。喀痰吸引等のスキルを活かせる資格としては、以下のようなものがあります。

• 介護福祉士: 介護に関する幅広い知識と技術を習得し、専門的なケアを提供できるようになります。
• 認定介護福祉士: より高度な専門知識と技術を習得し、チームをまとめるリーダーシップを発揮できるようになります。
• ケアマネジャー（介護支援専門員）: 介護保険に関する知識を習得し、ケアプランの作成や、利用者とサービス事業者の調整を行います。

これらの資格を取得することで、介護職員としての専門性を高め、キャリアアップを目指すことができます。

5. 職場での業務改善：吸引に関する問題解決

日々の業務の中で、吸引に関する問題に直面することもあるでしょう。ここでは、具体的な問題解決のためのヒントを提供します。

5.1 吸引に関する問題点と解決策

吸引に関する問題点としては、以下のようなものが考えられます。それぞれの問題に対する解決策を提示します。

• 吸引方法が分からない: 研修を受け、正しい吸引方法を習得します。先輩職員や看護師に指導を仰ぐことも有効です。
• 吸引中に利用者が苦しそう: 吸引圧の調整、カテーテルの挿入方法の見直し、吸引時間の短縮などを行います。
• 記録の不備: 吸引日時、吸引した痰の状態、利用者の反応などを正確に記録します。記録方法について、先輩職員や看護師にアドバイスを求めるのも良いでしょう。
• 感染予防の徹底: 手洗い、マスク、手袋の着用を徹底し、清潔な器具を使用します。

問題点を具体的に把握し、それに対する適切な解決策を講じることで、業務の改善に繋がります。

5.2 チームワークと連携の重要性

介護の現場では、チームワークと連携が非常に重要です。特に、吸引のような医療行為においては、チーム全体での情報共有と協力が不可欠です。

• 情報共有: 利用者の状態や、吸引に関する情報を、チーム内で共有します。
• 相談: 疑問点や不安な点があれば、すぐに同僚や看護師に相談します。
• 協力: 互いに協力し、スムーズなケアを提供します。
• 多職種連携: 医師、看護師、理学療法士など、多職種と連携し、利用者の状態に応じた適切なケアを提供します。

チームワークと連携を強化することで、より質の高いケアを提供し、業務の効率化を図ることができます。

5.3 職場環境の改善：働きやすい環境づくり

働きやすい環境を作ることも、業務改善に繋がります。具体的には、以下のような取り組みが考えられます。

• 情報共有の場の設置: 定期的に、情報交換や意見交換を行う場を設けます。
• 研修機会の提供: 喀痰吸引等に関する研修や、その他の介護に関する研修の機会を提供します。
• 労働環境の改善: 労働時間や休憩時間の確保、適切な人員配置など、労働環境を改善します。
• 評価制度の導入: 努力や成果を評価する制度を導入し、モチベーションの向上を図ります。

働きやすい環境を作ることで、職員のモチベーションが向上し、より質の高いケアを提供できるようになります。

まとめ：介護職員の吸引業務を理解し、安全なケアを提供するために

この記事では、介護職員（ヘルパー）が鼻からの吸引を行う際の法的根拠、具体的な手順、注意点、そしてよくある疑問について詳しく解説しました。喀痰吸引等研修を修了し、医師の指示のもとであれば、介護職員も鼻腔内吸引を行うことができます。しかし、その範囲や方法には厳格なルールがあり、誤った解釈や対応は、利用者の方の安全を脅かすだけでなく、法的責任を問われる可能性もあります。

この記事で得た知識を活かし、安全で質の高いケアを提供するために、常に学び続け、疑問があれば専門家に相談するようにしましょう。あなたの努力が、利用者のQOL向上に繋がることを願っています。

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