介護保険とリハビリ：70歳義父の寝たきりからの脱却と、あなたができること

この記事では、70歳のお義父様が腰の骨折により寝たきりとなり、リハビリの選択肢で悩まれているあなたに向けて、介護保険の活用方法と、適切なリハビリ環境の選び方について解説します。介護保険の申請方法から、入院中のリハビリ、退院後のデイケア利用、そしてご家族ができることまで、具体的な情報を提供し、お義父様の自立支援とあなたの負担軽減をサポートします。

70歳の義父が5月に腰を骨折し、現在入院中です。リハビリが期限切れのためリハが出来ず今は寝たきりで立つこともできません。医者に「病院でリハは出来ない。家族がする分はなんとか認めるが、責任はとれない。」言われましたが、義父を支えることが出来ないので、やはり専門の方に頼みたいと思っています。そうなると、入院のリハを受け入れてくれる病院を探すか、退院してリハビリ（デイケア）を利用するか、の選択になりますか？また、退院すると介護保険が使えるのですか？その場合、入院中でも申請はできるのですか？

介護保険制度の基礎知識：寝たきり状態からの回復を目指して

介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支えるための制度です。今回のケースのように、病気や怪我で寝たきりになってしまった場合、介護保険を利用することで、様々な介護サービスを受けることができます。まずは、介護保険の基本的な仕組みと、利用できるサービスについて理解を深めましょう。

介護保険の仕組み

介護保険は、40歳以上の方が加入する制度です。40歳から64歳の方は、特定疾病（加齢に伴う病気など）が原因で介護が必要になった場合に、介護保険サービスを利用できます。65歳以上の方は、原因を問わず介護が必要になった場合に、介護保険サービスを利用できます。

介護保険を利用するためには、まず市区町村に「要介護認定」の申請を行う必要があります。申請後、調査員による訪問調査や、主治医の意見書をもとに、介護の必要度が判定されます。その結果に応じて、要支援1～2、要介護1～5のいずれかの区分が認定されます。

介護保険で利用できるサービス

介護保険では、様々な介護サービスを利用できます。主なサービスには、以下のようなものがあります。

• 訪問介護（ホームヘルプサービス）：ヘルパーが自宅を訪問し、食事や入浴、排泄などの身体介護や、掃除や洗濯などの生活援助を行います。
• 訪問看護：看護師が自宅を訪問し、健康管理や医療処置を行います。
• 通所介護（デイサービス）：日帰りで施設に通い、食事や入浴、レクリエーション、リハビリテーションなどを受けます。
• 通所リハビリテーション（デイケア）：日帰りで施設に通い、リハビリテーションを中心としたサービスを受けます。
• 短期入所生活介護（ショートステイ）：短期間、施設に入所し、食事や入浴、排泄などの介護を受けます。
• 福祉用具貸与：車椅子やベッドなどの福祉用具をレンタルできます。
• 住宅改修：手すりの設置や段差の解消など、自宅の改修費用の一部を補助してもらえます。

入院中のリハビリと、その選択肢

お義父様が入院中にリハビリを受けられない状況とのことですが、まずは、入院中のリハビリの可能性について検討してみましょう。そして、もし入院中のリハビリが難しい場合は、退院後のリハビリの選択肢について考えていきましょう。

入院中のリハビリの可能性

まずは、主治医や病院のソーシャルワーカーに相談し、入院中のリハビリの可能性を探ってみましょう。病院によっては、リハビリ専門職がいない、またはリハビリの体制が整っていない場合があります。しかし、近年では、回復期リハビリテーション病棟を持つ病院も増えており、そのような病院であれば、集中的なリハビリを受けることができます。

もし、入院中のリハビリが難しい場合でも、理学療法士や作業療法士などの専門職に、ご家族が行うリハビリの指導をしてもらうことは可能です。専門家の指導のもと、ご家族がリハビリを行うことで、お義父様の機能回復を促すことができます。

退院後のリハビリの選択肢

入院中のリハビリが難しい場合は、退院後のリハビリについて検討しましょう。主な選択肢としては、以下の2つがあります。

• 回復期リハビリテーション病棟への転院：集中的なリハビリを受けられる病棟です。
• 通所リハビリテーション（デイケア）の利用：日帰りで施設に通い、リハビリテーションを中心としたサービスを受けます。

それぞれの選択肢について、メリットとデメリットを比較してみましょう。

回復期リハビリテーション病棟 vs. デイケア：比較検討

回復期リハビリテーション病棟とデイケアは、どちらもリハビリを受けるための選択肢ですが、それぞれ特徴が異なります。ご家族の状況やお義父様の状態に合わせて、最適な選択肢を選びましょう。

回復期リハビリテーション病棟

メリット：

• 集中的なリハビリを受けられる：1日に数時間のリハビリを受けることができます。
• 専門職による手厚いサポート：医師、看護師、理学療法士、作業療法士などがチームで連携し、リハビリをサポートします。
• 24時間体制での医療ケア：夜間も看護師が常駐しており、医療的なサポートが必要な場合でも安心です。
• 食事や入浴などの介護サービスも受けられる：生活全般をサポートしてもらえるため、ご家族の負担が軽減されます。

デメリット：

• 入院期間に制限がある：一般的に、入院期間は最長で150日程度です。
• 費用がかかる：医療保険と介護保険の自己負担が発生します。
• 自宅から遠い場合がある：病院によっては、自宅から遠い場所に位置している場合があります。

通所リハビリテーション（デイケア）

メリット：

• 自宅での生活を継続できる：日帰りで利用するため、自宅での生活を続けながらリハビリを受けられます。
• 費用が比較的安い：介護保険の自己負担のみで利用できます。
• 地域交流の機会がある：他の利用者との交流を通じて、社会的なつながりを保つことができます。
• 送迎サービスがある場合がある：施設によっては、自宅までの送迎サービスを提供しています。

デメリット：

• リハビリの時間が限られる：1日のリハビリ時間は、回復期リハビリテーション病棟に比べて短くなります。
• 医療的なサポートが限られる：夜間の医療ケアは受けられません。
• 家族の協力が必要：自宅での生活をサポートするために、家族の協力が必要になります。

介護保険の申請と利用：手続きと注意点

介護保険を利用するためには、要介護認定の申請が必要です。申請からサービス利用までの流れと、注意点について解説します。

要介護認定の申請手続き

1. 申請：お住まいの市区町村の介護保険窓口に、要介護認定の申請を行います。申請には、介護保険被保険者証が必要です。
2. 訪問調査：市区町村の職員や、委託された調査員が自宅を訪問し、心身の状態や生活状況について調査を行います。
3. 主治医の意見書：主治医が、心身の状態や病状について意見書を作成します。
4. 審査・判定：訪問調査の結果や主治医の意見書をもとに、介護認定審査会が介護の必要度を審査・判定します。
5. 認定結果の通知：申請者に、要介護度（要支援1～2、要介護1～5）が通知されます。
6. ケアプランの作成：要介護度が認定されたら、ケアマネジャーに相談し、ケアプラン（介護サービス計画）を作成します。
7. サービスの利用開始：ケアプランに基づいて、介護サービスを利用します。

介護保険の申請は入院中でも可能

介護保険の申請は、入院中でも可能です。入院中に申請しておけば、退院後すぐに介護サービスを利用することができます。病院のソーシャルワーカーに相談すれば、申請手続きをサポートしてもらえます。

介護保険利用の注意点

• 自己負担：介護保険サービスを利用する際には、原則として費用の1～3割を自己負担する必要があります。
• 利用限度額：要介護度に応じて、1ヶ月あたりの利用限度額が定められています。
• ケアマネジャーとの連携：ケアマネジャーは、介護サービス利用の窓口となります。困ったことがあれば、気軽に相談しましょう。
• 更新：要介護認定は、有効期間があります。更新手続きを忘れずに行いましょう。

ご家族ができること：サポートと負担軽減

お義父様の介護は、ご家族にとっても大きな負担となります。ご家族ができることとして、以下のようなことが挙げられます。

情報収集と連携

• 情報収集：介護保険制度や、利用できるサービスについて、積極的に情報収集を行いましょう。
• 関係者との連携：主治医、ケアマネジャー、リハビリ専門職など、関係者と連携し、情報共有を行いましょう。
• 家族間の協力：家族で協力し、介護の負担を分担しましょう。

自宅でのサポート

• リハビリの補助：専門家の指導のもと、自宅でもリハビリを補助しましょう。
• 生活環境の整備：手すりの設置や段差の解消など、安全な生活環境を整えましょう。
• コミュニケーション：積極的にコミュニケーションを図り、お義父様の精神的なサポートを行いましょう。

ご自身のケア

• 休息：十分な休息を取り、心身ともに健康を保ちましょう。
• 相談：一人で抱え込まず、専門家や家族、友人に相談しましょう。
• 息抜き：趣味や気分転換になることを見つけ、ストレスを解消しましょう。

まとめ：寝たきりからの回復に向けた第一歩

この記事では、70歳のお義父様の寝たきり状態からの回復を目指し、介護保険の活用方法と、適切なリハビリ環境の選び方について解説しました。介護保険の申請、入院中のリハビリの可能性、退院後のリハビリの選択肢、そしてご家族ができることについて、具体的な情報を提供しました。お義父様の状態やご家族の状況に合わせて、最適な選択肢を選び、専門家と連携しながら、寝たきりからの回復を目指しましょう。そして、ご自身も無理のない範囲で、サポートを続けていくことが大切です。

“`