特別養護老人ホームと介護老人保健施設の違いとは？寝たきりの父への最適な選択肢を徹底解説

この記事では、介護を必要とするご家族がいらっしゃる方々が直面する、施設選びの難しさについて掘り下げていきます。特に、特別養護老人ホーム（特養）と介護老人保健施設（老健）の違い、そしてどちらがご自身の状況に合っているのかという疑問に焦点を当て、具体的な情報とアドバイスを提供します。寝たきりのご家族を抱え、施設入所を検討されている方々が、最適な選択をするための手助けとなることを目指します。

特別養護老人ホームと介護老人保健施設の違いは？どちらの方が費用がかかりますか？ 独居の父(67歳)がほぼ寝たきり状態になり、介護度も上がりヘルパーさん等の費用もかさむから・・・と、介護老人保健施設への入所をすすめられました。元々、六年前に軽い脳梗塞になり右半身に障害が残ったのですが、しっかりとリハビリをすれば完治するぐらいの程度であったのにリハビリを怠り、ずっと家にこもっていたが故のことです。トイレに間に合わないことが多くなり今年の春にはオムツをはくようになりましたが、それからというものトイレにも行かなくなったようで、完全にオムツになりました。また以前のようにトイレぐらいは自分で行けるようにリハビリを・・・ということで介護老人保健施設への入所という言われたのですが、はっきりと言って本人がそこまでリハビリを頑張るとは到底思えません。そういう場合は特別養護老人ホームの方が良いのでしょうか？

特別養護老人ホーム（特養）と介護老人保健施設（老健）の違いを理解する

介護施設を選ぶ上で、まず理解しておくべきは、それぞれの施設の目的と機能の違いです。特別養護老人ホーム（特養）と介護老人保健施設（老健）は、どちらも高齢者の介護を目的とした施設ですが、その役割とサービス内容には大きな違いがあります。これらの違いを理解することで、ご自身の状況に最適な施設を選ぶための第一歩となります。

特別養護老人ホーム（特養）とは

特別養護老人ホーム（特養）は、原則として、常に介護が必要で、自宅での生活が困難な方が入所する施設です。主な目的は、入所者の日常生活の支援と、終身的な生活の場を提供することです。具体的には、食事、入浴、排泄などの介助、健康管理、レクリエーションなどが行われます。

• 入所対象者: 介護度3以上の方が中心ですが、特例として介護度2の方も入所できる場合があります。
• 施設の目的: 終身的な生活の場を提供し、日常生活の支援を行う。
• サービス内容: 食事、入浴、排泄の介助、健康管理、レクリエーション、機能訓練など。
• 費用: 比較的低額で、所得に応じて費用が決定される。ただし、居住費、食費、その他日常生活費がかかる。
• 特徴: 長く生活することを前提とした施設であり、手厚い介護体制が整っている。

介護老人保健施設（老健）とは

介護老人保健施設（老健）は、病院での治療を終え、自宅復帰を目指す方が入所する施設です。主な目的は、リハビリテーションや医療ケアを通じて、利用者の在宅復帰を支援することです。そのため、理学療法士や作業療法士などの専門職が配置され、リハビリプログラムが充実しています。

• 入所対象者: 病状が安定し、リハビリテーションを必要とする方。
• 施設の目的: 在宅復帰を支援し、リハビリテーションや医療ケアを提供する。
• サービス内容: リハビリテーション、医療ケア、日常生活の支援。
• 費用: 特養よりもやや高額になる傾向がある。
• 特徴: リハビリテーションに重点を置いており、在宅復帰に向けた支援が充実している。入所期間は原則として3ヶ月～6ヶ月。

費用面での比較

費用は、施設を選ぶ上で重要な要素の一つです。特養と老健では、費用の構成や金額に違いがあります。一般的に、特養は比較的低額で利用できますが、老健はリハビリテーションなどの専門的なサービスが提供されるため、費用が高くなる傾向があります。ただし、具体的な費用は、施設の設備やサービス内容、所得によって異なります。

特別養護老人ホーム（特養）の費用

特養の費用は、介護保険の自己負担分と、居住費、食費、日常生活費で構成されます。介護保険の自己負担割合は、所得に応じて1割～3割となります。居住費は、部屋のタイプ（個室、多床室など）によって異なり、食費も施設の食事内容によって変動します。日常生活費には、おむつ代や理美容代などが含まれます。

介護老人保健施設（老健）の費用

老健の費用も、介護保険の自己負担分、居住費、食費、その他日常生活費で構成されます。特養と同様に、介護保険の自己負担割合は所得によって異なります。老健では、リハビリテーションや医療ケアが提供されるため、その分の費用が加算されることがあります。また、入所期間が限られているため、退所後の費用も考慮する必要があります。

費用に関する詳細は、各施設の料金表を確認し、不明な点は施設に直接問い合わせることをお勧めします。また、自治体によっては、低所得者向けの費用減免制度が設けられている場合がありますので、お住まいの地域の情報を確認することも重要です。

ご本人の状況に合わせた選択

施設を選ぶ際には、ご本人の心身の状態、生活の意向、そして将来的な見通しを考慮することが重要です。寝たきりの状態であり、リハビリテーションへの意欲が低い場合は、特養の方が適している可能性があります。一方、リハビリテーションへの意欲があり、在宅復帰を目指す場合は、老健が選択肢となります。

寝たきりの状態の場合

寝たきりの状態であり、リハビリテーションへの意欲が低い場合は、特養がより適している可能性があります。特養では、24時間体制で介護サービスが提供され、日常生活の支援が手厚く行われます。また、終身的に生活できる環境が整っているため、安心して過ごすことができます。

リハビリテーションへの意欲がある場合

リハビリテーションへの意欲があり、在宅復帰を目指す場合は、老健が選択肢となります。老健では、専門的なリハビリテーションプログラムが提供され、理学療法士や作業療法士などの専門職が、個別のリハビリ計画を作成し、サポートを行います。ただし、老健は、あくまでも在宅復帰を目的とした施設であり、入所期間には限りがあることに注意が必要です。

本人の意向を尊重する

施設を選ぶ上で最も大切なのは、ご本人の意向を尊重することです。可能であれば、ご本人と話し合い、どのような生活を送りたいのか、どのようなサービスを希望するのかを確認しましょう。本人の意向を尊重することで、入所後の生活の満足度を高めることができます。

施設見学と情報収集の重要性

施設を選ぶ際には、実際に施設を見学し、情報を収集することが重要です。見学を通じて、施設の雰囲気、スタッフの対応、設備などを確認することができます。また、入居者の方々の様子を見ることで、その施設での生活をイメージしやすくなります。

施設見学のポイント

• 施設の雰囲気: 清潔さ、明るさ、静かさなど、施設の雰囲気を実際に感じてみましょう。
• スタッフの対応: スタッフの対応や、入居者とのコミュニケーションの様子を観察しましょう。
• 設備: 部屋の広さ、バリアフリー設備、レクリエーションスペースなど、設備を確認しましょう。
• サービス内容: 食事、入浴、排泄の介助、健康管理、レクリエーションなど、サービス内容を確認しましょう。
• 入居者の様子: 入居者の方々の表情や、スタッフとのコミュニケーションの様子を観察しましょう。

情報収集の方法

• 施設のウェブサイト: 施設のウェブサイトで、施設の概要、サービス内容、費用などを確認しましょう。
• パンフレット: 施設のパンフレットを取り寄せ、詳細な情報を確認しましょう。
• 口コミサイト: 施設の口コミサイトで、他の利用者の評価や評判を確認しましょう。
• 地域包括支援センター: 地域包括支援センターに相談し、地域の施設に関する情報を収集しましょう。
• ケアマネジャー: ケアマネジャーに相談し、ご自身の状況に合った施設を紹介してもらいましょう。

入所後のサポート体制

施設に入所した後も、様々なサポートが必要となる場合があります。入所後の生活をスムーズに進めるために、以下の点を考慮しましょう。

ケアマネジャーとの連携

ケアマネジャーは、入居者のケアプランを作成し、施設との連携を図る重要な役割を担います。定期的にケアマネジャーと面談し、入居者の状況やニーズを共有し、適切なサポートを受けられるようにしましょう。

家族の役割

家族は、入居者の精神的な支えとなり、施設のスタッフとの連携を図る役割を担います。定期的に施設を訪問し、入居者の様子を確認し、スタッフと情報交換を行いましょう。また、入居者の希望や要望を施設に伝え、より良い生活をサポートしましょう。

医療機関との連携

入居者の健康状態を把握し、必要な医療サービスを提供するために、医療機関との連携が重要です。定期的な健康診断や、必要に応じて専門医の診察を受けられるように、施設と医療機関との連携体制を確認しましょう。

まとめ

特別養護老人ホーム（特養）と介護老人保健施設（老健）は、それぞれ異なる目的とサービス内容を持つ施設です。ご自身の状況に合わせて、最適な施設を選ぶためには、それぞれの施設の特徴を理解し、費用やサービス内容を比較検討することが重要です。また、施設見学や情報収集を通じて、施設の雰囲気やスタッフの対応を確認し、入所後のサポート体制も考慮しましょう。ご本人の意向を尊重し、より良い生活を送れるように、家族や関係者と協力して、最適な選択をしてください。

今回のケースでは、ご本人がリハビリテーションに積極的でないこと、寝たきりの状態であることから、特養がより適していると考えられます。しかし、最終的な判断は、ご本人の意向や、今後の状況の変化などを考慮して行う必要があります。

よくある質問（FAQ）

介護施設選びに関するよくある質問とその回答をまとめました。これらのFAQが、あなたの疑問を解決し、より良い選択をするための一助となれば幸いです。

Q1: 特養と老健、どちらも入所待ちが多いと聞きましたが、どのくらい待つのが一般的ですか？

A1: 特養と老健の入所待機期間は、地域や施設の状況によって大きく異なります。特養は、入所条件が厳しく、終身利用を前提としているため、待機期間が長くなる傾向があります。一般的には、数ヶ月から数年待つことも珍しくありません。老健は、在宅復帰を目的としているため、比較的待機期間が短い傾向がありますが、それでも数週間から数ヶ月待つことがあります。入所を希望する施設の空き状況や、ご自身の介護度、緊急度によっても待機期間は変動します。まずは、希望する施設に直接問い合わせて、現在の待機状況を確認することをお勧めします。また、複数の施設に申し込み、待機順位を上げるための努力も必要です。

Q2: 認知症の症状がある場合、どちらの施設が良いのでしょうか？

A2: 認知症の症状がある場合、特養と老健のどちらも選択肢となりますが、施設の対応能力や、ご本人の状態によって最適な施設は異なります。特養は、24時間体制で介護サービスが提供され、認知症ケアに特化したユニット型施設も多くあります。認知症の症状が進行し、日常生活に大きな支障がある場合は、特養が適している可能性があります。老健は、リハビリテーションや医療ケアを提供しますが、認知症ケアの専門性は特養ほど高くありません。ただし、認知症の症状が比較的安定しており、リハビリテーションや在宅復帰を目指す場合は、老健も選択肢となります。施設のスタッフが認知症ケアに関する研修を受けているか、認知症ケアに関する専門的な設備が整っているかなどを確認し、ご本人の状況に合った施設を選びましょう。

Q3: 費用を抑えたい場合、どのような方法がありますか？

A3: 介護施設の費用を抑えるためには、いくつかの方法があります。まず、介護保険制度を最大限に活用することが重要です。介護保険の自己負担割合は、所得に応じて1割～3割となります。所得が低い場合は、特定入所者介護サービス費（食費・居住費の減額制度）を利用できる場合があります。また、自治体によっては、低所得者向けの費用減免制度が設けられている場合がありますので、お住まいの地域の情報を確認しましょう。次に、施設の費用体系を比較検討することも重要です。同じサービス内容でも、施設によって費用が異なる場合があります。複数の施設に見学に行き、費用やサービス内容を比較検討することで、より費用対効果の高い施設を選ぶことができます。さらに、民間の介護保険に加入している場合は、保険金を利用することも検討しましょう。

Q4: 入所前に必要な手続きは何ですか？

A4: 介護施設に入所する前に、いくつかの手続きが必要となります。まず、ケアマネジャーに相談し、施設入所の相談をしましょう。ケアマネジャーは、ご自身の状況に合った施設を紹介し、入所までの手続きをサポートしてくれます。次に、入所を希望する施設に申し込み、面談を受けましょう。面談では、ご本人の状況や希望、施設のサービス内容について説明が行われます。入所が決まったら、契約手続きを行い、入所に必要な書類を提出します。入所前に、健康診断や、必要な物品の準備も行いましょう。手続きの詳細については、ケアマネジャーや施設のスタッフに相談し、指示に従って進めてください。

Q5: 入所後、施設での生活に馴染めない場合はどうすれば良いですか？

A5: 入所後、施設での生活に馴染めない場合は、まずは施設のスタッフに相談しましょう。スタッフは、入居者の状況を把握し、様々なサポートを提供してくれます。例えば、生活環境の調整、他の入居者との交流の促進、趣味活動への参加など、様々な方法でサポートしてくれます。また、ケアマネジャーとも連携し、ケアプランの見直しや、他の施設の検討も行いましょう。家族は、入居者の精神的な支えとなり、施設のスタッフとの連携を図る役割を担います。定期的に施設を訪問し、入居者の様子を確認し、スタッフと情報交換を行いましょう。入居者の気持ちに寄り添い、辛抱強くサポートすることが大切です。場合によっては、他の施設への転居も検討する必要がありますが、まずは、現在の施設でできる限りのサポートを受け、状況を改善するように努めましょう。

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