特別養護老人ホームと介護老人保健施設の違いとは？介護施設選びの疑問を徹底解説

今回は、介護を必要とするご家族の施設選びで悩まれている方に向けて、特別養護老人ホーム（特養）と介護老人保健施設（老健）の違いを分かりやすく解説します。ご家族の状況に最適な施設を選ぶためのポイントや、入居を検討する際の注意点、そして、安心して施設生活を送るためのアドバイスをお届けします。

「特別養護老人ホーム」と「介護老人保健施設」の違いについて、教えて下さい。

私の母は、今年の5月に脳梗塞で倒れ、右半身完全麻痺・言語障害・嚥下障害で、「要介護５」に認定されています。

長期に渡る入院生活で、病院側からも、そろそろ施設の入居を検討して欲しいと言われています。

そこで、「特別養護老人ホーム」と「介護老人保健施設」の両方の施設の入居を検討していますが、どこが違うのでしょうか?

又、上記のような容態の母には、どちらが、ベターなのでしょうか?

その他、どんなアドバイスでも結構です。何卒「お知恵」をお貸し下さいませ。宜しくお願い致します。

特別養護老人ホーム（特養）と介護老人保健施設（老健）の基本

介護施設を選ぶ上で、まず知っておきたいのは、それぞれの施設の目的と特徴です。特養と老健は、入居者のニーズや目的に合わせて、提供するサービスや環境が異なります。

特別養護老人ホーム（特養）とは

特養は、日常生活に介護が必要な高齢者が、長期的に生活する施設です。主な目的は、入居者の生活を支援し、心身の健康を維持することです。終身利用を前提としているため、安心して長く生活できる環境が整っています。

• 対象者: 原則として、要介護3以上の認定を受けている方。ただし、特例として、要介護1または2の方でも、やむを得ない事情がある場合は入居できる場合があります。
• 目的: 終身的な生活の場として、入居者の生活を支援し、健康管理を行う。
• サービス内容: 食事、入浴、排泄などの介助、健康管理、機能訓練、レクリエーションなど。
• 特徴: 終の棲家として、手厚い介護を受けながら、安心して生活できる。
• 費用: 比較的安価で、所得に応じた負担となる。

介護老人保健施設（老健）とは

老健は、病状が安定し、治療よりもリハビリテーションを必要とする方が、在宅復帰を目指すための施設です。入居期間は原則として3ヶ月から6ヶ月とされており、一時的な利用が前提です。

• 対象者: 病状が安定し、リハビリテーションを必要とする方。
• 目的: 在宅復帰を支援し、心身機能の回復を目指す。
• サービス内容: リハビリテーション、医療ケア、食事、入浴、排泄などの介助。
• 特徴: リハビリテーションに重点を置き、在宅復帰を支援する。
• 費用: 医療費やリハビリテーション費用がかかるため、特養より高くなる場合がある。

ご家族の状況に合わせた施設選びのポイント

ご相談者様のお母様は、脳梗塞による後遺症で、要介護5と認定されています。この状況を踏まえて、どちらの施設がより適しているか、具体的なポイントを解説します。

1. 介護度と必要なケア

要介護5の方は、高度な介護を必要とします。食事、入浴、排泄など、日常生活の全般にわたって、手厚いサポートが必要です。特養は、24時間体制で介護サービスを提供しており、重度の介護が必要な方にも対応できる体制が整っています。一方、老健は、リハビリテーションに重点を置いているため、介護度が非常に高い方には、十分な介護を提供できない場合があります。

2. 医療ケアの必要性

嚥下障害がある場合、食事の介助や、誤嚥性肺炎のリスク管理など、専門的な医療ケアが必要になります。特養でも、看護師が常駐し、医療ケアを提供していますが、老健の方が、医師や看護師の配置が多く、より手厚い医療ケアを受けられる可能性があります。

3. リハビリテーションの重要性

右半身麻痺や言語障害がある場合、リハビリテーションによって、身体機能の回復や、コミュニケーション能力の向上が期待できます。老健は、リハビリテーション専門職（理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など）が配置されており、集中的なリハビリテーションを受けることができます。特養でも、リハビリテーションを提供していますが、老健ほど充実していない場合があります。

4. 長期的な視点

特養は、終身利用を前提としています。一方、老健は、在宅復帰を目指すための施設であり、入居期間に制限があります。お母様の今後の状況を考慮し、長期的な視点で、どちらの施設がより適しているかを検討する必要があります。

どちらの施設がベターか？

お母様の状況（要介護5、右半身麻痺、言語障害、嚥下障害）を考慮すると、特養と老健、どちらも選択肢となりえます。

• 特養: 終身利用が可能で、24時間体制で手厚い介護を受けられます。
• 老健: リハビリテーションに重点を置き、在宅復帰を目指すことができます。

最終的な判断は、以下の点を考慮して行うと良いでしょう。

• 今後の目標: 在宅復帰を目指すのか、施設での生活を希望するのか。
• 医療ケアの必要性: どの程度の医療ケアが必要か。
• リハビリテーションの重要性: どの程度のリハビリテーションが必要か。
• 施設の体制: 各施設の介護体制、医療体制、リハビリ体制を確認する。

ご家族の方と、お母様ご本人の意向を尊重し、最適な施設を選んでください。

施設選びの具体的なステップ

施設選びは、情報収集から始まり、見学、体験入居などを経て、最終的な決定に至ります。具体的なステップを追って、解説します。

1. 情報収集

まずは、地域の特養と老健について、情報を集めましょう。インターネット検索、自治体の情報、ケアマネジャーへの相談などが有効です。

• インターネット検索: 施設のホームページや、口コミサイトなどを参考に、施設の情報を収集します。
• 自治体の情報: 地域の介護保険課などで、施設の情報を入手できます。
• ケアマネジャーへの相談: ケアマネジャーは、施設の情報を詳しく知っており、相談に乗ってくれます。

2. 施設の比較検討

気になる施設をいくつかピックアップし、比較検討を行います。以下の点を比較すると良いでしょう。

• 施設の設備: バリアフリー設備、個室の有無、共有スペースなど。
• 介護体制: 介護職員の配置人数、夜間の対応体制など。
• 医療体制: 医師や看護師の配置、医療ケアの内容など。
• リハビリ体制: リハビリ専門職の配置、リハビリの内容など。
• 費用: 利用料金、食費、その他費用など。
• 入居者の雰囲気: 施設の雰囲気や、入居者の様子を観察する。

3. 見学

気になる施設を見学し、実際に施設内の様子を確認しましょう。見学の際には、以下の点に注目すると良いでしょう。

• 施設の清潔さ: 施設の清潔さや、整理整頓されているかを確認する。
• スタッフの対応: スタッフの対応や、入居者とのコミュニケーションの様子を観察する。
• 入居者の様子: 入居者の表情や、過ごし方を観察する。
• 質問: 疑問点があれば、積極的に質問する。

4. 体験入居

可能であれば、体験入居をしてみましょう。実際に施設で生活することで、施設の雰囲気や、サービス内容を体感できます。体験入居を通して、入居後の生活を具体的にイメージすることができます。

5. 契約

最終的に入居する施設を決定したら、契約手続きを行います。契約内容をよく確認し、不明な点があれば、事前に質問しておきましょう。

入居を検討する際の注意点

施設選びでは、いくつかの注意点があります。事前に確認しておくことで、入居後のトラブルを避けることができます。

1. 費用

施設の利用料金は、施設によって異なります。入居前に、費用について詳しく確認し、ご自身の予算に合った施設を選びましょう。また、介護保険の利用や、医療費の負担についても、確認しておきましょう。

2. 施設の体制

施設の介護体制、医療体制、リハビリ体制を確認しましょう。特に、ご家族の状況に合わせて、必要なサービスが提供されているかを確認することが重要です。例えば、嚥下障害がある場合は、食事の介助体制や、誤嚥性肺炎のリスク管理について、確認しておきましょう。

3. 施設の雰囲気

施設の雰囲気は、入居者の生活の質に大きく影響します。見学や体験入居を通して、施設の雰囲気を確認し、ご家族に合った施設を選びましょう。

4. 情報公開

施設は、運営状況やサービス内容について、積極的に情報を公開しています。施設のホームページや、情報公開サイトなどを確認し、施設の情報を収集しましょう。

5. 契約内容

契約内容は、入居後のトラブルを避けるために、非常に重要です。契約前に、契約内容をよく確認し、不明な点があれば、事前に質問しておきましょう。特に、退去に関する規定や、サービス内容の変更について、確認しておきましょう。

安心して施設生活を送るために

施設に入居した後も、安心して生活を送るためには、いくつかのポイントがあります。

1. コミュニケーション

施設スタッフとのコミュニケーションを密にしましょう。日々の様子や、気になることなどを、積極的に伝えることで、より良いサービスを受けることができます。また、他の入居者との交流も大切にし、積極的にコミュニケーションを取りましょう。

2. 家族の関わり

家族は、入居者の生活を支える重要な存在です。定期的に施設を訪問し、入居者の様子を確認しましょう。また、施設スタッフと連携し、入居者の状況を共有し、必要なサポートを行いましょう。

3. 健康管理

入居者の健康管理は、非常に重要です。定期的な健康チェックや、必要な医療ケアを受けましょう。また、食事や運動にも気を配り、健康的な生活を送りましょう。

4. 権利擁護

入居者の権利は、尊重されるべきです。入居者の権利を侵害するようなことがあれば、施設スタッフや、関係機関に相談しましょう。

5. 相談窓口の活用

施設生活で困ったことがあれば、遠慮なく相談しましょう。施設には、相談窓口が設置されている場合があります。また、地域の相談窓口や、専門家への相談も有効です。

まとめ

今回は、特別養護老人ホーム（特養）と介護老人保健施設（老健）の違いについて、解説しました。ご家族の状況に合わせて、最適な施設を選ぶためには、それぞれの施設の目的と特徴を理解し、必要なサービスや、費用などを比較検討することが重要です。そして、施設見学や体験入居を通して、施設の雰囲気や、サービス内容を確認し、安心して生活できる施設を選びましょう。ご家族の介護施設選びが、より良いものになるよう、心から応援しています。

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