要介護度5の入居にかかる費用は？施設選びと経済的な負担を徹底解説

介護が必要なご家族がいらっしゃる方にとって、施設への入居は避けて通れない選択肢の一つです。しかし、費用に関する不安は大きいのではないでしょうか。特に、要介護度5の方を施設に入居させる場合、どのくらいの費用がかかるのか、経済的な負担はどの程度になるのか、気になる方は多いはずです。

要介護度5の人を施設に入れる場合、かかる料金っていくらぐらいになるんですか？

この記事では、要介護度5の方の施設入居にかかる費用について、詳細に解説します。費用の内訳、施設の種類ごとの違い、費用を抑えるための制度や工夫、そして施設選びのポイントまで、具体的な情報を提供します。この記事を読むことで、費用に関する不安を軽減し、ご家族にとって最適な選択をするための一助となるでしょう。

1. 要介護度5とは？ 状態と施設入居の必要性

要介護度5とは、介護保険制度における要介護度のうち、最も重度の状態を指します。日常生活のほぼすべてにおいて、他者の全面的な介護が必要な状態です。具体的には、食事、入浴、排泄、着替えなど、すべての行為において、介護者の手助けが不可欠です。また、意思疎通が困難な場合や、認知症の症状が重く、常に目が離せない状態であることも少なくありません。

このような状況では、在宅での介護は非常に困難になることがあります。介護者の心身への負担が大きく、24時間体制での介護が必要となるため、介護者の疲労やストレスは限界を超えてしまうこともあります。また、専門的な医療ケアや、高度な介護技術が必要となるケースも多く、在宅では対応が難しい場合も少なくありません。

そのため、要介護度5の方の場合、施設への入居は、本人と介護者の双方にとって、より良い選択肢となることが多いです。施設では、専門の介護スタッフによる24時間体制のケアが提供され、医療的なサポートも受けられます。また、他の入居者との交流を通じて、社会的なつながりを保ち、孤独感を軽減することもできます。

2. 施設の種類と費用相場

施設の種類によって、費用は大きく異なります。それぞれの施設の特徴と、費用相場について見ていきましょう。

2-1. 特別養護老人ホーム（特養）

特別養護老人ホーム（特養）は、原則として、要介護3以上の方が利用できる施設です。入居一時金は不要で、月額費用は比較的安価であることが特徴です。しかし、入居希望者が多く、入居待ちが発生することも少なくありません。費用は、介護度や部屋のタイプによって異なりますが、一般的には、月額10万円～20万円程度が目安となります。

• 入居一時金: 不要
• 月額費用: 10万円～20万円程度（介護度、部屋のタイプによる）
• 特徴: 比較的安価、入居待ちが発生しやすい

2-2. 介護老人保健施設（老健）

介護老人保健施設（老健）は、在宅復帰を目的とした施設です。医療ケアやリハビリテーションが充実しており、入居期間は原則として3ヶ月～6ヶ月程度です。費用は、特養と同程度ですが、リハビリテーション加算などにより、若干高くなる場合があります。月額費用は、10万円～20万円程度が目安です。

• 入居一時金: 不要
• 月額費用: 10万円～20万円程度（リハビリテーション加算などにより変動）
• 特徴: 在宅復帰を目的、リハビリテーションが充実

2-3. 介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、24時間体制で介護サービスが提供される施設です。居室は個室が中心で、プライバシーが確保されています。費用は、施設によって大きく異なり、入居一時金が必要な場合もあります。月額費用は、20万円～40万円程度が目安となります。

• 入居一時金: 必要（施設による）
• 月額費用: 20万円～40万円程度
• 特徴: 24時間介護、個室中心、費用は高め

2-4. 住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、生活支援サービスが中心の施設です。介護サービスは、外部の事業所と契約して利用します。費用は、介護サービス利用料によって変動し、入居一時金が必要な場合もあります。月額費用は、15万円～30万円程度が目安となります。

• 入居一時金: 必要（施設による）
• 月額費用: 15万円～30万円程度（介護サービス利用料による）
• 特徴: 生活支援中心、介護サービスは外部委託

2-5. グループホーム

グループホームは、認知症の方を対象とした少人数の共同生活施設です。家庭的な雰囲気の中で、認知症ケアが提供されます。費用は、比較的安価で、月額15万円～25万円程度が目安となります。

• 入居一時金: 不要
• 月額費用: 15万円～25万円程度
• 特徴: 認知症ケアに特化、少人数制、家庭的な雰囲気

3. 費用の内訳

施設にかかる費用は、大きく分けて以下の3つです。

• 月額利用料: 居住費、食費、管理費、介護サービス利用料などを含みます。
• 入居一時金: 介護付き有料老人ホームなど、一部の施設で必要となります。
• その他: 医療費、おむつ代、理美容代、日用品費など、個別に発生する費用です。

それぞれの費用について、詳しく見ていきましょう。

3-1. 月額利用料

月額利用料は、施設を利用する上で必ずかかる費用です。内訳は以下の通りです。

• 居住費: 居室の家賃に相当する費用です。
• 食費: 食事の提供にかかる費用です。
• 管理費: 共用施設の維持費、事務費などを含みます。
• 介護サービス利用料: 介護保険サービスを利用した場合の費用です。自己負担割合に応じて支払います。

これらの費用は、施設の設備やサービス内容、介護度などによって異なります。事前に、各施設の料金プランを比較検討することが重要です。

3-2. 入居一時金

入居一時金は、介護付き有料老人ホームなど、一部の施設で必要となる費用です。入居時にまとめて支払うもので、月額利用料の一部を前払いする形式や、施設の設備投資に充当する形式などがあります。入居一時金の有無や金額は、施設によって大きく異なります。入居一時金がある場合は、月額利用料が安くなる傾向があります。

3-3. その他費用

その他費用は、個別に発生する費用です。具体的には、以下のものが挙げられます。

• 医療費: 医療機関を受診した場合の費用です。
• おむつ代: おむつを使用する場合の費用です。
• 理美容代: 理美容サービスを利用した場合の費用です。
• 日用品費: 日用品を購入する場合の費用です。
• レクリエーション費: レクリエーションに参加する場合の費用です。

これらの費用は、個人の状況や利用するサービスによって異なります。事前に、どの程度の費用がかかるのか、確認しておきましょう。

4. 費用を抑えるための制度と工夫

施設入居にかかる費用は高額になることも多いため、費用を抑えるための制度や工夫を知っておくことが重要です。

4-1. 介護保険制度の活用

介護保険制度は、介護が必要な高齢者の生活を支援するための制度です。施設入居の場合、介護サービス利用料の自己負担割合は、原則として1割～3割となります。所得に応じて、自己負担割合が決定されます。介護保険制度を最大限に活用することで、費用負担を軽減することができます。

4-2. 特定入所者介護サービス費（食費・居住費の減額）

低所得者の場合、食費や居住費の減額が受けられる制度があります。これは、特定入所者介護サービス費と呼ばれるもので、所得に応じて、食費や居住費の一部が補助されます。この制度を利用することで、月額費用を大幅に抑えることができます。申請方法や条件については、お住まいの市区町村の介護保険窓口にお問い合わせください。

4-3. 医療費控除

医療費控除は、1年間の医療費が一定額を超えた場合に、所得税が軽減される制度です。施設入居中の医療費も、医療費控除の対象となる場合があります。領収書を保管し、確定申告を行うことで、税金の還付を受けることができます。

4-4. 補助金制度の活用

自治体によっては、低所得者向けの施設入居費用を補助する制度や、住宅改修費用を補助する制度などがあります。お住まいの自治体の情報を確認し、利用できる制度がないか調べてみましょう。

4-5. 施設の比較検討

複数の施設を比較検討し、費用やサービス内容を比較することで、より費用対効果の高い施設を選ぶことができます。料金プランだけでなく、施設の設備、介護体制、レクリエーションの内容なども比較検討しましょう。

4-6. 家族での協力

家族で協力し、介護サービスを組み合わせることで、費用を抑えることができます。例えば、訪問介護サービスを利用し、施設入居と在宅介護を組み合わせることで、費用負担を軽減することができます。

5. 施設選びのポイント

施設を選ぶ際には、以下のポイントに注意しましょう。

5-1. 介護体制の確認

要介護度5の方の場合、24時間体制での介護が必要となります。施設の介護体制が、十分な人員配置や、専門的な知識・技術を持ったスタッフがいるかなど、確認しましょう。特に、医療的なケアが必要な場合は、看護師の配置状況や、医療機関との連携体制も重要です。

5-2. 施設の設備

施設の設備は、快適な生活を送る上で重要です。居室の広さ、バリアフリー設計、トイレや浴室の設備などを確認しましょう。また、共有スペースやレクリエーション設備も、入居者の生活の質に影響します。

5-3. サービス内容

施設が提供するサービス内容も、重要なポイントです。食事、入浴、排泄、着替えなどの基本的な介護サービスに加え、リハビリテーション、レクリエーション、医療ケアなどのサービス内容を確認しましょう。また、看取りケアに対応しているかどうかも、重要なポイントです。

5-4. 費用

費用の内訳をしっかりと確認し、予算内で利用できる施設を選びましょう。月額利用料だけでなく、入居一時金や、その他費用についても確認が必要です。また、費用に見合ったサービスが提供されているか、比較検討しましょう。

5-5. 施設の雰囲気

施設の雰囲気は、入居者の生活の質に大きく影響します。見学に行き、施設の雰囲気や、スタッフの対応、入居者の様子などを確認しましょう。可能であれば、入居者の方に話を聞いてみるのも良いでしょう。

5-6. 立地条件

立地条件も、重要なポイントです。自宅からの距離や、交通の便、周辺の環境などを考慮しましょう。家族が頻繁に面会に行ける距離にあるか、買い物や通院に便利な場所にあるかなども、考慮しましょう。

6. 事例紹介：Aさんの場合

ここでは、要介護度5のAさんの施設入居の事例を紹介します。Aさんは、認知症と身体的な衰えが進み、在宅での介護が困難になったため、介護付き有料老人ホームに入居することになりました。

Aさんの場合、入居一時金として300万円を支払い、月額費用は35万円でした。内訳は、居住費10万円、食費5万円、管理費5万円、介護サービス利用料15万円です。その他費用として、医療費や日用品費などが、月々5万円程度かかりました。

Aさんは、特定入所者介護サービス費を利用し、食費の一部が補助されました。また、医療費控除も利用し、所得税の還付を受けました。Aさんは、施設の充実した介護体制と、スタッフの温かい対応に満足し、穏やかな生活を送ることができました。

この事例はあくまで一例であり、個々の状況によって費用やサービス内容は異なります。ご自身の状況に合わせて、施設選びを慎重に行いましょう。

7. まとめ：賢い施設選びで、安心できる生活を

要介護度5の方の施設入居にかかる費用は、施設の種類やサービス内容、個人の状況によって大きく異なります。しかし、介護保険制度や、様々な制度を活用することで、費用負担を軽減することができます。施設選びの際には、費用だけでなく、介護体制、設備の充実度、サービス内容、施設の雰囲気などを総合的に考慮し、ご家族にとって最適な施設を選びましょう。

費用に関する不安を軽減し、安心して施設での生活を送るためには、事前の情報収集と、慎重な検討が不可欠です。この記事で得た情報を参考に、ご家族にとって最良の選択をしてください。

介護は、ご本人だけでなく、ご家族にとっても大きな負担となるものです。しかし、適切な情報とサポートがあれば、安心して乗り越えることができます。この記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。

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