「行きたくない！」認知症の母を支える、介護サービスとの向き合い方

この記事では、認知症の母親が介護サービスを嫌がり、どのように対応すれば良いのか悩んでいる方に向けて、具体的なアドバイスを提供します。介護サービスを拒否するご本人の気持ちを尊重しつつ、より良い介護生活を送るためのヒントをお伝えします。介護に関する専門知識と、多くの相談事例から得られた経験をもとに、あなたとご家族にとって最善の選択ができるようサポートします。

数年前に認知症の症状が出た70代の母親がおり、現在介護認定の申請中です。かかりつけの物忘れ外来の医師にデイサービス等を勧められていますが、プライドの高い母はそんなのは絶対行かないと言っています。私もあまりに母が嫌がるので、医師に「本人が嫌がっても受けさせた方が良いのでしょうか？」と聞いてみたら「はい良いです。利用しないでいたらもっと悪くなってしまいますよ」とはっきり言われました。母は自分が認知症であることは少なからず自覚していると思います。ただ物忘れ、料理をほとんどしない、感情の起伏が激しい、日付や季節感が曖昧、等認知症の初期症状がくまなく出ていますが、本人は体は元気だしそこそこ日常生活を送れているのでそこまで悪くないと思っています。ですがやはり一日一緒にいる父親の方が母のフォローをする毎日で参っていますし、それもあり母を少し外へ出す必要があるなと思っています。ですが母はたぶんデイサービスなどというものに一番抵抗があるようなので、逆にストレスになってもいけないのでそこまでして受けさせるつもりはありません。(お試しでデイ体験というのもおそらく嫌がると思います)なのでデイ等でなく自宅にケアマネさんやヘルパーさん等にたまに訪問して貰うようなサービスだけでも構わないかなと思っています。そこで経験者の方や介護に関わられている方のご意見を頂戴したく質問させて頂きました。何か良い対応策もあればアドバイス頂けますと幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。

1. 認知症の母が介護サービスを嫌がる理由を理解する

まず、お母様が介護サービスを嫌がる理由を深く理解することが重要です。そこには、様々な感情が複雑に絡み合っている可能性があります。以下に、考えられる主な理由をいくつか挙げ、それぞれの理由に対する具体的な対応策を提案します。

• プライド: これまで自立した生活を送ってきた方にとって、他者の助けを借りることは、プライドを傷つける可能性があります。
• 対応策: 介護サービスを「助けを求める」という表現ではなく、「生活の質を向上させるためのサポート」と捉えるように促しましょう。例えば、「プロの視点から、あなたの得意なことをもっと活かせるようにサポートする」といった言葉で、前向きな印象を与えられます。
• 不安や恐怖: デイサービスやヘルパーの訪問など、慣れない環境や人に接することへの不安や恐怖心があるかもしれません。
• 対応策: サービスを利用する前に、ご本人と一緒に施設を見学したり、ヘルパーさんと事前に顔合わせをしたりする機会を設けましょう。不安を和らげるために、サービス内容や利用の流れを具体的に説明し、安心感を与えることが大切です。
• 認知機能の低下: 認知症の症状により、新しい環境への適応が難しくなっている可能性があります。
• 対応策: 焦らず、ゆっくりと時間をかけて慣れてもらうことが重要です。最初は短時間の利用から始め、徐々に時間を延ばしていくなど、本人のペースに合わせた計画を立てましょう。
• 過去の経験や価値観: 過去の経験から、介護サービスに対してネガティブなイメージを持っている場合があります。
• 対応策: 介護サービスに対する誤解を解き、正しい情報を伝えることが大切です。例えば、「デイサービスは、単に介護を受ける場所ではなく、他の利用者との交流やレクリエーションを通じて、心身ともに元気になる場所でもある」といった説明をしましょう。

2. 介護サービスの選択肢を検討する

お母様の状況や希望に合わせて、最適な介護サービスを選択することが重要です。様々な選択肢があることを知り、ご本人と一緒に検討しましょう。

• 訪問介護（ホームヘルプサービス）: ヘルパーが自宅を訪問し、食事、入浴、排泄などの身体介護や、掃除、洗濯、調理などの生活援助を行います。
• メリット: 慣れた環境でサービスを受けられるため、抵抗感が少ない場合があります。
• デメリット: ヘルパーとの相性が合わない場合、ストレスになる可能性があります。
• デイサービス（通所介護）: 日帰りで施設に通い、食事、入浴、レクリエーション、機能訓練などを受けます。
• メリット: 他の利用者との交流を通じて、社会的な刺激を得ることができます。
• デメリット: 環境の変化に慣れるまで時間がかかる場合があります。
• ショートステイ（短期入所生活介護）: 短期間、施設に入所し、介護サービスを受けます。
• メリット: 家族の介護負担を軽減することができます。
• デメリット: 環境の変化に対する抵抗感が強い場合は、負担になる可能性があります。
• 訪問看護: 看護師が自宅を訪問し、健康管理や医療処置を行います。
• メリット: 医療的なケアが必要な場合に、自宅で安心してサービスを受けられます。
• デメリット: 看護師との相性が合わない場合、ストレスになる可能性があります。
• ケアマネージャーとの連携: ケアマネージャーは、介護に関する専門家であり、ご本人とご家族の状況に合わせて、最適な介護サービスを提案し、利用調整を行います。
• メリット: 専門的な知識と経験に基づいたアドバイスを受けることができます。
• デメリット: ケアマネージャーとの相性が合わない場合、スムーズな連携が難しくなる可能性があります。

3. 介護サービス導入へのステップ

介護サービスを導入する際には、以下のステップを踏むことで、スムーズに進めることができます。

1. 情報収集: まずは、利用できる介護サービスの種類や内容について、情報収集を行いましょう。市区町村の窓口や地域包括支援センター、インターネットなどを活用して、情報を集めることができます。
2. 相談: ケアマネージャーや、かかりつけ医に相談し、ご本人の状況に合った介護サービスを検討しましょう。
3. 体験利用: デイサービスなど、施設によっては体験利用が可能です。実際にサービスを体験し、ご本人の反応を見て、利用を検討しましょう。
4. 契約: 利用する介護サービスが決まったら、契約手続きを行います。契約内容をよく確認し、不明な点は質問しましょう。
5. 利用開始: サービス利用開始後も、定期的にケアマネージャーやサービス提供者と連携し、状況を共有し、必要に応じてサービス内容を見直しましょう。

4. コミュニケーションの重要性

お母様とのコミュニケーションは、介護サービスを円滑に進める上で非常に重要です。以下の点に注意して、コミュニケーションを図りましょう。

• 傾聴: お母様の言葉に耳を傾け、気持ちを理解しようと努めましょう。
• 共感: お母様の気持ちに寄り添い、共感する姿勢を示しましょう。
• 肯定的な言葉: 否定的な言葉ではなく、肯定的な言葉で接しましょう。
• 具体的に説明: 介護サービスの内容や利用方法について、具体的に説明しましょう。
• 一緒に決める: 介護サービスを利用するかどうか、一緒に話し合い、決定しましょう。

5. 家族のサポート体制を整える

介護は、ご家族だけで抱え込むと、心身ともに負担が大きくなります。家族間で協力し、サポート体制を整えることが重要です。

• 役割分担: 家族間で、介護に関する役割分担を決めましょう。
• 情報共有: 介護に関する情報を、家族間で共有しましょう。
• 休息: 介護から離れる時間を作り、心身ともに休息を取りましょう。
• 相談: 困ったことがあれば、家族や専門家に相談しましょう。

6. 認知症の理解を深める

認知症について理解を深めることは、お母様とのより良い関係を築き、適切な介護サービスを選択するために不可欠です。認知症は、単なる物忘れではなく、脳の機能が徐々に低下していく病気です。認知症の症状は人によって異なり、進行のスピードも様々です。認知症の理解を深めることで、お母様の行動や言動を理解し、適切な対応ができるようになります。

• 認知症の種類: 認知症には、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症など、様々な種類があります。それぞれの種類によって、症状や進行の仕方が異なります。
• 症状: 認知症の主な症状には、物忘れ、判断力の低下、見当識障害、感情の起伏の激しさ、性格の変化などがあります。
• 対応: 認知症の方とのコミュニケーションでは、落ち着いて話を聞き、理解しようと努めることが大切です。また、本人の自尊心を傷つけないように、優しく接することも重要です。
• 情報収集: 認知症に関する情報を積極的に収集し、知識を深めましょう。書籍、インターネット、専門家によるセミナーなど、様々な情報源があります。

7. 介護保険制度の活用

介護保険制度は、介護が必要な高齢者を支えるための重要な制度です。介護保険制度を理解し、積極的に活用することで、介護サービスの利用をスムーズに進めることができます。

• 介護保険の申請: 介護保険を利用するためには、まず市区町村に申請を行い、要介護認定を受ける必要があります。
• 要介護度: 要介護度に応じて、利用できる介護サービスの種類や利用料が異なります。
• サービス計画: ケアマネージャーが、ご本人の状況や希望に合わせて、介護サービス計画を作成します。
• 利用料: 介護サービスの利用料は、原則として1割〜3割の自己負担となります。
• 相談窓口: 介護保険に関する相談は、市区町村の窓口や地域包括支援センターで行うことができます。

8. 成功事例から学ぶ

実際に介護サービスを利用し、良い結果を得ている事例を参考にすることで、介護サービスに対する不安を軽減し、前向きな気持ちで介護に取り組むことができます。

• 事例1: デイサービスを嫌がっていたAさん。最初は抵抗がありましたが、スタッフとの交流やレクリエーションを通じて、徐々に笑顔が増え、積極的に参加するようになりました。
• 事例2: ヘルパーの訪問を拒否していたBさん。ヘルパーとの相性が良く、信頼関係が築けたことで、安心してサービスを受けられるようになり、生活の質が向上しました。
• 事例3: ショートステイを利用したCさん。家族の介護負担が軽減され、家族も休息を取ることができ、介護の継続が可能になりました。

9. 専門家のアドバイス

介護に関する専門家のアドバイスを受けることで、より適切な介護サービスを選択し、効果的な介護を行うことができます。

• 医師: かかりつけ医は、ご本人の健康状態を把握しており、適切な医療的なアドバイスをしてくれます。
• ケアマネージャー: ケアマネージャーは、介護に関する専門家であり、介護サービスに関する相談や、サービス計画の作成、利用調整などを行います。
• 介護福祉士: 介護福祉士は、介護に関する専門的な知識と技術を持っており、介護に関する相談やアドバイスをしてくれます。
• 精神科医: 認知症による精神的な症状がある場合は、精神科医に相談し、適切な治療を受けることが重要です。

10. 長期的な視点を持つ

介護は、長期にわたる可能性があります。焦らず、長期的な視点を持って、ご本人とご家族にとって最適な介護の形を模索していくことが大切です。

• 柔軟な対応: 状況に合わせて、介護サービスの内容や利用方法を柔軟に変更しましょう。
• 情報収集: 最新の介護に関する情報を収集し、知識をアップデートしましょう。
• 休息: 定期的に休息を取り、心身ともに健康を保ちましょう。
• サポート: 家族や専門家と連携し、支え合いながら介護に取り組みましょう。

この記事が、認知症のお母様の介護に悩むあなたにとって、少しでもお役に立てれば幸いです。介護は大変なことも多いですが、決して一人ではありません。様々なサポートを活用し、ご本人とご家族が笑顔で過ごせるように、一緒に頑張りましょう。

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