介護職の処遇改善手当と最低賃金：時給アップは本当に反映されている？

去年の10月より名古屋市の最低賃金が985円になりましたが、うちの職場(介護職)では、基本給(最低賃金)プラス処遇改善手当てが時給に足されます。介護での仕事内容が楽になったわけではなく、通常通りの仕事内容ですが、処遇改善分がつくから、最低賃金はあがりませんと言われました。面接時は時給は上がりませんが、最低賃金があがればあがります。あとは頑張り次第で処遇手当てがあがるよといわれました。が、10月から最低賃金が上がった分が時給に追加すると思っていたら、基本給は変わらず960円、あとは時間給1hにつき、処遇手当てが150円つき、時給としては1110円なのですが、なんか納得できません。仕事が忙しくなっているのに(大変になっている)、時給は960円のまま。明細にも基本給960円となっています。仕事内容は増えつつあるのに、処遇手当て分あるから、基本給は高いのと同じでしょ？って…この契約は普通の事ですか？補足 時給は今も960円、処遇手当ても変わらず150円と明細には記載されています。でも、足すと1110円だよね？なら、最低賃金より多いよね？だから、改訂されても給料はかわらないよね？って言われてるという事です。

この質問は、介護職として働く相談者の方から寄せられた、最低賃金改定と処遇改善手当に関する疑問です。最低賃金が上昇したにも関わらず、基本給が据え置かれたまま、処遇改善手当の増加で時給を調整していることに対する、納得感の欠如と、その契約の妥当性について悩んでいらっしゃいます。本記事では、最低賃金と処遇改善手当の関係性、そして、このような状況における適切な対応について、転職コンサルタントの視点から詳しく解説します。特に、介護職という労働集約的で、かつ人材不足が深刻な職種に焦点を当て、具体的な解決策を提示していきます。

最低賃金の改定と処遇改善手当：何が問題なのか？

まず、重要なのは、最低賃金は、労働基準法で定められた最低限の賃金であり、時間給や日給といった基本給に直接反映されるべきということです。今回のケースでは、最低賃金が985円に改定されたにも関わらず、相談者さんの基本給は960円のままで、150円の処遇改善手当が加算されることで、実質時給1110円となっています。一見すると最低賃金を超えているため問題ないように見えますが、ここに落とし穴があります。

企業は、最低賃金改定によって、従業員の基本給を最低賃金以上にする義務を負っています。処遇改善手当は、あくまで基本給とは別に支給されるものであり、最低賃金の満たし方として認められるとは限りません。仮に、処遇改善手当の支給が止まった場合、相談者さんの時給は最低賃金に満たない960円となってしまいます。これは、労働基準法違反の可能性があります。

さらに、相談者さんは仕事内容が増加しているにも関わらず、基本給が据え置かれていることに不満を感じています。これは、労働時間や業務内容に見合った賃金が支払われていないという、正当な不満と言えるでしょう。処遇改善手当は、あくまで業務改善や労働条件の向上に対する「追加」であり、本来支払われるべき基本給の不足を補填するものとして扱うべきではありません。

処遇改善手当の性質と労働条件の確認

処遇改善手当は、介護業界における人材確保・育成を目的として、国が推進している制度です。しかし、この手当は、基本給の代わりに支給されるものではなく、基本給に加えて支給されるものです。そのため、処遇改善手当を理由に、基本給を最低賃金以下に抑えることは、本来許されるべきではありません。

相談者さんの職場では、処遇改善手当が基本給に上乗せされる形で時給が計算されていますが、これはあくまでも企業側の都合によるものであり、労働基準法に抵触する可能性があります。明細に基本給960円と記載されている点も、この可能性を強く示唆しています。

まず、雇用契約書を改めて確認し、基本給、処遇改善手当、その他手当の支給内容、労働時間、業務内容などが明確に記載されているかを確認しましょう。契約書に不明瞭な点や矛盾点があれば、雇用主に確認し、明確化を求める必要があります。 また、労働時間管理についても確認が必要です。残業代は適切に支払われているでしょうか？もし、残業代が未払いである、もしくは適切に計算されていない場合は、労働基準監督署への相談も検討すべきです。

さらに、職場の他の従業員の給与体系についても確認してみましょう。同じ職種、同じ経験年数、同じ業務内容の従業員と比較して、自分の給与が妥当かどうかを判断することができます。もし、他の従業員と比較して明らかに低い場合は、給与交渉の材料となります。

具体的な解決策と今後の対応

現状を打破するために、以下の具体的なステップを踏んでみましょう。

• 雇用主との話し合い：まずは、雇用主と冷静に話し合い、現状の給与体系について疑問点を提示し、改善を求めることが重要です。雇用契約書を基に、最低賃金法に則った給与体系への変更を要求しましょう。具体的なデータ（最低賃金に関する情報、仕事内容の変化、労働時間の増加など）を示しながら、丁寧に説明することが大切です。
• 労働基準監督署への相談：雇用主との話し合いがうまくいかない場合、労働基準監督署に相談することを検討しましょう。労働基準監督署は、労働基準法違反の疑いがある場合、企業に対して是正指導を行います。相談は匿名でも可能なので、安心して相談できます。
• 転職活動の開始：もし、雇用主との話し合いがうまくいかず、労働条件の改善が見込めない場合は、転職活動を開始することを検討しましょう。介護職は人材不足が深刻なため、より良い条件で働ける職場が見つかる可能性は高いです。wovieなどの求人サイトを活用し、自分のスキルや経験に見合った職場を探しましょう。転職活動においては、面接対策や履歴書・職務経歴書の書き方など、様々なノウハウが必要になります。専門家のアドバイスを受けることで、よりスムーズな転職活動を進めることができます。

成功事例：同じ悩みを持つ介護職の方のケース

以前、当コンサルティングに相談に来たAさん（40代女性、介護職経験10年）も、同様の悩みを抱えていました。Aさんの職場でも、最低賃金改定後も基本給は据え置き、処遇改善手当で時給を調整していました。Aさんは、当コンサルタントのアドバイスを受け、雇用主との交渉、労働基準監督署への相談を検討した結果、最終的により好条件の職場への転職を決意しました。現在、Aさんは、以前より労働条件が改善され、やりがいを持って仕事に取り組んでいます。この事例からもわかるように、適切な対応をとることで、状況は必ず改善します。

まとめ

最低賃金は、労働者の権利を守るための重要な基準です。処遇改善手当はあくまでプラスアルファであり、最低賃金を満たすための手段としては不適切です。仕事内容が増加しているにも関わらず、基本給が据え置かれている状況は、労働条件の不平等を招く可能性があります。雇用主との交渉、労働基準監督署への相談、そして転職活動など、複数の選択肢を検討し、最適な解決策を見つけることが重要です。 自分の権利を主張し、より良い労働環境を手に入れるために、積極的に行動を起こしましょう。