介護職の薬の仕分け業務：医療行為の範囲と介護職員の役割

教えてください。 施設介護で働いている介護職員です。 介護職員の服薬関わる範囲の事なんですけど。 私の働いている施設では、介護職員は看護師が利用者の名前が書いてあるBOXに薬を仕分けしてくれて、私たちは利用者の名前があるところから、名前を確認して一包化された薬をとって袋に書いてある名前を確認して服薬介助を行っています。 ところが、看護師が忙しいからという理由で薬のBOXへの薬の仕分けを介護職員にして欲しいと言ってきました。 私は、薬の仕分けは医療行為とまではいかないと思いますが、介護職員ではなくて看護師の仕事だと思ってます。介護職員が行っていい医行為の範囲を超えてると思ってるんです。 猛反対してるんですが、実際はどうなんでしょうか？行ってもいいんでしょうか？私たちが行っていいのは、キチンと仕分けられた薬を名前と日にちと朝、ひる、夜などのタイミングを、間違ってないか、服薬をされる最後までの確認のところまでだと思います。 そして、私たち介護職員も忙しいです。 どうか教えてください。よろしくお願いします。

この記事では、介護職の薬の仕分け業務に関する疑問にお答えします。具体的には、介護職員が薬の仕分けを行うことの是非、医療行為の範囲、そして現状の業務負担軽減策について、法律や倫理的な観点から詳しく解説します。現場で働く介護職員の方々の不安や疑問を解消し、安全で安心できる介護の提供に繋がるよう、具体的な解決策を提示していきます。特に、多忙な介護現場において、業務の効率化と安全性の両立を図るための方法についても深く掘り下げていきます。

介護職員の薬の仕分け業務：医療行為の範囲とは？

まず、結論から申し上げますと、介護職員が薬の仕分けを行うことは、原則として適切ではありません。 これは、薬の仕分けが医療行為に該当する、あるいはそれに準じる行為である可能性が高いからです。

薬剤師が調剤した薬を、個々の利用者ごとに正確に仕分ける作業には、高度な専門知識と注意深さが求められます。薬剤の名称、服用量、服用時間などを正確に把握し、誤りのないよう細心の注意を払う必要があります。 万が一、仕分けミスが発生した場合、利用者の健康に深刻な影響を与える可能性があり、医療事故に繋がるリスクも伴います。

厚生労働省の指針や各施設の規定によっても異なりますが、一般的に、薬の調剤や分包、そして個々の利用者への薬剤の供給といった行為は、医師や薬剤師、看護師といった医療従事者の資格と責任の範囲内で行われるべきとされています。介護職員は、医療行為を行う資格を有していません。

重要なポイント：薬の仕分けは、医療行為ではないとしても、医療行為に密接に関連する行為であり、高い専門性と責任を伴います。介護職員がこれを行うことは、法律上だけでなく、倫理的な観点からも問題があります。

介護職員の業務範囲と責任

介護職員の業務は、利用者の生活全般をサポートすることにあります。具体的には、食事、入浴、排泄介助、生活空間の整備、レクリエーション活動の支援などです。 薬の服用に関しても、既に仕分けされた薬剤の確認と服薬介助が主な役割です。これは、利用者への薬の服用の確認、服薬時間や服薬方法の確認、服薬後の状態の観察などを含みます。

しかし、薬剤の仕分け作業は、介護職員の業務範囲を超えています。 これは、単なる作業ではなく、医療行為に深く関わるため、専門的な知識とスキル、そして責任を伴うからです。

現状の業務負担軽減策

看護師が忙しいという理由で、薬の仕分けを介護職員に依頼することは、安全面と倫理的な観点から問題があります。 しかし、介護職員の業務負担も大きいことは事実です。 この問題を解決するためには、以下の様な対策が考えられます。

• 看護師の増員または配置の見直し： 最も根本的な解決策は、看護師の数を増やす、あるいは配置を見直すことです。これにより、看護師の負担を軽減し、薬の仕分け業務を適切に行う体制を構築できます。
• 薬剤師への委託： 薬剤師に薬の仕分け業務を委託することも有効な手段です。薬剤師は薬に関する専門知識と経験を有しており、安全な仕分け作業を担保できます。
• 業務分担の明確化と改善： 介護職員と看護師の業務分担を明確化し、それぞれの役割を明確にすることで、業務効率を向上させることができます。 例えば、薬の管理に関する業務は看護師が中心となり、介護職員は服薬介助に専念するといった分担が考えられます。
• 一包化システムの活用： 薬剤を一包化して供給するシステムの導入を検討することで、看護師の仕分け作業の負担を軽減できます。多くの施設で既に導入されています。
• 記録システムの改善： 薬剤の管理や服薬記録に関するシステムを改善することで、作業効率を向上させ、ミスを減らすことができます。電子カルテの活用なども検討しましょう。

具体的な行動ステップ

1. **施設長または管理者への報告：** 現状の問題点を施設長または管理者に伝え、薬の仕分け業務を介護職員が行うことの危険性と、業務負担軽減策について話し合います。
2. **関係部署との協議： 看護師、薬剤師、施設管理者など関係部署と協議し、具体的な解決策を検討します。
3. **改善策の実施とモニタリング： 決定した改善策を実行し、その効果を継続的にモニタリングします。
4. **記録の保持：** 協議内容、実施した改善策、その効果などを記録として残しておきましょう。

まとめ

介護職員の薬の仕分け業務は、医療行為に準じる行為であり、介護職員が行うべきではありません。 安全な介護サービスの提供のためには、看護師の業務負担軽減、業務分担の明確化、システムの改善など、多角的なアプローチが必要です。 もし、あなたの施設で同様の問題が発生している場合は、すぐに関係者と話し合い、適切な解決策を見つけることが重要です。 そして、自分の権利と安全をしっかりと守りながら、働きやすい環境を構築していく努力を続けていきましょう。 ご自身の安全と、利用者の方々の安全を守るために、積極的に行動を起こすことをお勧めします。