介護職・看護職のキャリアアップと働き方改革：血糖値測定を含む業務範囲と今後の展望

介護職、看護職の方に質問です。高齢者施設で介護員をしています。前に勤めていた施設では血糖値の測定は医療行為で介護員は出来ないと言われていたのですが、今の職場では必要に応じてと介護員も測定しています。介護員は糖尿病利用者の血糖値を測定しても良いのでしょうか？

この記事では、介護職・看護職の皆様、特に高齢者施設で働く介護員の方々に向けて、血糖値測定を含む業務範囲の現状と、今後のキャリアアップ、働き方改革について、具体的な事例を交えながら解説します。現場で感じる疑問や不安、そして将来への展望を明確にするお手伝いができれば幸いです。

血糖値測定：介護員の業務範囲はどこまで？

介護職員が血糖値測定を行うか否かについては、施設によって、そして法律解釈によっても異なってきます。以前の職場では医療行為とみなされ、介護員が血糖値測定を行わなかったのに対し、現在の職場では必要に応じて介護員が測定しているというご質問は、まさに現場の現状を反映しています。結論から言うと、介護職員が血糖値を測定すること自体が違法というわけではありませんが、明確なガイドラインがないため、施設の規定や医療従事者との連携が非常に重要です。

まず、重要なのは「医療行為」の定義です。血糖値測定は、医療行為に該当する可能性があります。医療行為とは、医師の指示の下、医療従事者しか行ってはいけない行為と一般的に理解されています。しかし、「医師の指示の下」「一定の研修を受けた上で」「医療機器の適切な使用方法を理解している場合」など、条件を満たせば、介護職員が血糖値測定を行うことが認められるケースも存在します。具体的には、施設が作成した業務マニュアルに血糖値測定の手順や注意点が明記され、定期的な研修が行われ、医療従事者による指導・監督体制が整っていることが必要です。

さらに、施設の規模や体制も考慮すべき点です。大規模な施設では、看護師や准看護師が常駐し、血糖値測定は医療従事者が行うのが一般的です。一方、小規模な施設では、介護職員が血糖値測定を行うケースも少なくありません。この場合、医療従事者との連携を密にし、測定結果の報告や異常値への対応手順を明確にしておくことが不可欠です。

責任の所在も重要なポイントです。介護職員が血糖値測定を行い、万が一誤った測定や対応によって利用者に不利益が生じた場合、責任の所在が曖昧になる可能性があります。そのため、施設は、介護職員の教育・研修、医療従事者との連携体制、事故発生時の対応マニュアルなどを整備し、責任の所在を明確にしておく必要があります。

ケーススタディ：異なる施設での対応と課題

A施設：大規模な特別養護老人ホーム。看護師が常駐しており、血糖値測定は看護師が行う。介護職員は測定を行わない。マニュアルに則り、明確な役割分担がされている。

B施設：小規模なグループホーム。看護師は常駐していない。介護職員が血糖値測定を行うが、医療従事者からの指導を受け、定期的な研修を実施している。測定結果については、医師に報告する体制が整っている。

C施設：中規模の介護老人保健施設。看護師は日勤帯のみ常駐。夜勤帯は介護職員が血糖値測定を行うケースがある。しかし、研修が不十分で、測定結果の報告体制も曖昧なため、リスクが高い。

上記3施設の例からもわかるように、施設の規模や体制によって、介護職員の血糖値測定への関与度合いは大きく異なります。重要なのは、利用者の安全を第一に考え、適切な教育・研修、医療従事者との連携、明確なマニュアルの整備を行うことです。C施設のように、体制が整っていない施設では、事故のリスクが高まるため、改善が必要です。

介護職のキャリアアップと働き方改革：専門性の向上と業務効率化

介護現場では、高齢化の進展に伴い、ますます複雑で高度なケアが求められています。介護職員の専門性を高め、働き方改革を進めるためには、以下の点が重要です。

• 専門性の向上：資格取得支援制度の充実、外部研修への参加促進、OJT（On-the-Job Training）の充実などを通じて、介護職員のスキルアップを図る必要があります。血糖値測定に限らず、医療的な知識や技術を習得することで、より質の高い介護を提供できるようになります。
• 業務効率化：ICT（情報通信技術）の活用、業務分担の明確化、記録システムの改善などを通じて、介護職員の負担を軽減する必要があります。業務効率化により、介護職員はより多くの時間を利用者とのコミュニケーションに充てることができます。
• 働き方改革：労働時間管理の徹底、休暇取得の促進、多様な働き方の導入などを通じて、介護職員の働きやすい環境を整備する必要があります。働き方改革により、介護職員の離職率を抑制し、人材確保につなげることができます。
• チーム医療の推進：医師、看護師、薬剤師、理学療法士など、多職種と連携し、チーム医療を推進することで、より包括的なケアを提供できます。血糖値測定に関しても、医療従事者との連携を強化することで、安全で質の高い医療を提供することができます。

具体的なアドバイス：血糖値測定を含む業務における注意点

介護職員が血糖値測定を行う際には、以下の点に注意する必要があります。

• 医師の指示に従う：血糖値測定は、医師の指示に基づいて行う必要があります。指示がない場合は、安易に測定を行わないようにしましょう。
• 研修を受ける：血糖値測定の方法、機器の使用方法、異常値への対応などについて、適切な研修を受ける必要があります。研修内容を理解し、安全に測定できるようになりましょう。
• 記録を正確に行う：測定結果、測定日時、測定方法などを正確に記録する必要があります。記録は、医療・介護の質の向上に不可欠です。
• 医療従事者と連携する：異常値を検出した場合、速やかに医療従事者に報告する必要があります。医療従事者と連携することで、利用者の安全を確保できます。
• マニュアルを確認する：施設のマニュアルを確認し、血糖値測定に関する手順、注意点、責任の所在などを理解しましょう。マニュアルは、安全な業務遂行の指針となります。

介護職は、高齢者の生活を支える重要な役割を担っています。専門性を高め、働き方改革を進めることで、より質の高い介護を提供し、利用者と介護職員双方にとってより良い環境を創造していくことが重要です。

まとめ

介護職員が血糖値測定を行うか否かは、施設の規定や医療従事者との連携によって異なります。利用者の安全を第一に考え、適切な教育・研修、医療従事者との連携、明確なマニュアルの整備を行うことが重要です。専門性の向上、業務効率化、働き方改革を進めることで、より質の高い介護を提供し、持続可能な介護現場を築いていきましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療アドバイスではありません。具体的な対応については、必ず医師や医療従事者にご相談ください。