「もう良くならない」と言われた…家族を襲う「てんかん重積」の絶望と、それでも諦めないために私たちができること

今回は、ご家族の病状について深いお悩みを抱えていらっしゃる方からのご相談です。ご相談者様の置かれている状況を考えると、非常に辛い状況であると推察されます。まずは、ご相談いただきありがとうございます。以下、ご相談内容を引用します。

母が半年前に脳出血で倒れ、9月末にてんかん重積を起こして倒れました。その後の状況があまりよくなく、治療方法を探しています。母は、脳出血で倒れた後左半身不随になったものの（要介護４）、リハビリ病院でのリハビリを経て老人介護保健施設へ入所しました。だんだんと歩行も慣れてきて、たまに自宅での外泊もしていました。

しかし9月末、突然痙攣を起こし倒れました。痙攣は連続して起こり、１時間以上止まりませんでした。救急車で運ばれた先で強い薬を打ち、ようやく収まりました。

母は現在、目は開いているものの焦点があっておらず、呼びかけても反応はなし（たまに呼ぶと眉毛をぴくりと上げますが）ただただ右足と右手をぶらぶらと動かすのみです。

担当の主治医からは、てんかん重積の後遺症がひどくこれ以上はよくならないでしょうと言われました。他の病院でも見てもらえないかと聞いてみたものの治療は無意味、と言われるだけです。

ぼくらはこの状況をこのまま指を加えて見守ることしかできないのでしょうか。なんとかできることはないのかと悩んでいます。

てんかん重積で深いダメージを負ってしまったとき、治療やリハビリなど、よくなるためにできることは皆無なのでしょうか？

他の病院で診てもらう手段は有効でしょうか？

宜しくお願い致します。

ご家族の病状について、深い悲しみと絶望を感じていらっしゃると思います。主治医の言葉や、他の病院での対応に、さらに不安を募らせていることでしょう。しかし、絶望の淵に立たされた時こそ、諦めずにできることを探求することが重要です。この記事では、てんかん重積後の治療やケアについて、専門的な視点と、ご家族の心情に寄り添ったアドバイスを提供します。少しでも希望を見出し、前向きな一歩を踏み出すためのお手伝いができれば幸いです。

1. 現状の理解：てんかん重積と後遺症

まず、現状を正確に理解することから始めましょう。てんかん重積は、非常に危険な状態です。脳の電気信号が異常に興奮し続け、長時間にわたって痙攣が止まらない状態を指します。この状態が続くと、脳に深刻なダメージを与え、意識障害や麻痺などの後遺症を引き起こす可能性があります。

ご相談者様のお母様の場合、脳出血後のリハビリを経て、ある程度回復されていたにも関わらず、てんかん重積の発症により、再び深刻な状態に陥ってしまったとのこと。これは、ご家族にとって非常に辛い現実です。しかし、この現実を直視し、何が起きているのかを正確に把握することが、今後の対応を考える上で不可欠です。

てんかん重積の原因

• 脳の損傷：脳出血や脳梗塞など、脳に損傷がある場合、てんかん発作が起こりやすくなります。
• 薬物療法の中断：てんかんの薬を自己判断で中断すると、発作が起こりやすくなります。
• 代謝異常：低血糖や電解質異常など、体の状態が不安定な場合も発作が誘発されることがあります。
• 感染症：脳炎や髄膜炎など、脳に炎症が起きると発作が起こりやすくなります。

てんかん重積後の後遺症は、脳のどの部分が損傷を受けたか、また損傷の程度によって異なります。意識障害、麻痺、言語障害、認知機能の低下など、様々な症状が現れる可能性があります。ご相談者様のお母様の場合、意識レベルの低下、四肢の運動障害が見られるとのことですが、これは脳へのダメージが広範囲に及んでいることを示唆しています。

2. 治療の選択肢：諦めないためのアプローチ

主治医から「これ以上よくならない」と言われたとしても、そこで諦める必要はありません。医学は日々進歩しており、新たな治療法やケアの方法が開発されています。

2-1. セカンドオピニオンの重要性

まず、セカンドオピニオンを求めることを強くお勧めします。他の専門医の意見を聞くことで、現在の治療方針に対する客観的な評価を得ることができます。また、新たな治療の選択肢や、より良いケアの方法が見つかる可能性もあります。セカンドオピニオンを求めることは、決して主治医との対立を意味するものではありません。むしろ、より良い治療を受けるために、患者と家族が積極的に行動することの表れです。

セカンドオピニオンを求める際には、以下の点に注意しましょう。

• 情報収集：信頼できる医師を探すために、インターネット検索や、知人からの紹介、地域の医療機関の情報を参考にしましょう。
• 準備：これまでの治療経過や検査結果、現在の症状などをまとめた資料を用意しましょう。
• 質問：疑問に思うことは遠慮なく質問し、納得のいく説明を受けましょう。

2-2. 専門医の紹介

てんかん治療に精通した専門医を探すことも重要です。脳神経内科医やてんかん専門医は、てんかんの診断と治療に関する豊富な知識と経験を持っています。これらの専門医に相談することで、より適切な治療を受けることができる可能性があります。専門医を探す際には、日本てんかん学会のウェブサイトなどを参考にすると良いでしょう。

2-3. 薬物療法：新たな選択肢

てんかんの治療には、薬物療法が不可欠です。現在使用している薬の効果が不十分な場合、他の種類の抗てんかん薬を試すことも検討できます。また、複数の薬を組み合わせることで、より効果的な治療ができる場合もあります。薬物療法に関しては、専門医とよく相談し、最適な方法を見つけることが重要です。

2-4. その他の治療法

薬物療法以外にも、てんかんの治療には様々な方法があります。例えば、迷走神経刺激療法（VNS）や、食事療法（ケトン食）などがあります。これらの治療法は、てんかんの種類や患者の状態によっては、有効な場合があります。専門医と相談し、これらの治療法についても検討してみましょう。

3. リハビリテーション：残された可能性を最大限に引き出す

てんかん重積後のリハビリテーションは、残された機能を最大限に引き出し、生活の質を向上させるために非常に重要です。リハビリテーションには、身体機能の回復、認知機能の改善、言語能力の向上など、様々な目的があります。

3-1. 身体リハビリテーション

身体リハビリテーションは、麻痺や運動機能の低下に対する治療です。理学療法士や作業療法士の指導のもと、関節可動域訓練、筋力トレーニング、歩行訓練などを行います。リハビリテーションは、患者の状態に合わせて、個別にプログラムが作成されます。ご家族は、リハビリテーションの進捗状況を把握し、積極的に参加することが大切です。

3-2. 認知リハビリテーション

認知リハビリテーションは、記憶力や注意力の低下に対する治療です。作業療法士や言語聴覚士の指導のもと、認知機能を回復させるための訓練を行います。具体的には、記憶訓練、注意訓練、問題解決能力の訓練などを行います。認知リハビリテーションは、患者の脳の状態に合わせて、個別にプログラムが作成されます。

3-3. 言語リハビリテーション

言語リハビリテーションは、言語能力の低下に対する治療です。言語聴覚士の指導のもと、発音訓練、言語理解訓練、コミュニケーション訓練などを行います。言語リハビリテーションは、患者の言語能力の状態に合わせて、個別にプログラムが作成されます。

3-4. リハビリテーションの継続

リハビリテーションは、継続することが重要です。リハビリテーションの効果を最大限に引き出すためには、専門家による指導だけでなく、自宅での自主トレーニングも必要です。ご家族は、自主トレーニングをサポートし、患者がリハビリテーションを継続できるように励ますことが大切です。

4. ケアとサポート：ご家族ができること

ご家族は、患者のケアとサポートにおいて、重要な役割を果たします。患者の心身の状態を把握し、日常生活を支援することで、患者の生活の質を向上させることができます。

4-1. 日常生活の支援

患者の日常生活を支援することは、非常に重要です。食事、入浴、排泄、着替えなど、日常生活の様々な場面で、患者をサポートします。患者の自立を促すために、できることは患者自身に行ってもらい、必要に応じて介助を行いましょう。

4-2. コミュニケーション

患者とのコミュニケーションは、心のケアにとって不可欠です。患者の話をよく聞き、共感し、励ますことで、患者の不安や孤独感を軽減することができます。患者の言葉だけでなく、表情や仕草にも注意を払い、患者の気持ちを理解するように努めましょう。

4-3. 環境整備

患者が安全で快適に過ごせるように、環境を整えることも重要です。転倒防止のために、手すりの設置や、床のバリアフリー化などを行いましょう。また、患者の好みや性格に合わせて、部屋の雰囲気作りをすることも大切です。

4-4. 精神的なサポート

患者の精神的なサポートも重要です。患者の不安や落ち込みに寄り添い、励ますことで、患者の心の安定を図ります。また、患者が自分の気持ちを表現できるように、話を聞く機会を設けましょう。必要に応じて、カウンセリングなどの専門家のサポートを受けることも検討しましょう。

4-5. 家族自身のケア

患者のケアは、ご家族にとっても大きな負担となります。ご家族自身の心身の健康を保つことも重要です。休息を取り、趣味を楽しんだり、友人や家族と交流したりすることで、ストレスを解消しましょう。必要に応じて、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。

5. 専門家との連携：チーム医療の重要性

てんかん重積後の治療とケアは、多職種連携で行われることが理想的です。医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカーなど、様々な専門家がチームを組み、患者をサポートします。ご家族は、チーム医療の一員として、積極的に参加することが大切です。

5-1. 医師との連携

医師は、患者の病状を把握し、治療方針を決定します。ご家族は、医師の説明をよく聞き、疑問に思うことは遠慮なく質問しましょう。また、患者の症状や変化を医師に伝え、治療に役立ててもらいましょう。

5-2. 看護師との連携

看護師は、患者の日常生活のケアや、服薬管理を行います。ご家族は、看護師に患者の状況を伝え、必要なアドバイスを受けましょう。また、患者の異変に気づいた場合は、すぐに看護師に報告しましょう。

5-3. リハビリ専門職との連携

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、リハビリテーションを通じて、患者の機能回復を支援します。ご家族は、リハビリ専門職と連携し、リハビリテーションの進捗状況を確認し、自宅での自主トレーニングをサポートしましょう。

5-4. ソーシャルワーカーとの連携

ソーシャルワーカーは、患者やご家族の抱える問題について相談に乗り、様々な支援を提供します。経済的な問題、介護保険に関する問題、社会資源の活用など、様々な問題について相談することができます。ご家族は、ソーシャルワーカーに相談し、必要な支援を受けましょう。

6. 未来への希望：諦めないことの大切さ

ご相談者様は、現状を「このまま指を加えて見守ることしかできないのでしょうか」と表現されています。しかし、決して諦めないでください。医学は日々進歩しており、新たな治療法やケアの方法が開発されています。そして、何よりも大切なのは、患者とご家族が希望を持ち続けることです。

6-1. 小さな変化に目を向ける

患者の状態は、一進一退を繰り返すことがあります。しかし、小さな変化にも目を向け、それを喜び、励みにすることが大切です。例えば、わずかな表情の変化、指の動き、言葉の発声など、小さな変化を見逃さず、それを褒め、励ますことで、患者の意欲を高めることができます。

6-2. 家族の絆を深める

困難な状況を乗り越えるためには、家族の絆が重要です。患者を支え合い、励まし合い、共に困難を乗り越えることで、家族の絆はさらに深まります。患者とのコミュニケーションを大切にし、共に過ごす時間を楽しむことで、心の支えとすることができます。

6-3. 専門家との連携を強化する

専門家との連携を強化し、積極的に情報交換を行いましょう。医師、看護師、リハビリ専門職、ソーシャルワーカーなど、様々な専門家と連携することで、より適切な治療とケアを受けることができます。専門家からのアドバイスを参考に、患者の状況に合わせたケアを行いましょう。

6-4. 地域の支援を活用する

地域には、様々な支援サービスがあります。介護保険サービス、訪問看護、デイサービスなど、様々なサービスを活用することで、ご家族の負担を軽減することができます。地域の相談窓口や、社会福祉協議会などに相談し、利用できる支援サービスを探しましょう。

6-5. 精神的なサポートを受ける

ご家族は、患者のケアに加えて、自身の精神的な負担も抱えています。精神的なサポートを受けることで、心の健康を保ち、前向きに過ごすことができます。カウンセリングや、家族会、自助グループなどに参加し、悩みや不安を共有しましょう。

絶望的な状況に思えるかもしれませんが、諦めずに、できることを一つずつ積み重ねていくことが大切です。そして、何よりも、患者とご家族が希望を持ち続けることが、未来を切り開く力となります。

7. まとめ：希望を胸に、共に歩む

今回は、ご家族の病状について、非常に困難な状況にある方からのご相談でした。てんかん重積後の治療やケアについて、様々な角度からアドバイスをさせていただきました。現状は厳しいかもしれませんが、諦めずに、できることを一つずつ積み重ねていくことが重要です。セカンドオピニオンを求め、専門医に相談し、リハビリテーションを継続し、ご家族で支え合い、地域や専門家のサポートを活用しましょう。そして、何よりも、希望を胸に、共に歩んでいくことが大切です。

ご相談者様と、ご家族の皆様が、少しでも良い方向に向かわれることを心から願っています。

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