有料老人ホームの「働き方」って実際どうなの？現役介護士が語る、疑問と不安へのリアルな回答

この記事では、有料老人ホームで働くことに関心がある方、または実際に働いているけれど疑問や不安を感じている方に向けて、介護業界の現状と、より良い働き方を見つけるためのヒントを提供します。特に、介護士の業務範囲、施設の運営体制、そしてキャリアパスについて、具体的な事例を交えながら解説していきます。

有料老人ホーム勤務の方、教えてください。わたしの友人は今年、有料老人ホームへ就職しましたが、話を聞いているといくつかおかしいと思うことがありました。

（わたしも福祉を勉強しています）

• 介護士がケアプランを作成する
• インシュリン注射を介護士が打つ
• ひげ剃りや爪きりをおこなう
• クレーム処理や事故処理を生活相談員ではなく介護士本人が対応する

たしか医療行為は介護士は出来ないはずだし、生活相談員が在駐しておらず施設を訪問してまわるそうです。新しく出来たホームで人手が足りないのかもしれませんが、監査が入ったら一発だと思うのですが。。。

現場での実情はこういうものなのでしょうか？ちなみに大卒の初任給で２３万ほどらしいので、人手を増やせないほどの経営状態ではないと思うのですが・・・

介護業界の現状：問題点と課題

介護業界は、高齢化社会の進展とともに需要が高まっていますが、同時に多くの課題も抱えています。人手不足、低賃金、過重労働といった問題は、介護士の離職率を高め、サービスの質の低下を招く可能性があります。今回の質問にあるような、介護士の業務範囲の逸脱、人員配置の不備などは、まさにその問題が顕在化したものです。

以下に、介護業界が抱える主な問題点をいくつか挙げ、それぞれの問題がなぜ起こるのか、そしてどのように改善していくべきかを解説します。

1. 人手不足

介護業界の人手不足は深刻で、特に地方ではその傾向が顕著です。これは、少子高齢化による労働人口の減少、介護職の負担の大きさ、そして賃金の低さなどが複合的に影響しています。人手不足は、一人あたりの業務量の増加につながり、労働環境の悪化を招きます。その結果、さらに離職者が増え、人手不足が加速するという悪循環に陥ることがあります。

人手不足を解消するためには、賃金の見直し、労働環境の改善、そして介護職のイメージアップが必要です。具体的には、:

• 介護福祉士などの資格取得支援の強化
• キャリアパスの明確化
• ICT（情報通信技術）の導入による業務効率化

などが挙げられます。

2. 業務範囲の曖昧さ

介護士の業務範囲は、法律で定められていますが、施設によっては、人員不足などの理由から、本来介護士が行うべきではない業務を任されることがあります。今回の質問にあるように、医療行為やケアプランの作成などがその例です。これは、介護士の負担を増やすだけでなく、法的リスクを高め、サービスの質の低下を招く可能性があります。

業務範囲の曖昧さを解消するためには、:

• 介護士の役割と責任を明確にする
• 多職種連携を強化し、専門職がそれぞれの専門性を活かせる体制を構築する
• 適切な人員配置を行う

といった対策が必要です。

3. 低賃金

介護職の賃金は、他の業種と比較して低い傾向があります。これは、介護サービスの価格が低く抑えられていること、そして介護保険制度の制約などが影響しています。低賃金は、介護職のモチベーションを低下させ、離職の要因となります。また、優秀な人材を確保することも難しくなります。

賃金を引き上げるためには、:

• 介護報酬の増額
• 介護サービスの質の向上
• 介護職の専門性に対する評価の向上

といった取り組みが必要です。

4. 労働環境の悪化

人手不足や業務量の増加により、介護職の労働環境は悪化しがちです。長時間労働、夜勤、そして精神的な負担の大きさなど、様々な要因が重なり、心身ともに疲弊してしまう介護士も少なくありません。労働環境の悪化は、離職率を高め、サービスの質の低下を招く可能性があります。

労働環境を改善するためには、:

• 労働時間の適正化
• 休暇の取得促進
• メンタルヘルスケアの充実
• ハラスメント対策の強化

といった対策が必要です。

介護士の業務内容と法的責任

介護士の業務内容は、介護保険法やその他の法律によって定められています。具体的には、利用者の日常生活の支援、身体介護、生活援助などが主な業務です。しかし、介護士は医療行為を行うことはできません。インスリン注射や褥瘡（じょくそう）の処置などは、医師や看護師が行うべき医療行為に該当します。

また、ケアプランの作成は、原則としてケアマネジャーが行います。介護士は、利用者の状態やニーズを把握し、ケアプラン作成に協力することはできますが、単独でケアプランを作成することはできません。

もし、介護士が本来行うべきではない業務を行っている場合、それは違法行為となる可能性があります。また、万が一事故が発生した場合、介護士は法的責任を問われる可能性があります。そのため、介護士は、自分の業務範囲をしっかりと理解し、法律を遵守して業務を行う必要があります。

有料老人ホームの運営体制と問題点

有料老人ホームの運営体制は、施設の規模や種類によって異なりますが、一般的には、施設長、生活相談員、介護士、看護師などが配置されています。生活相談員は、入居者の相談対応やケアマネジャーとの連携、そして行政とのやり取りなどを行います。介護士は、入居者の日常生活の支援や身体介護を行います。看護師は、医療的なケアや健康管理を行います。

今回の質問にあるように、生活相談員が不在で、介護士がクレーム処理や事故処理を行っている場合、それは運営体制に問題があると言えます。生活相談員は、入居者やその家族からの相談に対応し、問題解決を図る役割を担っています。介護士がこれらの業務を行うと、本来の業務に支障をきたし、サービスの質の低下を招く可能性があります。

また、生活相談員が不在ということは、入居者やその家族が相談できる相手がいないということになり、大きな問題です。施設は、入居者の安心・安全な生活を保障するために、適切な人員配置と運営体制を整える必要があります。

監査と法的リスク

有料老人ホームは、定期的に行政による監査を受けます。監査では、人員配置、業務内容、サービスの質などがチェックされます。もし、介護士が医療行為を行っていたり、本来行うべきではない業務を行っていたりすると、監査で指摘され、改善を求められます。改善が見られない場合、施設の運営停止や、指定の取り消しといった処分が下される可能性があります。

今回の質問にあるような状況は、監査で指摘される可能性が高く、施設にとっては大きなリスクとなります。また、入居者やその家族からの訴訟リスクも高まります。施設は、法令を遵守し、適切な運営体制を整える必要があります。

大卒初任給23万円の妥当性

大卒の初任給が23万円というのは、一概に高いとも低いとも言えません。介護業界全体の平均的な初任給と比較すると、やや高い可能性があります。しかし、施設の規模や地域、そして経験年数などによって、給与水準は異なります。重要なのは、給与だけでなく、労働時間、福利厚生、そしてキャリアパスなど、総合的に判断することです。

今回の質問にあるように、人手を増やせないほどの経営状態ではないにも関わらず、人員配置が不適切である場合、それは経営陣の意識の問題である可能性があります。人件費を抑えるために、不適切な人員配置を行っている可能性も否定できません。介護士として働く場合は、給与だけでなく、施設の運営体制や労働環境についても、しっかりと確認する必要があります。

より良い働き方を見つけるために

介護業界で、より良い働き方を見つけるためには、以下の点を意識することが重要です。

1. 施設の情報を収集する

就職・転職活動を行う前に、施設の情報をしっかりと収集しましょう。施設のホームページや求人情報だけでなく、実際に施設を見学したり、そこで働いている人から話を聞いたりすることも重要です。施設の雰囲気、労働環境、そしてキャリアパスなど、様々な情報を収集し、自分に合った施設かどうかを見極めましょう。

2. 自分のキャリアプランを明確にする

介護業界には、様々なキャリアパスがあります。介護福祉士、ケアマネジャー、生活相談員、施設長など、自分の目指すキャリアプランを明確にし、それに合った施設を選びましょう。キャリアプランを明確にすることで、モチベーションを高く保ち、目標に向かって努力することができます。

3. 労働条件を確認する

給与、労働時間、休暇、福利厚生など、労働条件をしっかりと確認しましょう。特に、残業時間や夜勤の頻度、そして有給休暇の取得率などは、重要なポイントです。労働条件が自分の希望と合致しているかどうかを確認し、納得した上で就職・転職をしましょう。

4. 職場の雰囲気を知る

職場の雰囲気は、働きやすさに大きく影響します。人間関係、チームワーク、そしてコミュニケーションの取りやすさなど、職場の雰囲気を事前に知っておくことが重要です。可能であれば、面接の際に、職場の雰囲気を質問したり、実際に施設を見学したりして、肌で感じてみましょう。

5. スキルアップを目指す

介護業界は、常に新しい知識や技術が求められる分野です。研修に参加したり、資格を取得したりして、スキルアップを目指しましょう。スキルアップすることで、自分のキャリアを広げ、給与アップにも繋がる可能性があります。

6. 悩みを相談する

仕事で悩んだり、困ったことがあったりした場合は、一人で抱え込まずに、誰かに相談しましょう。同僚、上司、家族、友人、そして専門家など、相談できる相手はたくさんいます。相談することで、問題解決の糸口が見つかったり、気持ちが楽になったりすることがあります。

転職活動のヒント

もし、現在の職場環境に不満を感じ、転職を考えている場合は、以下の点を参考にしてください。

1. 自己分析を行う

まずは、自分の強みや弱み、そしてキャリアプランを明確にしましょう。自己分析を行うことで、自分に合った仕事を見つけやすくなります。自己分析には、自己PRの作成や、面接対策にも役立ちます。

2. 求人情報を収集する

転職サイトやハローワークなどを活用して、求人情報を収集しましょう。気になる求人があれば、積極的に応募しましょう。求人情報を収集する際には、給与、労働時間、そして福利厚生など、労働条件をしっかりと確認しましょう。

3. 履歴書・職務経歴書を作成する

履歴書と職務経歴書は、あなたのスキルや経験をアピールするための重要なツールです。丁寧に作成し、誤字脱字がないか、そして内容に矛盾がないかを確認しましょう。職務経歴書では、具体的な業務内容や、実績を記載しましょう。

4. 面接対策を行う

面接では、あなたの人間性や、仕事への意欲が評価されます。面接対策として、想定される質問への回答を準備したり、模擬面接を行ったりしましょう。面接では、ハキハキと受け答えし、熱意を伝えることが重要です。

5. 転職エージェントを活用する

転職エージェントは、あなたの転職活動をサポートしてくれます。求人情報の紹介、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策など、様々なサポートを受けることができます。転職エージェントは、あなたの希望やスキルに合った求人を紹介してくれるので、効率的に転職活動を進めることができます。

まとめ

有料老人ホームの現状は、人手不足や業務範囲の曖昧さなど、様々な問題を抱えています。しかし、より良い働き方を見つけることは可能です。施設の情報を収集し、自分のキャリアプランを明確にし、労働条件を確認し、スキルアップを目指すことで、自分に合った職場を見つけることができます。もし、現在の職場環境に不満を感じている場合は、転職活動も視野に入れ、積極的に行動しましょう。そして、困ったことがあれば、誰かに相談し、一人で抱え込まないようにしましょう。介護業界は、やりがいのある仕事です。あなたの努力と工夫次第で、充実したキャリアを築くことができます。

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