ストーマ保有者の入浴介助：介護福祉士が知っておくべきこと

この記事では、入浴介助を専門とする介護福祉士の皆様に向けて、ストーマ（人工肛門・人工膀胱）を保有する方の入浴介助に関する具体的な方法や注意点について解説します。特に、ストーマパウチの交換タイミング、入浴中の対応、そして施設での一般的な対応方法について、詳細な情報を提供します。この記事を読むことで、ストーマケアに関する知識を深め、入浴介助の質を向上させ、利用者の方々が安心して入浴を楽しめるようにするための具体的なヒントを得ることができます。

医療・福祉関係の施設にお勤めの方にお尋ねします。

入浴介助を専門職としてやっている介護福祉士です。

ストーマの患者さんの入浴時、パウチを取り替える時期のことです。

①剥がしてから入浴する。

②装着したまま入浴する。－浴槽から上がって取り替える。

③尿ストーマと便ストーマではやり方が違う。 などいろいろ考えられるんですが、貴方の施設（病院等）ではどういう方法で介助をしておられるのか、又はどんなやり方が一般的なのかお訊きしたいのです。

ちなみに私のところでは この患者さんの前後にも他の患者さんがお湯の入れ替えなしで入浴されます。

＊浴槽はリフトチェアバスです。補足●入浴介助に実際に携わっておられる看護職・介護職のかたに限らせてください。

ストーマケアの基本：入浴介助における重要なポイント

ストーマケアは、ストーマを保有する方の生活の質（QOL）を大きく左右する重要な要素です。入浴介助においては、皮膚の保護、感染症の予防、そして利用者の心理的なサポートが不可欠です。以下に、入浴介助における基本的なポイントをまとめます。

• 皮膚の保護: ストーマ周囲の皮膚はデリケートであり、刺激を受けやすい状態です。入浴前には、皮膚の状態を観察し、異常がないか確認することが重要です。
• 感染症の予防: 入浴時には、ストーマ周囲の清潔を保ち、感染のリスクを最小限に抑える必要があります。
• 心理的サポート: ストーマを保有する方は、外見の変化や排泄に関する不安を抱えていることがあります。入浴介助を通じて、安心感を与え、精神的なサポートを行うことが大切です。

ストーマパウチの交換タイミングと方法

ストーマパウチの交換タイミングは、ストーマの種類（尿ストーマ、便ストーマ）、パウチの種類、そして利用者のライフスタイルによって異なります。以下に、一般的な交換方法と注意点について解説します。

1. 尿ストーマの場合

尿ストーマの場合、パウチは通常、24時間ごとに交換することが推奨されます。入浴前にパウチを交換することも可能ですが、入浴中にパウチが濡れてしまう可能性があるため、注意が必要です。以下に、具体的な手順を示します。

1. 入浴前の準備: 入浴前に、新しいパウチと皮膚保護剤（必要に応じて）、清拭材、ハサミ、メジャーなどを準備します。
2. 古いパウチの取り外し: 古いパウチをゆっくりと剥がし、皮膚を傷つけないように注意します。剥がしにくい場合は、ぬるま湯で湿らせると剥がしやすくなります。
3. 皮膚の洗浄: ストーマ周囲の皮膚を、ぬるま湯と石鹸で優しく洗浄します。石鹸が残らないように、しっかりと洗い流します。
4. 皮膚の乾燥: 洗浄後、皮膚を柔らかいタオルで優しく拭き、完全に乾燥させます。
5. 新しいパウチの装着: 新しいパウチの面板をストーマの形に合わせてカットし、皮膚に密着させます。
6. 入浴: パウチを装着した状態で入浴します。入浴中にパウチが外れないように注意し、必要に応じてテープなどで補強します。

2. 便ストーマの場合

便ストーマの場合、パウチは排泄物の量や頻度に応じて交換します。入浴前にパウチを交換することも可能ですが、排泄物の漏れを防ぐために、入浴後に交換することも一般的です。以下に、具体的な手順を示します。

1. 入浴前の準備: 入浴前に、新しいパウチと皮膚保護剤（必要に応じて）、清拭材、ハサミ、メジャーなどを準備します。
2. 入浴: パウチを装着したまま入浴するか、パウチを一時的に外して入浴するかを選択します。パウチを外す場合は、ストーマから排泄物が漏れないように注意し、入浴後すぐに新しいパウチを装着します。
3. 古いパウチの取り外し: 入浴後、古いパウチをゆっくりと剥がし、皮膚を傷つけないように注意します。
4. 皮膚の洗浄: ストーマ周囲の皮膚を、ぬるま湯と石鹸で優しく洗浄します。石鹸が残らないように、しっかりと洗い流します。
5. 皮膚の乾燥: 洗浄後、皮膚を柔らかいタオルで優しく拭き、完全に乾燥させます。
6. 新しいパウチの装着: 新しいパウチの面板をストーマの形に合わせてカットし、皮膚に密着させます。

入浴中の注意点

入浴中は、以下の点に注意して介助を行いましょう。

• 水温: 熱すぎるお湯は、皮膚を乾燥させ、ストーマ周囲の皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。適切な水温（38〜40℃）に設定しましょう。
• 石鹸の使用: 石鹸を使用する場合は、ストーマに直接石鹸がつかないように注意し、しっかりと洗い流しましょう。
• 入浴時間: 長時間の入浴は、皮膚を乾燥させる原因となります。入浴時間は15〜20分程度にしましょう。
• パウチの確認: 入浴中、パウチが外れていないか、漏れがないかを確認しましょう。
• リフトチェアバスの使用: リフトチェアバスを使用する場合は、利用者の体位を安定させ、安全に配慮しましょう。

施設での対応方法

施設では、ストーマケアに関する統一された手順と、入浴介助に関するマニュアルを作成することが重要です。以下に、施設での対応方法のポイントをまとめます。

• マニュアルの作成: ストーマケアと入浴介助に関するマニュアルを作成し、すべての介護職員が同じ知識と技術を習得できるようにします。
• 研修の実施: 定期的に研修を実施し、最新のストーマケアに関する知識と技術を習得させます。
• 情報共有: 利用者のストーマの状態や、入浴介助に関する情報を、介護職員間で共有します。
• 個別対応: 利用者の状態に合わせて、個別の入浴介助プランを作成し、対応します。
• 多職種連携: 医師、看護師、ストーマ専門外来などと連携し、専門的なアドバイスを受けられる体制を整えます。

成功事例

ある介護施設では、ストーマケアに関する研修を定期的に実施し、すべての介護職員がストーマケアの知識と技術を習得しました。その結果、入浴介助中のパウチの漏れや皮膚トラブルが減少し、利用者の満足度が向上しました。また、看護師との連携を強化し、ストーマ周囲の皮膚トラブルが発生した場合に、迅速に対応できる体制を整えました。

専門家からのアドバイス

ストーマケアの専門家である看護師は、以下のようにアドバイスしています。

• 皮膚の状態観察: 入浴前には必ず、ストーマ周囲の皮膚の状態を観察し、異常がないか確認してください。
• 適切なパウチの選択: 利用者のライフスタイルや排泄物の状態に合わせて、適切なパウチを選択してください。
• 正しい交換方法: パウチの交換方法を正しく理解し、実践してください。
• 早期対応: 皮膚トラブルが発生した場合は、早期に対応し、悪化を防いでください。
• 情報収集: 最新のストーマケアに関する情報を収集し、知識をアップデートしてください。

Q&A形式で深掘りするストーマケア

ストーマケアに関するよくある質問とその回答をまとめました。

Q1: 入浴前にパウチを交換するメリットとデメリットは何ですか？

A1: 入浴前にパウチを交換するメリットは、入浴中にパウチが外れたり、漏れたりするリスクを減らせることです。また、入浴前にパウチを交換することで、清潔な状態で入浴できます。デメリットとしては、入浴前にパウチを交換する時間的負担があること、そして入浴中にパウチが濡れてしまう可能性があることです。尿ストーマの場合は、入浴前にパウチを交換し、入浴後にパウチの状態を確認することが推奨されます。便ストーマの場合は、入浴後にパウチを交換することが一般的です。

Q2: ストーマ周囲の皮膚トラブルを防ぐために、どのようなことに注意すれば良いですか？

A2: ストーマ周囲の皮膚トラブルを防ぐためには、以下の点に注意しましょう。

• 適切なパウチの選択: ストーマの形状や排泄物の状態に合わせて、適切なパウチを選択しましょう。
• 正しいパウチの装着: パウチの面板を皮膚に密着させ、隙間がないようにしましょう。
• 皮膚保護剤の使用: 皮膚保護剤を使用することで、皮膚を保護し、刺激から守ることができます。
• 皮膚の清潔: ストーマ周囲の皮膚を清潔に保ちましょう。
• 早期対応: 皮膚トラブルが発生した場合は、早期に対応し、悪化を防ぎましょう。

Q3: 入浴中にパウチが外れてしまった場合は、どのように対応すれば良いですか？

A3: 入浴中にパウチが外れてしまった場合は、以下の手順で対応しましょう。

1. 落ち着いて対応する: まずは落ち着いて、状況を把握しましょう。
2. 排泄物の処理: 排泄物を処理し、周囲を清潔にしましょう。
3. 新しいパウチの装着: 新しいパウチを装着しましょう。
4. 皮膚の状態確認: 皮膚の状態を確認し、異常がないか確認しましょう。
5. 専門家への相談: 必要に応じて、医師や看護師に相談しましょう。

Q4: リフトチェアバスを使用する際の注意点は何ですか？

A4: リフトチェアバスを使用する際は、以下の点に注意しましょう。

• 安全確認: リフトチェアバスの動作を確認し、安全に利用できることを確認しましょう。
• 体位の安定: 利用者の体位を安定させ、転倒のリスクを減らしましょう。
• 温度調節: 適切な温度に調節し、熱すぎないように注意しましょう。
• 見守り: 入浴中は、利用者の状態を観察し、異常がないか確認しましょう。

Q5: ストーマケアに関する最新情報を得るには、どうすれば良いですか？

A5: ストーマケアに関する最新情報を得るためには、以下の方法があります。

• 専門家の講習会やセミナーへの参加: 医師や看護師が主催する講習会やセミナーに参加し、最新の知識と技術を習得しましょう。
• 専門書や雑誌の購読: ストーマケアに関する専門書や雑誌を購読し、知識を深めましょう。
• インターネットでの情報収集: 信頼できるウェブサイトや医療機関の情報を参考にしましょう。
• 学会への参加: ストーマケアに関する学会に参加し、最新の研究成果や情報に触れましょう。

まとめ

ストーマを保有する方の入浴介助は、介護福祉士にとって重要な役割です。この記事で解説したように、ストーマケアの基本を理解し、適切な方法で入浴介助を行うことで、利用者のQOLを向上させることができます。皮膚の保護、感染症の予防、心理的サポートを意識し、安全で快適な入浴介助を提供しましょう。また、施設内でのマニュアル作成、研修の実施、多職種連携を通じて、質の高いストーマケアを提供できる体制を整えることが重要です。

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